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大人になってあまり聞いて回るといい顔されないけど今の姿は得だ

 気がついたら5時間くらいかけて執筆してました。難産と言うほどではなかったんですけどね。

 セルロースもグリセリンもニトロ化してしまったし、菌の発酵はまだ終わっていないのでしばらくは強化の為のレベル上げと、魔法を学ぶことにした。ついでに粗製ガソリンを作ってエチレン精製も並行して行おうと思う。


 まずはレベル上げ。これは歩いていると食い詰めゴブリンやハウンドドッグ、森に入ればたまにヘビに出くわしたり、イノシシと遭遇したりするので討伐したり撃退したり夕飯になってもらった。稀に狩りに出ていたらしいコボルトの残りに遭遇したが、言葉が通じなくて威嚇してきたのでそのまま射殺してしまった。あの赤いゴブリンは特別だったのか?


 森では罠の効果と赤いゴブリンに出会ったことが影響しているのか、あまり遭遇しない。遭遇しても徒党を組んでいないゴブリンは、俺の姿を見るなり逃げ出すので見逃している。


 そうして討伐した証を常時依頼で出ている欄から受け、金を貰うのだ。ちなみに銅貨一枚10円ほどの価値で、100枚で銀貨1枚になる。その上に金貨、ミスリル貨、アダマン貨と続くらしいが、俺はまだ金貨までしか取り扱ったことが無い。


 そうしてソロ討伐を続けてたらいつの間にかEランクになっていた。レイラ曰くここかららしい。


 そうしている間決してソロだけをやっていたわけじゃない。もう1名募集をかけてペアで討伐や狩りに出かけたりもした。


 シャーロットもその一人だが、彼女はまだFランクの純魔導士で、組んでくれる相手を探していたらしい。


 丁度良かったので色々聞いてみた。


「シャーロットさん、実は家の近くの木を伐採しようと思うんですけど、根っこが邪魔で魔法でどうにかならないかなって思っているんですよ。どう思います?」


「そうね、エルフには木を操る魔法があるらしいけど、エルフ語だし秘伝と言う事で出回ってないのよ。だから伐採した後土魔法で地中深くに飲み込ませたほうがいいと思うわ」


「ありがとうございます。教えてくれたお礼に夕飯おごりますよ」


「なら、遠慮なくいただくわ。それとシャーロットでいいわよ」


「分かりました。シャーロット」


 で、翌日。


「こんにちは、シャーロット。もしよかったら一緒にレベル上げも兼ねて討伐でもどうですか?」


「こんにちは、ユキト。そうね、とどめをキチンと分けてくれるなら考えてあげるわ。貴方は火力が高すぎるもの」


「分かりました。鹿撃ち用散弾(バックショット)では無く、鳥撃ち用散弾(バードショット)で牽制します。そうそう、木を試しに1本伐採してみたんですが、結構上手く行ったんですよ。伐採したのは裂け目を入れて乾燥させた後薪にでもします。ところで、次の質問いいですか?」


「勉強熱心ね。いいわよ」


「俺が使っている武器に転移魔法陣を刻もうと思うんです。ほら、この袋の中に撃った後納まる奴です。俺の考えは底か横に魔法陣を刻もうと思うんですけど、どうやって魔力を通せばいいのかまで考え付かなかったんです。何か良い案は無いでしょうか?」


「転移・・・・・・そういえば貴方転移者だったわね。着眼点は面白いと思うわ。それならちょっと武器を見せてもらってもいいかしら?」


「はい、弾ですね。どうぞ」


「ふむ、これの構造って大雑把でいいから説明してくれる?」


「中に激しく燃え上がる粒が入っていて、底の点火薬を叩いて発火するんですよ。それで金属のつぶてを押し出します」


「燃やすのね。それなら魔術ギルドで売っている魔力回復用の散薬があるからあれを粒に混ぜるといいかもしれないわね。あれってポーションと比べると、水を用意しないと飲みにくいしとても苦いわ。おかげさまでとても安くて修羅場前の研究者か苦学生が買っていくんだけど、飲まないし反応させるならあれがいいわね」


「そんなものがあったんですか。ありがとうございます。後で作るときに混ぜてみます」


「私も好奇心をそそられる話が聞けてよかったわ。転移魔法陣か・・・・・・それを刻めばいちいちかさばる棍を持たなくてもいざという時逆の現象を起こせば手元に転移できるわね。お昼はまだかしら?気分が良いからおごってあげる」


「ありがとうございます。いただきます」


 こんな具合で順調に魔法を学んでいった。




 エチレンだが、これは石油から精製する炭化水素の一種だ。つまりワセリンと原料は一緒と言う事で、街から家へ帰る度にコツコツと錬金術ギルドで石油を買い貯めした。まだ価値が知られていないので安いのがいい。


 ナフサ、もとい粗製ガソリンは日によって精製したので、これとグツグツと煮立っている熱湯、つまり水蒸気を魔法陣で混合させて一気に精製した。じゃないと熱湯の温度が下がってしまって上手く行かないのだ。


 出来たエチレンは銀を担持させた酸化アルミニウムを触媒に、250度ほどの温度で安定させ、魔法陣で蒸留水を分解した酸素と反応させエチレンオキシドを作る。


 その後、酸を触媒に水少なめで反応させエチレングリコールを作った。これで副産物のジエチレングリコールが出来る。使うのは副産物の方。


 後一歩でベンゼンだ。精製中に出た80度から200度までの沸点を持つ炭化水素を分解して余っている水素と混合する。


 そして塩化ロジウムを触媒に、温度を今度は500度以上まで上げ、8atm以上まで加圧して反応させる。ベンゼンの完成だ。


 ここまでやってようやく半分と言ったところか。しかし便利だな、魔法陣。魔法陣に書き込む条件と元素記号はこちらの文字じゃないから余計に魔力を食うけど、作動しないわけじゃないから万能だ。


 調子がいいのでそのままフェノールを作るためにベンゼンをスルホン化する式を書き込み、出来たナトリウム塩をアルカリ融解する。使う分だけ出し、残りは保存だ。


 フェノールをニトロ化させ、ピクリン酸を作り、水酸化ナトリウムを加えて硫化ナトリウムで還元する。これくらいは錬金術ギルドでも売ってた。


 これを塩酸の中で亜硝酸ナトリウムをを入れればジアゾ化する。出来たジアゾジニトロフェノールは水中では爆発しないので、分解の魔法陣でニトロセルロースでやったように塩酸を取り除く。しかし乾燥はエアコンによる温風乾燥だ。


 これで雷管の起爆剤は出来た。プレス機で型を作って詰めていかなければ。


 一段落したので、菌の様子を見る。うん、発酵はもう問題ないか。


 電気培養して保存してあるのは別として、またこいつらには働いてもらわないといけないため、アセトンとブタノールを分離抽出させる魔法陣を敷き、抽出し終えたところで酸素に触れないよう取り出し、分けておく。


 燃料も問題なくなったし、シングルベース火薬とダブルベース火薬を合成し終えたら次は伐採か。突っ切るのは楽だったけど、あの量を伐採するのは正直骨だな。


 アセトンが手に入ったのでもうちゃっちゃと火薬を合成していった。




 翌日、俺はチェーンソーを持ち庭の前の森に立っていた。


 オイルが減るというからと言う理由で4サイクルなチェーンソーは、若気の至りで血肉が内部に入ったら洗浄される機構が付いている。まあ、今回木が相手なので水タンクは空なのだが。


 ブォーン!ドッドッドッドッと咆哮とうなり声を上げるチェーンソー。レベルが上がってお遊び要素が出てきたらこいつを使って狩りをするのもいいかもな。


 まあ、4サイクルで良かったよ。おかげでブタノールが使える。よし、やろうか。


 俺は薪にするが、絶対に余る木々に対し伐採を始めた。


 最初は目測を誤って家にぶつけてしまわないため、森の木々にもたれかかる形に切っていく。ドミノ倒しのように折り重なった木々は、その重量に耐え切れず倒壊を始めるものもあった。


 ある程度伐採し終えたところで魔法を唱える。


「大地よ、飲み込め」


 ちょっと加減を間違えて辺りの木まで少し沈ませてしまったが、まあいいだろう。無事切り株が埋まる。


 しかしやりすぎても持ち帰れないな。ここだけ露骨に伐採されてても、後で罠仕掛けるのが面倒だし。


 そういう理由でまっすぐに街道へ突っ切らず、バイクを押して歩ける範囲をジグザグに切っている。あまり角度を付け過ぎても道が長くなるし、悩みどころだ。


 木を伐採していても何故かあまり疲れない。まさか、木のオドが経験値として入っているのか?


 でも調子に乗っては元も子もないので程々でやめておく。新発見だ。考えようによってはトレントやゴーレムで経験値が入らないかも知れなかったのか。


 少しばかり開拓した森を見て、俺は汗を拭った。ビールが飲みたい。


 このまま木々を倒していても仕方が無いので、魔法で切り株を均した後、車で牽引するためにガレージに戻った。




 特に問題も発生せず、全ての木を回収した俺は丸太に腰掛けビールを飲んでいた。美味い。


 そういえば魔法は短縮出来るんだった。今練習してみるか。


「開門」


 ゲート、オープンだと魔力を食うため英語から日本語に直した。ふむ、短くなった上、魔力の消費も緩やかになった気がする。規模を広げてみるか。


「開門」


 上半身が突っ込めるくらいのサイズで開いてみる。一応なんとかなるな。


 でも魔力回復薬か。そんなのもあるなら魔力を貯めるタンクもあるかもしれないな。今度レイラかシャーロットに聞いてみよう。ビリーとフレデリックはここら辺の街を転々としているらしく、最近は会わない。縁があれば会うだろう。


 もしかしたらあの棍が魔力の増幅器か?だったらハリー君が持っているような軽い杖が欲しい。ワンドって言うのかな?短い奴。


 それが無かったら最悪クソ不味い散薬を口に含みながらの維持か。そう考えながらもそろそろ日が暮れそうなため、家に引っ込むのであった。

 主人公はミスリル貨を手に入れたら躊躇無く鋳潰して銃に加工しようとしてました。

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