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ものづくりはかなり大変

 今回はちょっと四千字に届かなかったです。

 依頼を終えた俺は帰りにシチューに入れる用の干し肉を買い、家へ帰ることにした。この際再び錬金術ギルドに寄り、硝酸と硫酸、真鍮と魔法陣数種を購入しておいた。


 途中2度程ゴブリンに遭うも射殺し、耳を削ぐ。こいつらも食い詰め者なんだなぁと考えるとやるせない気持ちになるが、森から出てきた奴は人に狩られる運命なので、これも仕方が無い。


 殺すことによる強化は微々たる物らしく、本当に竜でも殺さない限り%単位でしか上がらない。それも殺し慣れてくると上がりも悪くなるらしい。序盤で雑魚を狩るだけでは世界は救えないんだろう。


 強化と言えば手っ取り早いのが他者を殺すことだが、筋トレなども十分に効果はある。むしろパワーレベリングより限界が見えるので、手加減の間違いでうっかり人を殺すなんて事にならないから技巧派はこちらが主流だとか。飯食ってる間レイラに聞いた。


 うっかりで人が死ぬとか怖いな。と思いながらも現実でも余所見運転で普通に人が死ぬんだからそう言う事もあるかなと受容することにした。オリジナルの俺と違ってここでの俺は生まれ変わったと言ってもいい。まずは受け入れることが大事だ。


 考え事をしながらも森に差し掛かり、自分の罠で自滅しないよう気をつけながら家へ帰る。家に近くなるにつれてえげつないのにしておいたから覚えている道と目印は重要だ。自分で指向性地雷(クレイモア)とか喰らいたくも無い。


 帰りがてら罠の点検をし、家に着いたところでほっと一息つく。鉄筋コンクリートにドアは一見木製だが、間には金属板が挟んである。蝶番と鍵も頑丈なので安心できる。


 まずは夕食の準備をしよう。ソーラーパネルも新品同様に戻ったし、夜間電気を着けていても問題ない。作業は後でするとして、まずは飯だ。


 残っている牛乳をこの際全部使い切ろう。そう思い、ジャガイモなどの炭水化物と根菜、葉野菜もまとめて切り、干し肉でダシを取り、煮えにくいものから逐次投入していく。これだとシチューと言うよりクラムチャウダーのような気がするが、深いことは考えない。


 胡椒は見かけず、売っているのは香草ばかりだったので俺もこちらを優先して使う。たまに我慢出来なくなったら胡椒を使えばいいさ。


 切れる前に胡椒を補充出来ればいいなと思いつつもグツグツ煮込む。アクを取り切ったら牛乳を入れ、味を整える。まだ使い切れてないけど冷蔵庫もあるしまだ大丈夫だ。


 一品だけだとちょっと物足りないので、ビーンズの缶も開けて温める。残りは明日の朝食べる予定だ。


 この後作業するので酒は飲めない。残念だと思いながらも夕食の準備が出来たので食べることにした。


 うん、このドードーとか言う鳥の肉美味いな。飛べないから囲いと見張りの牧羊?犬で十分らしいし。こちらでは一般的な食材らしい。単体としてはすぐに終える命だけど、こういうのって種としては成功してるよね。存続的な意味で。


 ちなみに牧羊犬はゴブリンとか狩るから下手な人間より強いらしい。だから上下関係をしっかり教え込まないと大変なことになるとか。レイラは色々な事を知っていたな。


 そういやコボルトと犬ってここじゃどういう関係築いているんだ?と考えながらも食事を終えた。骨でもないのにダシがしっかり利いていて良かった。肉多めに買って来た甲斐があったな。




 少しの間休息を取り、コルダイト火薬の為の設置作業を終えるためにシェルターからガレージに運んだ機材へ向かう。だが魔法陣もあるんだ。全部の工程をやらずに済んだからまだ楽さね。


 かいつまんで説明すると、まず雷管を作るのにベンゼンと言う物が必要になる。うちには石炭もあるからいいのだが、ジアゾジニトロフェノール、他にもダブルベース火薬にはニトロセルロースやニトログリセリンなど、とにかくニトロ化合物が多いのだ。扱いを間違えると爆発するし、とにかくめんどくさい。雷管なしだと電気発火式とかも考えられるが、慣れない方法はやるもんじゃない。それに、そこを乗り切ったら後はハンドロードだけでいいので、魔法陣を頼りにさせてもらう。


 薬莢はプラスチックをいちいち作るのがもう面倒通り越してやる気がしないので、真鍮を使う。溶かして不純物と分けてプレス機に入れたりするだけだ。前記の説明のものより楽である。


 魔法が使えると言う希望が出てきたので、クロストリジウム・アセトブチリカムの培養も並行して行う。溜まったアセトンとブタノールを魔法陣によりそれぞれ使えるよう分けるだけだ。溜まったブタノールはチェーンソーの燃料にもなるし。


 先に培養層にクロストリジウム・アセトブチリカム(以下、菌)をぶち込んで、念のため死滅させないために電気培養も行う。こいつら酸素に弱いからな。


 菌の方は一段落着いたので、魔法陣を敷き、円に三角形を描くように小さな円が描かれている部分にそれぞれ綿、硫酸、硝酸を置く。そうして魔力を充填して何かのはずみで事故が起きないよう、十分な距離を取る。ニトロセルロースはあれでいい、はず。


 一方ニトログリセリンもグリセリンと硝酸、硫酸も魔法陣の上に置き、魔力を充填する。俺って一般人より魔力が多いのかな?それとも回復が早いのかな?まだまだ余裕があるからやっちゃったけど。


 純粋な場所的な問題としてこれでいいか。と、作業を終わらせる。本当はシングルベース火薬で十分なのだが、後々の事を考えると多少銃身に負荷がかかってもダブルベースを作っておきたかった。ミスリル製の銃とか燃えるやん?


 面倒だとか言いながらもなんだかんだでファンタジー金属で銃が作りたい俺はニトログリセリンも作ってしまうのであった。




 時間ギリギリまで見張り、特に予定以外の変化は見られなかったのでそのまま寝ることにした。起きたらガレージが吹き飛んでたとかは無しにしてくれよ。


 翌日、特に爆音で目が覚めるようなことも無く、経過は順調なようだ。よかったよかった。


 8時間は寝てたからニトロセルロースは後52時間か。銃の整備でもしておこう。


 それから2日間、普段の相棒であるショットガンとリボルバー以外の銃の整備を行っていた。ほら、うち元銃砲店だからさ。あ、頑張ればレベルアップによっては40ミリショットガン(・・・・・・・・・・)とか頭の悪い武器も扱えるのか。チャイナレイクグレネードランチャーの総スチール化が捗るな。


 しかしそこまで行くとレベルアップの影響で多くの荷物を持ち運べても早さが足りなくなるからドラゴンのブレスとか喰らったらお陀仏だ。やっぱりミスリルでも手に入れたら作ろう。


 荷物、そうだ、荷物だ。なんで俺はアイテムボックスの事を思い付かなかったのだろう。イメージと魔力でなんとかなる世界なら出来てもおかしくはないはずだ。


「アイテムボックス、オープン」


 試してみたが、これはやばい、アイテムボックスを作り出している間ずっと魔力が喰われている。こりゃ確かに誰もやらないわけだ。


「ふぅー」


 ちょっと休憩しよう。まだ残っているビールでも開けて少し休もう。


 ビールと昨日の残りを温めたものを食べ、ソファーでゆっくりとくつろぐ。あ、なんかモリモリ回復してきた。酒ってそういう効果でもあるのか?


 一時間ほど休憩を挟んだら平気になってきたので、今度はゲート式にして袋の中に手を突っ込むイメージを固める。


「ゲート、オープン」


 あ、今度はさっきより減りは少ない。発火に比べたらやっぱり減りは早いけど、それでも実用の範囲内だ。今度は距離を伸ばしてみよう。


「ゲート、オープン」


 減りは体感では変わらないなぁ。よし、ガレージの外に出て机の上の袋の中身を取れるかイメージだ。


「ゲート、オープン」


 やっぱり減りは変わらない。これがキロ単位になったら変わるかもしれないが、今はそれほどでもないな。


 ついでにガレージの中にワープできるかゲートを開いてみる。


「ゲート、オープン」


 うえ、ぶわっと減った。人間一人通れる大きさには維持出来そうにない。こんなもんか。


 検証が終わったので休憩しよう。まだビールも残ってるし。


 でもこれ便利だな。いちいち薬莢受けを持ち運ばなくて済みそうだ。


 その日酔いが抜けてから罠の確認と、排莢する際、ショットガンの空薬莢をゲートで受け止める練習をした。まだ薬莢受けをゲートでやり取りしたほうが早そうだ。




 訓練も終わり、セルロースのニトロ化が終わったので酸を抜くために別の魔法陣で洗浄する。これで5時間か。


 ニトログリセリンは後でニトロセルロースに加えるので衝撃を加えないよう慎重に保存しておく。アセトン添加したいけどあっちはまだかな。


 ニトログリセリンの近くで別の作業はしたくない。今日はもうこれでいいか。これで数えて3日目だな。畑までは転移してこなかったから少し保存食に飽きてきた。とうもろこし培養層にぶち込んじゃったし。


 さらに次の日、念入りに酸を落としたニトロセルロースを懸架にかけて攪拌していた。不純物を飛ばすのだ。


 そして納得出来る結果になったのでひとまず置いておく。アセトンが出来てからじゃないと不安でニトログリセリンを混ぜられない。


 これもニトログリセリンと同じく慎重に保存し、雷管を作りたかったがまだアセトンが出来てないので今回見送り。


 暗所、適温、絶縁シートで念入りに封をして、また罠の確認をしてからレッドクリフの街へと繰り出すのであった。


 

 徐々に思考が若くなり、口調も若返っています。

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