うり坊との別れ
一同ゴブリン村へ。
俺達はロンドの村で2日程休み、再びレッドクリフへ向かっていた。
まず、馬をレッドクリフに置いたら俺の家には行かないでゴブリンの村に行こうと思っている。シャーロットとリリウムはともかく、フランシスはまだ全面的に信用していない。いい奴みたいだがそう時間をかけずに信用するのはどうかと思うのだ。ビリーとフレデリックはレイラのお墨付きが有ったけど。
前回は警戒しながらキャラバンで3日だったから今回は馬を飛ばして1日だ。日没には着くだろう。夜明けと共に出発したし。
バイクを俺が、馬をフランシスが操り、道中の敵をシャーロットの魔法とリリウムのクロスボウや投げナイフで撃退している。別に命まで取る必要はない。こっちにまで来なければそれでいい。
そんな強行軍で馬が息を切らせているが、日没直前にレッドクリフに到着した。
「では、一日休んでから向かいます。いいですね?」
「あの、やっぱり私が飼うと言うのはダメだろうか・・・・・・?」
「ダメです」
「うう・・・・・・」
案の定、情が移ってるよ。それでも冒険者がイノシシ飼っててどうするんだ?乗るにしても難しいと思うぞ。
「とにかく、ゆっくり休んでください。フランはうり坊を抱いていると周りに迷惑がられるかもしれないので、それも踏まえて宿選びをしてください」
実際ロンドの村では迷惑がられた。
「分かった。私は馬屋で良い」
「なら、寝袋くらいは用意します。風邪を引かないようにしてください」
「うむ」
起きてきたら湯浴みでもさせてやるか。と、宿を探しに行くのだった。
「おはよう、諸君」
馬屋で寝ていたはずのフランシスは全然堪えていなかったようだ。
「おはようございます。ちょっと臭いますし宿で湯浴みの手配はしておきました。半ば予想通りでしたが。ついでにその仔たちも洗ってみてはどうですか?」
「それもそうだな。私もゴブリンに預けるとき綺麗にしてたら食べ物と間違われるんじゃないかと思っていたが、きちんと説明すればいいだけだったな」
「気がつくのが遅れて申し訳ないです」
「いや、良い。気にするな」
「なら、私も入るわ。リリウムも入る?」
「はい」
シャーロットとリリウムも入るらしい。
「それなら俺は必要な雑貨を揃えておきますので、ゆっくり汗を流してください」
「うむ、分かった」
「ユキト、また後でね」
「お任せします。お兄様」
ちょっと魔法薬が心許なくなってきたからな。魔術師ギルドで買い足しておこう。
雑貨の他に魔法薬や石油など一式買ってゲートで家に送った後、適当にそこら辺で買い食いしながら時間を潰していた。一時期俺が石油を買っている姿を見て真似しようと買った連中が居たらしいが、結局売り上げが元に戻っているらしい。
でもこのイノシシ肉の串焼き美味いな。こうやって目に触れないところで捌かれてたら何の罪悪感もなしに食べれるんだけど、それが「ああ」なるとなぁ・・・・・・。
今後パーティにフランシスを加えるならそこら辺もきちんと教えていかないといけないな。そう思いながら宿に向かう。解毒の魔法は活性の応用か、毒素そのものを薄めて時間稼ぎをしながら身体から追い出すものがある。高位になるとピンポイントで毒素を打ち消すらしいが、あいにく俺にはそこまでのものは使えない。そういうわけで、これから森に行くのに酒は飲んでいられないので蜂蜜と果実水で我慢しよう。
串焼きを食べながら蜂蜜果実水を飲んで待っていると、すっきりした顔の3人が出てきた。うり坊達はどことなくぐったりしている。
「準備は完了したわ。行きましょうか」
「分かりました。行きましょう。みんなもそれでいいですか?」
「はい」
「ああ」
「では、行きましょう」
俺達はゴブリンの住む森へ向かった。
ゴブリンの住む森へは、レッドクリフから西に行けばいい。馬を繋いでいると食い詰めゴブリンやハウンドドッグ、コボルトなどに襲われてしまうため、一度レッドクリフに預けておかないといけなかったのだ。
まずは街道沿いに西へ向かう。途中、森に辛うじてバイクが通れるくらいにまで広げた道があるが、気付かないふりをして最短距離へ向かう。どちらにせよそっちはトラップだらけなので俺一人ならともかくほかの面子はお勧めできない。
「だが、私はゴブリンとブラックゴブリンしか見たことが無いからにわかに信じがたいのだが、本当に言葉が通じるのか?」
「ですが、所によってはホワイトゴブリンなども居るのでしょう?」
「話は聞いているが絶対数が少なすぎて見たことが無いのだ」
「そうなんですか」
「まあ、会ってみれば分かるだろう」
「そうですね。探査、対象、レッドゴブリン」
結構近くに来たらしい。
「ここからは刺激しないように俺一人で行きます。しばらくここで待っていてください」
「出来るだけ早くね」
「善処します」
シャーロットにそう言い、ゴブリンの村に向かった。
「族長はいるか?」
俺は村を守っているゴブリン達に聞いてみることにした。ゴブリンたちは俺の姿を覚えていたのかあまり警戒した様子を見せない。
「ギ、ギィ!」
「ググギ!」
1体が族長を呼びに行ったらしい。
「オオ、人間、今日ハドンナ用事ダ?」
割とすぐに来た。
「度々すまない。実は、村の防衛か、畑を耕すのにイノシシの子供を里親にどうか?と相談に来たんだ」
「イノシシ・・・・・・ボアカ?」
「ああ、グラスボアだ」
「デモ、村、余分ニ食ワセル飯ナイ」
「それならもっと狩りが出来るように、胸当てを作ってきてやろう。それと、追加で山刀を作ってやるという約束だが、どうだ?使い心地は」
「トテモ良イ」
「それは良かった」
「コレノオカゲデ狩レル獲物、増エタ。モット増エルナラ、ボア飼ウ余裕デキル」
「いいだろう。それなら数日以内にまた武具を作ってくる。イノシシを連れてる奴らを連れてくるから、警戒しないでくれ」
「ワカッタ」
交渉も上手く行ったので連れて来ることにした。
「お前がユキトの言う族長か?」
「イカニモ」
「本当にゴブリンが言葉しゃべっているわ。興味深いわね」
「リリウム、赤いゴブリンなんて初めて見ました。おなかも六つに割れて、なんかオーガの子供みたいです」
「オーガ見たことあるの?」
「いえ、オーガの子供だったら多分あんな感じだろなぁって」
「後ろの2人は気にしないでくれ。それとこの仔たちが預ける仔だ。頼む」
フランシスに抱かれて眠っているうり坊が3匹居た。
「ワカッタ。頼マレタ」
「たまに元気にしているか様子を見に来る。まだ乳離れが済んでいるか微妙だからグズグズに煮込んだものを食べさせてやってくれ」
「オババノ一族ガ火、使エル。オババニ言ッテミル」
「頼んだ」
フランシスと族長の話も終わったようだ。
「話も終わったようだし、今日のところは帰りましょう。3人はレッドクリフでしばらく自由行動です。こいつらの為に武器を作らないといけないので」
今度は砥石もつけてやろう。自分でメンテナンス出来れば問題ないだろう。
「では行きましょう」
3人を促し、俺達は岐路に着くのであった。
これでうり坊はなんとかなりました。こうやって里親探すのって結構大変です。




