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ネットゲームって保護者同伴のパワーレベリングの光景がたまにあるよね

 予約に不備があったようなので上げておきます。

 リリウムを買い取ってから10日。元々獣人は回復力が早いのか、それとも毎晩俺が魔力切れで気絶するまで活性をかけているせいかわからないが、食べれるだけ飯をやってリハビリをしたら郊外で狩りにいけるほどにまで回復した。


 リリウムの普段着はレイラとシャーロットが選んでくれ、正直男の俺には出番が無かった。


 数着の普段着と装備を買い、はぐれ狼やハウンドドッグの討伐をしている。たまに女騎士の敵であるオーク先輩が出てくるが、そのときはリリウムには荷が重いので俺かシャーロットの手によって退場させられている。


 レイラはリリウムが元気になったのを見届けたらBランク試験に行った。その際にゲートの魔法の応用により大雑把な居場所と危険を知らせる魔道具を送り、俺はレイラの魔力の波長を感知する魔道具を作っておいた。小さな金属製のカードに魔法陣を刻み、それに魔力を通すことにより転移程とまではいかなくてもその存在を知らせるのだ。感知の魔道具は方位磁石(コンパス)のようになっており、北から魔道具を中心にどの方向にレイラが居るのか感知する。リリウムが回復してから俺だけガレージに戻って作成した。流石に複数人や、バイクごと移動はまだ出来ない。


 リリウムの装備は俺のお下がりのナイフにクロスボウ、それと投げナイフ。防具はレザー装備だとちょっと心配なのでブリガンダインを着せてある。下は木綿製のズボンの上から革製品だが。それと罠設置や罠解除のツール一式。致命的なものではなく、針を飛ばす程度のものだけどまあ、使いようだ。


 当初銃を持たせようか迷ったのだが、クロスボウが使い慣れていると聞いたのでそちらを採用した。俺が銃による轟音で注意を引き、その隙をリリウムとシャーロットが突く形だ。最初の狩りでリリウムは発砲音が苦手だというのもあったのだが。


 リリウムを鍛えるのにダンジョンも検討したが、Dランク以上から行く場所らしいので俺達は薬草を採取しながら獲物を狩っている。指定ランクより低い相手はポイントにならないが、オーク先輩が結構なポイントになり、コボルトやゴブリンもまだ指定対象としてカウントされるため地道にポイントを貯めている。ついでに言うとここら辺のゴブリンは黒いのが多い。


 そうして今日もリリウムのレベル上げだ。


「穿て」


 シャーロットのウォーターカッターがコボルト3匹の足を切り飛ばす。以前ビリーのやってた遅延魔法を教えたら、シャーロットも出来るようになった。水は遅延させようとすると魔力の干渉より重力の影響を受けやすくなるので地面にスライムのように固まりになる。


「っ!」


 足を切られもがいているコボルトに、武器や牙の届かない位置からリリウムが短矢(ボルト)を放つ。俺が近寄って撃とうとしたら気合の入った奴が手だけで跳ね上がり、噛み付いてこようとしてから距離にはみんな気をつけている。


 続けざまにリリウムが短矢(ボルト)を装填し、コボルトの頭を穿つ。鏃は安めの青銅製なので、引き抜いて歪んでいたら鏃だけ付け替えて歪んだものは武器屋で溶かして再利用するのだ。


「探査」


 締めにここら辺の敵が居ないか確認する。よし、大丈夫だ。


「よくやった、リリィ」


「はい、やりました、お兄様!」


 尻尾をぶんぶん振って寄ってくるリリウム。和む。


「うん、きちんと骨を避けているわね。えらいわ、リリウム」


 何気に可愛いもの好きなシャーロットがリリウムの頭を撫でる。リリウムもまんざらではなく、表情をふにゃっと崩す。


「二人とも仲がいいのは良い事だけど、討伐証を忘れてますよ」


「あっ」


 リリウムが慌てて討伐証と短矢(ボルト)の回収に向かう。


「ちょっとくらいいいじゃない」


「そう言いますがシャーロット、血の臭いを囮に別の獲物を呼ぶのは構いませんが、俺達が次の準備を終えてからリリウムと戯れてもいいと思いますよ」


「むぅ」


「回収してきました!お兄様、シャーロット姉様」


「ご苦労様。シャーロット、むくれるのも構いませんが、次の警戒に当たりますよ」


「私の方が先輩なのに最近ユキトが生意気になってきた」


 こないだ慢心で肝を冷やしたからな。当然だ。




「Bランクになったわ!」


 宿に帰ったらレイラさんが喜色一面で報告してきた。


「おめでとうございます。これはお祝いですね」


 シャーロットの意見に同意だ。


「ありがとう。今日はあたしがおごるわよ!好評だったし、また猫のゆりかごに行きましょうか」


「ごちそうさまです」


 有無を言わせぬ物言いに俺も余計な口を挟めなかった。


「レイラ姉様、おめでとうございます」


 リリウムも祝福する。尻尾をぱたぱたさせながら言う様は子犬を連想させる。


「あーんもうリリウムちゃん可愛いわね!」


「うひゃあ」


 レイラがリリウムに抱きついてわしゃわしゃ撫でる。ルルちゃんにやれないからかリリウムに対するスキンシップが激しい。


「レイラさん、リリィが困ってますよ。その辺にしておいてあげてください」


「しょうがないわね」


 渋々と言った具合にリリウムを放すレイラ。


「それじゃ、気を取り直して行きましょう」


 レイラの号令で俺達は猫のゆりかごへ向かった。




「いらっしゃいませにゃー。にゃ、レイラさんたちにゃ」


 ルルちゃんがお出迎えしてくれる。


「こんばんはルルちゃん。またご馳走になるってグワルさんに後で伝えてもらえるかな?」


「分かったにゃユキトさん」


「お、名前覚えてくれてたんだ。えらいね」


「にゃ~」


 撫でると気持ちよさそうな声をあげる。猫も良い。


「にゃ?新しい子にゃ?」


 リリウムに気がついたようだ。


「うん、うちの子になったリリウムって言うんだ。リリィ、この子はルルちゃんだよ。挨拶出来る?」


「はい、お兄様に助けてもらいました、リリウムと言います。よろしくお願いします、えっと、ルルちゃん」


「よろしくにゃ、リリウムちゃん」


 ほのぼのとしてる。


「可愛い子が仲良くしてるのは良いわねぇ」


「レイラさん、目じりが下がりすぎてますよ」


 そういうシャーロットだってにやけてるだろうに。


「そうだにゃ、お客さんだから案内しないといけないにゃ。4名様にゃ?」


「ええ」


「わかったにゃ。4名様ご案内にゃ」


 ぽてぽて歩くルルちゃんの後を着いて行く。


「では、ごゆっくりにゃー」


 今日は俺が保護者だし、レイラさんがハメをはずしたときの為に飲みすぎないようにしておこう。


「今日は鍋にしましょう」


 また唐突だな、レイラさん。


「いいですね。どんなものがありますか?」


「しゃぶしゃぶにしましょうか。お肉メインの方が育ち盛りの子にもいいと思うし」


「賛成です」


「しゃぶしゃぶって?」


 シャーロットとリリウムが謎を浮かべている。


「お肉をダシ汁にさっと通して食べる鍋よ」


「補足しておくと、豚肉とかはきちんと火を通してから食べるんですよ」


「レイラ姉様、今日はお肉だけたくさん食べてもいいんですか?」


「いいわよ。今日だけは許すわ」


「やったー」


 リリウムは少し細すぎるからな。たくさん食べて大きくなれよ。


「今日は焼酎にしておきましょう。みんなは飲みたいのある?」


「俺も焼酎で」


「私も」


「蜂蜜果汁水が飲みたいです」


 リリウムは最近少しずつ打ち解けてきた。おかげで明るくなってレイラもシャーロットも喜んでいる。


「なら注文するわね。店員さーん」


 ウィルキスの街に来てから食べてばかりいる気がするな。そう思わずにはいられなかった。




「あ~飲んだわー」


 レイラさんが飲みすぎたので、今肩を貸して歩いている。解毒系の魔法を使えば酔いも薄まるが、それは無粋だ。


「ご馳走様です。レイラ姉様!」


 リリウムも肉がたくさん食えてご機嫌だ。でも明日からまたピーマンを出されても残さず食べさせる。


 何故地球産の食材が?とも思うかもしれないが、異世界からランダムで召喚されているせいで割りと地球の食べ物があるのだ。稀にクラーケンをシャチの群れが襲うこともあるらしい。それでいいのかクラーケン。


 そのせいで雑種化なども進み、地球との混血も見られるとか。それはそれで美味いものもあったりするが、ミントは生命力が強いから他の薬草を枯らしてしまわないか心配だ。


 俺ごときが心配しても仕方が無いか。今美味いものが食えればいい。


「あ、ちょっと吐きそう」


 考え事してたらレイラがピンチになってた。


「もうちょっとで宿に着きますから頑張ってください」


「頑張るからゆっくりお願い・・・・・・」


 一瞬解毒魔法でもかけてやろうかと思ったが、それより早くシャーロットが魔法をかけていたので結局飲みなおすことになった。

 ネットだと後々養殖で困るのは本人なんですけど、この場合は死に直結してるので案外ある光景です。

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