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やっぱり必ずこういう奴が出て来るんだよ

 仕事の帰りは書けなかったので、早くねて、夜が明ける前に執筆しています。ちょっとバイクで朝焼けでも見てこようかな。

 村から出てさらに4日間、ようやくウィルキスの街に着いた。今度から護衛任務はやめよう。性に合わない。


 ギルドから金を貰った俺達はお勧めの酒場とやらでドンちゃん騒ぎをしてた。


「やー、今回はEとは言え便利な魔法と武器を使うユキトが居たし、Eだけでグレイウルフの群れを潰したのもでかかったぜ。そういうわけで、2人の活躍に乾杯!」


 今回何度目か分からない乾杯をしている。


「だが凄かったな。一瞬昼間より明るくなる道具といい、簡単に殺せる武器といい。どうだい?俺に一つ見繕ってくれないか?」


「すいません、ゴードンさん。これを手入れ出来るのは世界広しと言えど、今は俺だけなんで。それに弾が作れるのも俺だけなんで弓かクロスボウを買ったほうが早いですよ」


「そーかー」


「それなら定期的にレッドクリフに寄ればいいんじゃない?」


 ティナが提案してくる。


「俺の国では銃の持ち出しには免許が必要でした。それくらいのものなんです。何しろ指先一つで相手が死にますから。選考基準がまずはそこからなんで、あまり芳しい返事はあげられませんね」


「そう、残念ね」


「まあいいじゃない。転移者特権って事で。転移者は現状聞かされて発狂する人も居るのよ?それも考えれば十分にお釣りが来るわ」


「レイラさんの言うとおりよ。それに魔法だけでも私達に新しい世界を見せてくれたわ。後糧にしていくのは私達自身よ」


「はは、耳が痛いな」


 「疾風の牙」メンバーを代表してトムが言った。ちなみにヘンリーは「目が痛む」と言ってこの場には居ない。あの目は俺に何かしようとよからぬことを考えてた目だ。飲みすぎないようにしないと。


 そう考えたので、俺はワインを蜂蜜と炭酸割りで料理の後味を落とす程度に飲んでいた。




 お開きとなり、酔いを醒ますために炭酸と蜂蜜、それと果実水を貰い、ドライフルーツとナッツをちびちび食べながら俺は宿に居た。


 しばらくすると「トントントントン」と言うノックの音。ここでもノックは4回なのか。


「俺だ、ヘンリーだ」


「どうぞ」


 賊に押し入られるのが嫌だったので、ドアにショットガントラップを仕掛けようかと思っていたところだ。よって、机にはワイヤーとショットガンが置いてある。リボルバーは腰だ。


「実は、話があってな」


「ここでは聞かれたくない話ですか?」


「ああ、ちと恥ずかしくてよ」


 その割には目がギラギラしてると思うが。


「ちょっと待ってくださいね」


 ショットガンを背負い、ヘンリーの後に着いて行った。罠なら食い破ってやろう。




 宿からしばらく離れた路地裏、今俺はここに居る。


「ここら辺でいいだろう」


「離れすぎでは?」


「あまり聞かれたくなくてね。夜襲のときは済まなかった。警告を出してたのに俺が迂闊だった」


 そう言ってヘンリーは頭を下げてくる。あ、袖口でなんか光った。


「いえいえ、俺も奇襲とは言え、事前に説明してなかったのが悪いです。どうか頭を上げてください」


 そう言いながらも右手は腰のホルスターを意識する。


「そうか、ありがとう、よ!」


 ヘンリーは袖口から取り出したダガーを俺の顔めがけて突いて来た。それを俺はヤクザキックで距離を離し、リボルバーを構える。


「どういうつもりだ?」


「へっ、Eのくせに気に入らねえんだよ。おまけに今回のはお前じゃなくて武器の力じゃねえか。だったら俺が有意義に使ってやろうってな!」


 それが合図だったのか、月が陰り、嫌な予感がしたのでその場から飛び退く。


「カークさんよ。せっかく注意を引き付けたのに避けられてるじゃねえか」


「ここで仕留めれば関係ない」


「おいおい、ここで盗賊ギルドのお出ましか?」


 盗賊ギルドには3つの顔がある。1つ目は偵察やトレジャーハンティングなどの、どこかのパーティで斥候(スカウト)になること。2つ目は街中でスリなどの非合法な手段で金品を収集し、元締めにミジカメ料を払うこと。3つ目は暗殺業務だ。斥候をしているゴードンから聞いた。あいつはどう考えても3番目だろう。


 目より下をマスクで隠し、つや消しの黒革の鎧を着て大振りのナイフを二刀流にしている。


「言っておくがここで暴れたら間違いなくばれるだろうな。ヘンリー、お前の顔は覚えている。カークだったか?ここで仕留め切れなくてもそのマスクの下は拝ませてもらうぞ」


 仕留めないつもりは全く無いけどな。


「開門」


 じりじりとリボルバーで牽制しながら、サブマシンガンを取り出す。カークは初見の武器のせいか、構わず突っ込んできた。


「おい、馬鹿!」


 タァーン!と銃声。運か偶然か、寸でで避けたカークは二の足を踏んだ。


「これでお前らの勝ち目は無くなった。銃声で誰かが来る可能性もあるかもしれないな」


 戦士タイプのヘンリーにリボルバーを、牽制と数撃ちゃ当たるの理屈でサブマシンガンをカークに向けた。


「ここでイモ引いてとんずらしても手配されるだけだ、やるぞ!」


「ああ」


 ヘンリーはまっすぐ、カークは狭い路地裏をジグザグに動きながら狙いをつけさせないように走ってくる。


 ヘンリーの装備しているのは革に心臓などの要所を金属で補強した鎧だ。カークも革鎧。つまり、防御力が足りない。俺は2丁の銃を遠慮なく撃った。


 ヘンリーにリボルバーは意識が行っている一方、21連発の弾丸が容赦なくカークを襲う。


 リボルバーを2発撃つ間にサブマシンガンを21発撃ち、さしも暗殺者もこれには想定外だったのか血溜まりに倒れ伏す。チリンチリンと音を立てては消え去っていく薬莢。


「な、聞いてねえよ。なんだよそれ。反則じゃねえか」


「そういうなら2対1だったお前らはどうなんだ?」


「す、すまねえ!出来心だったんだ!この通り!許してくれ!」


「ダメだね」


 こういう奴は絶対逆恨みして同じことをする。許さずその眉間に44口径弾をくれてやった。




「すまねえ!」


 事情聴取から戻ってきて徹夜明けの俺に開口一番、トムが謝った。


「ヘンリーの野郎が根に持つ奴だったとは知ってたが、まさかお前の武器まで狙ってたとは気付かなくてよ」


「報復はヘンリー本人にしたのでお気になさらず。それでもどうしてもと言うのならば一つだけ」


「何でも言ってくれ」


「アダマンタイトとミスリルを扱っている店を紹介してくれませんか?そこから先の交渉は俺がやりますので」


「本当にそれだけでいいのか?」


「ここまでの道のりなら覚えましたし、片方の依頼が不味ければこっちに来るだけです。お金はそれで稼ぐのでご心配なく。それよりメンバーが減ったそちらの方が問題でしょうに」


「ああ、ウィルキスの街の近くには古城を魔族が改造したダンジョンがある。そこで合う相手を探してみることにする」


 ほう、ダンジョンか。予約回復の魔法がものになったら篭るのも悪くないな。


「では、紹介状と場所を教えてくれればこの件は終了と言う事で」


「すまねえ・・・・・・」


 「疾風の牙」の面々は申し訳無さそうだった。




 ヘンリーのせいで余計な時間を食ってしまった俺は、ヘンリーとカークの武具の査定をレイラに任せて寝ることにした。


 ショットガントラップを仕掛け、いざ寝ようという時にノックの音がした。まただよ。


「誰です?」


「シャーロットよ」


「ちょっと待ってください。罠を解除しますので」


 罠を解除し終え、ドアを開けた。


「部屋に入ってもいいかしら?」


「ええ」


「今回は本当にご愁傷様。でも、ああいうのばかりだとは思わないで欲しいの。夜襲の件は多分きっかけに過ぎなかったと思うわ。Eランクが自分より戦果を挙げてて、おまけに自分は警告を無視して負傷。それであんな行動に出たのね」


「いえ、状況は分かっているんです。ただ、ゴタゴタするのが面倒だから、最低限食べていけるだけの任務を受けて暮らしていければそれでもいいかなって思ったんですよ」


「そんな、あなたはまだ若いじゃない」


「俺はここに来るまえはもう年寄りだったんですよ?」


 種としての義務は既に終えた。妻に先立たれたせいか、性欲は若返ったおかげであるものの、欲求不満や連れ合いが欲しいとも積極的な欲が沸かない。ゴブリン一匹で弾頭何十発分かの銅鉱が買えるので、弾の心配も無い。ミスリルは心惹かれるものがあったが、これから先ああいう輩が増えてくるなら面倒ごとを回避するのも選択肢に入れても良いんじゃないかと思った。


「もう俺は終わるはずだった人間です。それを何かの気まぐれでこうやって若返って元気で居られますが、特技を生かして生きていこうというのが逆に首を絞めるなら、家で魔法の勉強でもしてた方がマシかなって思えたんですよ」


 正直10年から20年もてば良いほうだっただろう。何しろ70近かったのだから。


「なら、私があなたを守るわ」


「え?」


「私には人並みはずれた火力しかない。それでも、仲間としてやっていけたら、それは嬉しいことだと私は思う。そうよ。パーティを作りましょう。臨時ではない、正式なものを。私はもっと回復魔法を覚えられるよう頑張るわ」


 通常回復魔法は司祭や神官が得意としていて、魔導士ではどう頑張っても回復魔法は二流止まり、それでも相当な努力が必要なのだ。


「シャーロットは、それでいいんですか?俺なんかの為に何故そこまで?」


「あなたがはじめて何度も懲りずにパーティを組んでくれた相手なの」


「それだけの為に?」


「それほどのことよ!いい?私はこの火力のせいで討伐証ごと破壊してしまうなんてざらよ。それでもあなたは懲りずに組んでくれた。それどころか手加減できるよう新しい魔法まで教えてくれて。これだけして貰えて何も返せないなんて悔しいじゃない・・・・・・」


「シャーロット・・・・・・」


「とにかく、そう言う事!私はもう組むつもりだから!リーダーはゆずってあげる!話はそれだけ!」


 返事も聞かず、シャーロットは部屋を出て行ってしまった。困ったな。あそこまで言われたら一度考えてみるしかないじゃないか。


 でもこんな徹夜明けの頭ではろくな考えが浮かばないだろう。そう思い、再び罠をしかけて睡眠を取ろうと思った。

 自身で使うほか、貴族に売る目的だったら弾数が残り少なくても好事家が買ったりします。それと発明家。

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