表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/29

情報は武器だね

 好きに書き、理不尽に休む。それが私だ。

 3日が経過し、ロンドの村を出てウィルキスの街に出発するとの事で、Eランクだったからと言う理由で俺とシャーロット2人は夜警も2人セットで行っていたが、次からは1人で番をすることになった。7人居るから1時間交代でも6時間は寝れる。


「よし、E2人も慣れてきた頃だ。流石に真ん中だと可哀想だから、最初か最後を選ばせてやろう。ユキト、シャーロット。どっちがいい?」


 トムが提案してくる。


「それならシャーロットがどちらか決めていいですよ。俺寝つきは良いほうですから」


 6時間睡眠だと軽く酒も飲めるし。


「なら、私は最後にさせてもらうわ。6時間も寝れるなんて学生時代の修羅場前よりはるかに恵まれてるもの」


「任務が終わったらそこら辺聞かせてくださいよ」


「いいわよ」


 これくらいは死亡フラグとは言うまい。




 そう考えてたら野盗の集団に夜襲に遭いました。


「起きてください!敵およそ20!」


 一応鳴り子も備えてあるが、敵が遅いとも限らない。俺は言霊に魔力を乗せてメンバーを叩き起こした。


「何事だ!」


 誰だかわからんが飛び起きてくる。


「賊です!人型が20前後居ます!」


「分かった!新入り、よくやった!」


 おそらく鳴り子が鳴る前に気づいたことを言っているのだろう。一定間隔で探査を使ってたのが幸いしたな。


 俺はゲートからフラッシュバンを取り出し、「耳をふさいで目を閉じろ!」と言って思い切り野盗の居る方向へ投げた。再利用できるからワイヤーを着けて発光後手元に引き寄せられるようにしてあるが。


 投げ終えた直後、反対方向を向き強く目を瞑る。1.5秒ほどに調整されたフラッシュバンがバァン!と言う爆発音と共に発光する。「ぐああ!」とか言ってるのは目か、至近距離なら耳もやられたのだろう。狭い屋内では使えないからな。


 こっちも一人「目がぁ!」とか言っているが、あれヘンリーか?警告したのに。


「反対を頼みます!俺は無力化した敵をやります!」


 野盗に人権は無いので、というか今この文化レベルだと人権って言葉があるかも怪しいのでうずくまっている野盗に遠慮なくヘッドショットを決める。鹿撃ち用散弾(バックショット)が容赦なく野盗の頭を削り取った。


 俺がワンショットワンキルを決めていると、寝起きのシャーロットが火の玉の上級で攻撃魔法に分類される大火球を投げたらしい。形容しがたいが、敢えて例えるとボッ!と言う爆発音が聞こえ、後には中まで炭になっているであろうヒトガタが燻っていた。


 こちらは俺のフラッシュバンで被害が一名出たものの、あれくらいなら放置してても時間が経てば回復するし、シャーロットは初級の活性による回復魔法しか使えないが、魔力にものを言わせた力技でそれもなんとかなる。あちらのティナも確か回復魔法を齧っていたはず。何も問題はないか。


 野盗でも武具の状態が良ければ買い取ってもらえるし、悪くても金属製なら鋳溶かすので安くなるが金になる。シャーロットのはどうしようもないが。


 ショットガンの弾はまだ在庫があったので転移陣を刻んでいない。よって、薬莢受けを付けたままの状態なので全て撃ち終わったら鉈とリボルバーに持ち替え、辺りを警戒していた。ショットガンは6発だから6人か。これは大金星じゃないか?


 一度探査を使い、敵がいないことを確認する。残心終了っと。フラッシュバンの回収もだな。


「ユキト、よくやった。間抜けが1人出たが、結果は上々だ。あれはティナに任せるとして、剥ぎ取りを始めてくれ」


「分かりました」


 トムに言われたとおり、持ち物の剥ぎ取りを行う。頭がパーンしてるが、こうなってはもうモノだな。そう考えないと数が多いので気分が悪くなる。


「現代社会の富める風潮がこういうのに対して弱くするのかな」


 俺のぼやきも血とはらわたと人体の焦げる臭いの中消えていった。




 野盗の装備はキャラバンが買い取り、気に入ったのは各自が買い取ってもいいが、野盗とあってそこまで上質な装備も見当たらず、持っていた貨幣を分配することになった。尚、シャーロットは草原のど真ん中でトーチを作った罰としてそれの分け前は無しだ。草に燃え移らなくて良かったよ。


「シャーロット、あれならウォーターカッターで足を狙えばよかったんじゃないのですか?」


「寝起きで機嫌が悪かったのよ」


 襲撃の遭った場所で夜を明かしたら獣や亜人が寄ってくるため、急遽出発となった。夜明け頃に仮眠が取れる予定だ。


 一応人と亜人を区別しておくと、文明圏において敵対的な種族が亜人、共存出来れば人と分類される。ホワイトゴブリンやグリーンゴブリンは人扱いだが、普通のゴブリンは亜人なのだ。なのでゴブリンの家で普通の肌の色のゴブリンの赤子が生まれたら捨てるか殺すか教会に預けて奉仕活動をさせるかになる。エルフはもちろん人で、ダークエルフは昔魔族扱いだったので亜人指定だったが、戦争も終結し、共存出来るようになったので人として認定されている。それでも白人、黒人問題はどこにでも転がっているわけで・・・・・・いや、やめよう。ファンタジー世界にまで面倒なことを必要以上に考えたくない。


 ダークエルフはまだ見たことが無いが、例によってムチムチなのかなーと現実逃避しながら出発準備をする。俺はゲート越しにガレージにテントなどの用具を突っ込めばいいため、結構楽だ。


「ユキトを見てるとうらやましくなるぜ。俺達も拠点を買おうかな」


「だから言ってるじゃない。共通の貯金は必要だって」


「宵越しの金は持たない主義だっ」


「何キリッとした顔で言ってるのよ」


 ゴードンとティナが掛け合いをする。


「そういえば皆さんはDランクでしたね。何か特典はあるんですか?」


「ああ、それはDに上がるまでは説明されなかったな。Dになると税が免除されるんだよ。土地とかもな」


「もしかして税は報酬から天引きで?」


「ああ、これは当たり前のことだし、改めて言ったらめんどくさい奴が出てくるから免責事項には書かれていない」


「そうだったんですか」


 でも、Dになってから説明しても面倒な奴は出てくると思うんだけど。そうしたら追放でもするのだろうか?


 だがまあ、俺も10回任務を成功させて試験を受ければ税を納めなくても済むわけだ。逆に向上心が無いといつまでも税を納めながらヒーヒー言うハメになる、と。


「ちなみにBランクからは国からの強制任務を受諾する代わりに定期的に金が入るんだぜ。受諾しなくてもいいが。最近は安定して大きな戦争も無いし、レイラさんは良い時期に上がるな。Bから騎士爵くらいの権限ももらえるし」


「免責事項には一番高いのはSと書かれていましたが、なった人は居るんですか?」


「ああ、あれは貴族の見栄で作られたもんだよ。伯爵権限まで持てるが、領地ももらえない法衣貴族扱いだし、そこまでランクを上げてるのはとどめばかり刺しているボンボンだ」


 「ああ言うのを俺達の間だと残飯漁り(スカベンジャー)って言うんだ」とトムが続ける。一方ヘンリーは不機嫌で俺に話しかけてこない。大佐ばりの目の押さえ方してたし、しょうがないか。


「さて、と、楽しいおしゃべりも終了だ。荷造りも終わったし、行こうぜ」


「あいよ」


「ええ」


 トムの号令で「疾風の牙」のメンバーがキャラバンの前方へ偵察に向かった。為になる話だった。




 俺達臨時メンバーは再びキャラバンの最後尾で警戒していた。時折小規模な襲撃があるものの、レイラのクロスボウによるヘッドショットで速度を緩めることなく進んだ。


「でも、レイラさんって器用ですね」


「ん、何?」


「剣が主みたいですけど、こんな揺れるバイクの上でろくな照準も付いていないクロスボウで頭を外さないんですから」


「そう褒めないでよ。馬に比べれば揺れも少ないし、はるかに楽ね」


「それでもです」


 最悪至近距離ではゲートで取り出したサブマシンガンを使うことを想定していたが、レイラが上手過ぎてリボルバーすら出番が無い。気楽なものだ。


 そう思いながらも探査を飛ばす。左後方に四本足が2か。


「左後方、四本足が2匹です」


「多分グレイウルフの残りがまだ居たのね。匂いを追って敵討ちに来たんだわ」


「どうしますか?」


 レイラの装填速度はかなり速い、それでも万が一がある。


「こちらから迎えてあげましょう。あたしが右をやるから、ユキトが左をお願い」


「了解」


 俺はホルスターからリボルバーを抜き、左手に持ち替え、奇襲をかけるためにターンしアクセルを吹かせた。




 レイラは片手撃ちでも余裕でグレイウルフの目を貫き、俺は討伐する必要も無いので2発撃ちこみ、内1発がグレイウルフの胴体を直撃した。


「さて、それじゃ戻りましょ」


 今回短矢(ボルト)もキャラバン持ちなので、回収せずにレイラはそう言った。


「ええ、これで終わりだと良いんですけどね」


「護衛任務は到達地点に着くまでが任務よ」


 レイラが暗に「気を抜くな」と言ってくる。それもそうだな。


「分かりました」


「よろしい」


 にっこり笑ってわしわし頭を撫でてくる。それを俺は紐を結いなおし、キャラバンへと合流するためにバイクの方向を戻す。


「じゃ、行きましょうか」


「そうね。まあ任務だけど、野盗はもういいわ。寝たいし」


 それには同意だ。


 それから休憩まで何事も無く、夜襲もあったので一人30分ほど多く仮眠を取ってウィルキスの街へ向かうのであった。

 調子が良かったので前日書いて予約機能と言うものを使ってみました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ