第四話【拠点捜索~学校~】
【File4】
[ストーカー]
ドロレ社が長年の月日と巨費を投じて造ることに成功した、BMの試作品。
試作品とは思えない出来だが、人間と違って知能はかなり低いことが少しキズ。
名前の通り、BM以外の生物を感知すると、とことんまで追いかける。
今のところは、どうやって造られているかは不明。
ドロレ社がなぜこんな怪物を造ったのかも不明である。
「ふぁ~~よく寝たなぁ~っと…」
俺は、起きたらいつもの習慣で散歩しようとして、あることに気がついた。
「そうだった…俺は館に入ったんだった」
他の皆はまだ誰も起きてこない。
だめだ…いつもと違う場所で寝るというのはあまり落ち着かないものだな。
もうすでに日は真上に昇っていた。
「……よく寝てたな」
そう皮肉交じりに言ってきたのは、目の下にくまを作っているジャッカルだ。
「あ、もしかして寝ずの番をしてくれてたの?」
「……当たり前だろう。あんな怪物を見た後で用心しない奴がいるか?」
用心ね……しようとは思ってたが、睡魔という内なるものに勝てるわけがないだろーが。
「まぁ、よく頑張ってくれた。今からは俺達が見張りをするから思う存分、寝ていてくれ」
「…………」
「……?」
ふと、ジャッカルの顔を覗きこむと、もう眼が閉じられていた。
「……よっぽど疲れてたんだな」
さて、これからどうするべきか…。
まぁ、俺一人で色々決めるわけにはいかんだろう。
「よーし、皆!!起きてくれ!!」
俺はまだ眠っている奴らに大声で声を上げる。それに反応し、次々と皆がまだ眠りたいと言いたそうな顔をして起きてきた。
「これから、この拠点の学校の中を見て回ろうと思う。だが、二人組というのはもしもの時に危険だろうから四人ずつになってくれ!余った人はどこでもいいから兎に角入ってくれ」
これを言った後で俺は「しまった!」と思った。この中では一番若輩であろう俺の意見に従わないやつが絶対いると思ったからだ。そんな奴らは下手したら俺のことを「生意気だ!」とか思って命を狙ってくるかもしれない。
だが、そんなことは一切無く皆きちんと俺の指示通りに動いてくれたので安心した。
「よし、ではこれから拠点捜索を開始する!!」
俺の言葉と共に皆は校内やら校庭やら色々な場所に散らばっていった。
さて、俺はどうしよう。パートナーであるジャッカルは気持ち良さそうに寝てやがるし……。
そんな時だった。
「あの……あなたってあの『伝説のトレジャーハンターディスコ』ですか?」
「あぁ、そうだが……?」
そう呼ばれてふり向くと、二人組の男が立っていた。
声をかけてきたと思われる方は、ひょろりとした容姿で、髪型は少しロング、眼鏡をかけていて手には何か難しそうな本が持たれている。いかにもインテリですって感じだな。
もう一人は……うん、いかにも敵に回しちゃ駄目だって感じがする。ジャッカルと出会った時もビリッとしたオーラを感じたのだが、こいつの感じは違いすぎる。オーラで人間を殺せそうなほどの威圧感、更には必要無いんじゃね?と思うサングラス、ずっしりとしていてなおかつ背もある程度高い、上等そうな葉巻。うん、見ただけでこいつマジでヤバイ。
あ、あとスキンヘッド。
とりあえず二人組の第一印象はこんなものだ。
「あ、やっぱりそうでしたか!!実は私、昔からあなたのファンでして!!」
「……はぁ、そうですか」
おい、スキンヘッドよ、なんか喋ってくれ。黙っていたらめっちゃ恐いから。
「特にあの、今から五年前の★月☆日の○○新聞の夕刊に出ていたあの記事素晴らしかったです!!」
「そ、そうですか」
いや、流石に五年前の記事とか覚えているわけねぇだろ!!
しかもこいつ、何も見ないで言ってるし!!
「そして、今から七年前の▲月◆日の◎◎新聞の朝刊に出ていた、アマゾンの秘宝を持ってかえってきた時のあの写真!!今でも覚えていますよ!!」
「……へぇ」
駄目だ、当の本人より他人の方が知ってるってどういうことだよ。
俺の記憶はどうやら三年前ぐらいから止まっているらしい。
「ところで、あなたの名前は?」
「あぁ、忘れてましたね!私の名は[イルリアント・ジ・テヌリース]と申します。まあ、名前はそのままだと長いと思われますので略称してもいいですよ」
ふむ……ならインテリにしよう。
さて、問題は……。
「……こちらは?」
「あぁ、こいつは私の古くからの友人である……」
【名を、デュボロレン・ジェイソンと言う】
「!!!!」
ぐはっ……!なんだ……この……言葉にかかる威圧は……!!
「そ……そうですか……」
「あれ?どうかしましたか?」
「いや……何でもない」
ふぅ……こっちは何て呼ぼうか……。
グラサン…ゴリラ…ハゲ…ボス…
ん!?ボスだ!!うん、ピッタリだ!!
俺は、今度からこいつのことを心の中でボスと呼ぶことにした。
「では、インテリにボs……じゃなくて、デュボロレンだな!」
「はい!!」
【おう】
!!……ぐっ…なんとか…このオーラに耐えられるようになってきた。
「まぁ、俺のパートナーが寝ちゃってるし、俺達三人で探索しよう!!」
「OKです!!」
【おう】
こいつ、「おう」以外喋れよ。
何はともあれ、俺達は校舎内を探索することにした。
ジャッカルは……疲れてるだろうし起こさなくていいだろう。
……………………………………………
「案外普通の校舎だな」
「そのようですね」
そこら辺には、校舎内を探索しているグループがたくさんいる。
「やっぱり人がいる場所がいいですね」
【そうか?俺は静かな方がいい】
「Me too.」
さて、まずAが言っていた武器や食料を探さないとな……トラックが二台、体育館の横にあるのは見たがまだ武器と食料がどこにあるか分かっていない。
「武器や食料がありそうな場所に心当たりはあるか?」
「さぁ……」
【食料なら給食室じゃないか?】
「「あ……」」
そんなわけで俺達は一階の給食室へ行った。
給食室の入口の扉は閉まっていた。
「ここだな」
ウォォオオオオオオオ!!!
バン!バン!バン!
「……何かが扉を叩きながら叫んでいるようですね」
ウオォォ……ァァアアアアア!!!!
バン!バン!バン!
【うるせぇな……片付けてくるか】
「えっ!?流石に危険です!!いくら『不死身の男』と呼ばれたあなたでも…」
あ、やっぱりそういうあだ名があるんだな。
【インテリ!!次その名前呼んだら……アウトな】
……こえぇ。
「でも流石に僕達三人だけだとちょっと厳しいんじゃないすか?」
【この音を聞いた奴らはもう逃げてるだろうぜ】
あ、たしかにここら辺には誰もいねぇな。
【……じゃ、お前ら準備できたな?】
「えっ!?」
「まだ早いんじゃ……」
バコン!!
ボスの野郎……何のためらいなく普通に開けやがった……。
そして、目の前に見たものは……。
ウォォオオオオオオオ!!!
と、音を出してるラジオだった……。
【ケッ!お前らこんな物に驚いていたのか】
「見事な騙しだな……」
「……まさか!?気をつけて下さい!!!」
「え?」【ん?】
インテリがそう言った次の瞬間、扉から見えない場所から何匹かのストーカーが凄い勢いで飛び出てきた。
【「うおっ!?」】
し、しまった!!
すっかり何も居ないと思って油断して、拳銃を構えていなかった!
「うわぁぁああああ!!」
【く……!】
奴らが飛びかかってきた。
もう……だめだ……!!
パン!!パン!!パン!!パン!!
「えっ!?」
銃声がなり響いたと同時に、ストーカーの頭が砕け散った。
【……何が起こった?】
俺達は後ろを振り向くと、そこには……
「ジャッカル!!!!」
そう、俺のパートナー、ジャッカルが立っていた。
「ふっ、どんな時でも油断は禁物だ」
な、なんかすげぇカッコいい……。
その時、ボスがジャッカルに話しかけた。
【あ”?ジャッカル!?てめぇがなぜいるんだよ!!!!】
「え!?」
「うぉ!?デュボロレン!?何でお前までここにいるんだ!!」
【それはこっちのセリフだ!!!!」
【俺は館攻略時に獲得できる あれ を……】
「ふん!!目的は同じようだな!!」
いつもは冷静沈着のジャッカルが普通に話している……。
俺は密かにインテリにあることを聞いてみた。
「おい!ジャッカルとデュボロレンって知り合いなのか!?」
「はい!!幼馴染みみたいなんですけど、昔から二人の間で喧嘩が耐えなかったらしいです。」
「なぜ?」
「あの二人、特技こそ違うものも身体能力はほぼ同じ、好きになった女の子も同じ、通った学校も同じ、就職した先も同じ、という有り様なんです」
「そ、それは凄いな……」
今さっきから二人が言い合いをしている。
「今さっき、助けてやっただろ!!感謝しろ!!」
【うるせぇ!!てめぇが地雷地区の作戦の時、踏みそうになったのを助けたのは俺だぞ!!】
「黙れ!!○○の大手企業のスパイをする時に、お前のそのでかい図体のせいでどれほど苦労したことか!!」
【うるさいったらうるさい!!お前が△△の暗殺に失敗した時、連帯責任で俺まで怒られたんだからな!!】
「黙れったら黙れ!!お前がこっそり武器庫からバズーカ砲を盗み出したことを喋らないでやったことも感謝しろ!!」
……なんか色々とヤバイことが聞こえてくるのは気のせいだ、うん。
と、その時だった。給食室からあの時飛び出してこなかったと思われるストーカーが一番近くにいたジャッカル達に襲いかかった。
「危ない!!」
【「水を差すな!!!!」】
バン!!!!!!!!!!
同じタイミングで銃を撃ったと共にストーカーは倒れた。
こいつら、敵なしでは……?
さて、まだまだサバイバルとは
言えませんね^^;
次話も多分同じような感じだと思います。