第一話【館における説明】
【File1】
[ディスコ・J・オズワルド(28)]
かつては伝説とまで呼ばれていた、元トレジャーハンター。
人生に困らないほどの大金を持っていたがドロレの策略により、全てを失ってしまう。
元トレジャーハンターだけあって、身体能力が異常に高い。
金と復讐のためにドロレが建てた館、『ミステリーハウス』に向かう。
ーー二人がかりでやっと開くことができる重い扉を開けてジャッカルと館の中へ入れた。
しかし、どこか違和感が……
「……外見と中身がつり合ってないな」
「あっ!本当だ!!」
ジャッカルに言われて気づいたのだが、確かに大きさが全然違う。
外からだとただのマンションぐらいだったのに、中は今俺達がいる廊下だけでその大きさを越えている。その廊下も先が暗くてどこまで続いているのか分かりにくい。
そのことに周りのやつらも気づいたようだ。
あちこちからざわめきが起こっている。
その時、あいつの声がどこからか聞こえてきた。
「ハイ!ミナサンオドロカレタヨウデスネ!!」
「ドロレ!!一体この館はどうなっているんだ!!」
「ア~……ソレワアトノホウデハナシマスカラ、イマワルールヲセツメイシマショウ」
……ルール?
よくよく考えたらなぜルールなんてものが必要なんだ?
俺も最初はただ金目当てで来たが、今は復讐のためにこの館を進むつもりだ。
だが、周りの連中はただ金だけ貰って帰るだけじゃないのか?
それならルールなんてものはいらないんじゃ……?
「おい、ジャッカル」
俺は小声で隣にいるジャッカルに声をかけた。
「……なんだ?」
「お前たちは何故館を進むんだ?何か理由があるのか?」
「お前、知らずに来たのか?……理由なら二つある。1つは金のためだ。もうひとつは」
「ハァアイ!ソレデワ、ルールセツメイヲハジメマス!」
ジャッカルが何か話そうとした声が、ドロレのバカでかい声によってかき消された。
「……ディスコ、今は無理だから後で話す」
「……あぁ」
そう言い終わった時、奥から館の前にいた女性が出てきた。
「では、私から説明を致します」
どうやらルール説明はドロレ自身が言うわけでは無いらしい。
助かるな。あいつの声、聞くことは容易だが読むことは困難だからな。
……俺、何言ってんだ?
「私、[A]と申します。以後、お見知りを。ではまず、皆様にはこれを装着していただきます」
そう言って、奥から人数分のスカ○ターみたいな物を持ってきた。
「このスカウ……これは何ですか?」
質問した人が明らかにわざと間違っていることに誰もが気づいていたことであろう。
「はい、このスカウ……」
お前まで間違えるなよ!!
「……失礼しました。これはドロレ社が誇る『超テクノロジー最先端技術使用オートマチックハイブリッドレーザースキャン……」
「「「長っ!!!」」」
多分ここにいる全員がツッコんだ気がする。……いや、俺の隣にいるやつは除く。
「……ちなみにこの名前を付けたのは、ドロレ様です。決して私じゃありませんので」
……怪しいな。
「とっ、とりあえず皆様には略省『CTS』をつけていただきます」
どうゆう風に略したらそうなるんだろう。
単に適当な名前を言っただけじゃないのか?
そして、Aは次々とCTSを配っていった。ちなみに眼鏡をかけている人には、眼鏡に付けれる用のCTSを配っていた。
「では、皆様おかけください」
Aがそう言ったと同時に、皆が一斉にかけた。……いや、俺の隣にいるやつはワンテンポ置いてからかけた。
俺もCTSを掛けてみた。
「!!!うおぉおおおお!!!」
あちこちから歓声が上がっている。
CTSをかけた瞬間、レンズの部分が何かすごいことにーー想像しにくい人はコ○ン君の眼鏡を想像して下さい。
「!……これは凄いな……」
『無愛想』・『無表情』・『無感情』のトリプル『無』が揃っているジャッカルがそう言っているから確実だろう。
俺には何が出ているのかさっぱり分からないが。
「では、まずCTSの機能に付いて説明させていただきます。現在、CTSの機能は
【ドロレ様からの通信が受け取れる】、【赤外線センサーで暗い所も見える】、【パートナー同士で通信できる】
だけです。が、この館には前もって色々なカスタムチップを配置しておきました。それらをここのフレーズ部分にさしこんでいただければ、その機能が新たに使えるようになっております。しかし、残念ながらカスタムチップには数に限りがあります。数は場所によって様々ですが、取り合いになることも充分に考えうるので気をつけて下さい」
おぉ、なかなか宝探しゲームみたいで面白そうじゃないか。
……って違う!俺は復讐のためにここへ来たんだ!!こんなことに気を取られてはならない。……ついでだし別にいいだろ。
「そして、見事ドロレ様の所までたどり着くことができた方には、掲載されていたことをしてあげられます」
「「「オォォオオオオオッ!!!」」」
……掲載されていたこと?あの新聞に何か書いてあったのか?
そういえばあの時俺はいち早く復讐をしようと思って、場所とかを確認してきただけで走ってきたからな。
まぁいい、説明が終わってからジャッカルに聞けばいいことだ。
「そして、皆様のCTSにマネーデータとして100万円を入れておきました。銀行に繋いでいただければ直ちに引き落とすことができます」
CTSってどんだけ高機能なんだよ……。
「では、これから説明するのはこの館を進むにあたっての注意です。まず、
「「どけどけぇっ!!!!」」
Aの説明を無視して、大柄な二人の男が出口に向かって歩いて行っていた。
「正直言って、クリア時のご褒美よりも今は金が欲しいんだ!!こいつに金が入っているんだったら、もうここには用はねぇ!!!じゃあな!!」
そう言って、入口の前まで歩いていく。
……今のセリフはフラグの気がするが。
「あっ!ちょっとお待ち下さい!!」
「ケッ!もう遅いんだよ!!」
そう言って、二人同時に取っ手に手をかけた。
と、その時だった。
バシュン!!!ビリビリビリ……
「なっ!ギャァアアアアア……」
そう言ったっきり、二人の男は動かなくなった。
周りのやつは俺も含めて呆然となっている。……いや、隣のやつを除いて。
「……あいつらは、入った時のドアノブに違和感が無かったのか?」
違和感?そんなの館の大きさぐらいしかなかったぞ!
「はぁ……説明の手間が少し省けましたね」
Aはこうなることが分かっていた、という感じだ。
「ご覧の通り、最初にドアノブを皆様が触った時に指紋を瞬時に登録させ、二回目に触った時には高圧電流が流れることになっております」
へぇ……これまた設備が良いこと。
……って待てよ?
「……要するに俺達はここから出れないってことか?」
そう発言したのはジャッカルだ。
「えぇ、まぁそうなりますね」
「「「!!!」」」
「ふざけんな!」「とっととここから出れるようにしろ!!」「これは、要するに監禁と同じことですよ?」
様々な怒りが爆発している。
「皆様、落ち着いて下さい。最初に皆様は死ぬ覚悟ができているというサインをしましたよね?」
「…………。」
皆は思い出したように静かになる。
「それに、この館からはバルコニーを通して脱出することができます」
バルコニー……ドロレがいる部屋か、丁度良い……!!!
「最後に、皆様にはこれを渡します」
Aが渡してきた物は、
CTSとは違い、誰が見ても分かる物ーーーー
ーーーーーーーそう、拳銃だった。
……今回説明だけのグダグダ回でしたね。
毎度の如く、おかしい、と感じた点がありましたら遠慮なく指摘して下さると幸いです。では。