魔王の息子
えーストーリー上いろいろ問題があったので少し練り直して投稿します……
本当さぁーせんでした!
m(__)m
太陽がサンサンと照らし、新しい季節を喜ぶように小鳥達がさえずり、色とりどりの花が咲き乱れる。
季節は春、魔術都市ミネアポリスにきて二年目の春になる。俺、グレイ・アッシュフォードは綺麗に切り揃えられた芝生の上で昼寝を満喫していた。
「坊っちゃま!起きてください!」
煩い蝙がいるようだが無視無視、こんなぽかぽか陽気に起きてなんかいられるか!しかも、夜遅くまで読書してたから眠いんだい!
「ZZZ……」
「坊っちゃま!」
「むにゃむにゃ……」
「坊っちゃま!起きてください!坊っちゃま!」
「………」
「えい、こうなれば最終手段!…………かぷ」
蝙は俺の首筋に勢いよく噛み付いた。
「痛って〜〜!」
「やっぱり坊っちゃまの血は最高ですな!ぐへへへ……ゲプ」
「……おい」
「おや?やっと起きましたか坊っちゃま、何か問題でも?」
「何か問題でも?じゃねーよ!毎回毎回人の血を吸って起こすな!」
「毎回毎回起こしても、起きない坊っちゃまが悪いのです。」
「そういわれるとそうなんだが……だからって血を吸う事はないだろ!噛み付くだけで十分だろ!」
「それはヴァンパイアの性ですので、仕方ありませぬ!」
「開き直りやがった!」
「坊っちゃまの血が美味しいのが悪いのですぞ!」
「人の所為にまでしやがった!」
「まぁこのコントは終わりにしまして……」
「コント呼ばわり!?」この変態蝙の名はセバスチャン通称セバス、俺のお目付け役兼変態だ。変態なのは既におわかりだろう、ことあるごとに俺の血を狙ってきやがる変態。変態ヴァンパイアだからといって俺の血に対するこだわりが変態過ぎる。まぁ、他の能力は一流なんだが、変態が全てを帳消しにしてしまう。「こんなお姿を見られたら魔王様がお嘆きなされますよ?」
「いや、あのクソオヤジが悲しむ姿が想像出来ないんだが」
「……まぁそれはさておき、魔王の息子たるものもう少ししっかりして頂かないと。前々から言ってますが……」
俺はセバスの説教を聞き流しながら、この世界を思い返してみる。
そう、俺はこの世界、
アスペクトを恐怖に陥れると人間界で言われる魔族の王、魔王の息子だ。しかし、魔王と言えど今は大した力はない。千年前の魔族と人間の大戦争が起こった。原因は魔族が人間を見下し、人間が魔族に恐怖し生まれいた軋轢が爆発したからだ。魔族と人間はたびたび戦争をしていたがゴブリン族やオーク族、人狼族なと魔族の一部だけで収まっていた。しかし千年前はなぜか全魔族まで広がり世界規模の戦争になった。魔族三百万と人間一千万が入り乱れ、双方に甚大な被害をだし泥沼の戦いになると思われたが終結はあっさりとしたものだった。
魔族の王、魔王と、神から信託を賜ったと言われる人間の勇者の一騎討ちが行われたからだ。お互い疲弊し種族が絶滅するまで終わりそうにない戦争に終止符を打つためにはそれしか無かったのだ。
フォゲール草原で一騎討ちは執り行われた。
魔王と勇者の戦いは熾烈を極め、最終的に相討ちなった、しかしフォゲール草原数十キロに渡るに深い溝を残した。それを人間は世界の傷と言いそこから東側が人間領、西側が魔族領とし世界の傷から半径十キロを不可侵領域とした。
そして人間はまた戦争が起きても戦える戦力を保持するために魔術都市ミネアポリスを建設、未来を担う子供達の為と言う建前でフォートレス魔術学院を設立し戦力増強を図った。
一方魔族は、魔王が死に息子が後を継いだが、幼いため権力争いが起こり内乱状態に入った。内乱は二百年ほど続きそれぞれの種族が決まった場所を統治し、表面的に魔王一族が総括をする事でことなきをえた。
そして、魔王一族は名ばかりの存在になった。
「セバス、説教はもう終わったか?」
「説教とはなんですか!説教とは!そんなことでは将来立派な魔王になれませんぞ!」
本当にこいつは煩いな〜
「別に魔王になるつもりはないし第一、後継者はアル兄さんだろ?」
「確かに第一後継者はアルフォンス様です。しかし魔王の息子足るもの下剋上するくらいの心意気がありませんと!」
「だって面倒くさいじゃねーか政治とか、家でずっと読書してる方が楽しいし、アル兄さんに任せれば安心だろ?」
「確かにアルフォンス様なら安心でしょう、しかしだからといってこの体たらくは見過ごせません。何度授業をサボるつもりですか!」
「そんなにさぼって無いって、週に二三回程度だろ?」
「週に二三回が多いと言っているのです!」
「だって学ぶ事が無いんだから仕方がない。学問は城で殆ど学んだし、魔術はアレだし……」
「確かに学問は城でみっちり教えて込みましたし、魔術はアレですが青春を謳歌するのも悪くは無いのでは?」
「そうはいってもエルフやドワーフじゃあるまいし、人間と仲良くして魔王の息子だってばれたらヤバいじゃねーか」
「確かにそうですな」
セバスは苦笑した
比較的平和なこの世界で魔族でも人間と交流がある種族がある。それがエルフ族とドワーフ族だ、エルフは元々人間と友好を深めたいと思っているのが多く、人間からも温厚で魔術に長け、しかも魔族に珍しく美形が多いので結構人気がある。ドワーフは身長はせいぜい百五十センチほど、腕が人の腰周りほどありながら驚くほど繊細な指使いを得意とする。物作りに長け、武器作りで右に出る物はなく、人間の鍛冶屋にはドワーフに弟子入りするものも珍しくない。頑固者が多いが探求心が強い為、人間の柔軟な発想力に興味を惹かれ一緒に行動するのも多々あるそうだ。
「エルフはいいよな〜美形が多くて」
魔王一族は何故か人間とよく似ている。身長も外見もそっくりだった。俺なんか黒い髪に黒い瞳、中肉中背の平凡野郎だぜ?アル兄さんなんか金髪、碧眼、高身長で強くてイケメンとくる。まったく不公平だろ!まぁ腹違いだから仕方がないか……
「無い物ねだりはよくありませんぞ〜」
「まぁな」
「ミネアポリスに来たのも社会勉強なんですからね?」
「社会勉強ね〜〜」
一応名目としては、魔王の息子として検分を広めるための社会勉強だか、はっきり言って丁のいい厄介払いだ。何故かって?そりゃ跡取り問題があるからだ、殆ど発言力の無くなった魔王の跡取り問題なんか魔王一族にとって迷惑でしかない。こっちが魔王になるつもりはなくても、ダメな奴を魔王にしてよりやりやすくしようと考える奴らが出てくるかもしれないからな。まぁ俺にとってもありがたい事だったからな喜んで了承した。俺はミネアポリスのフォートレス魔術学院に来るのが夢だった、とある理由で魔術が殆ど使えないが魔術関連の書籍は世界一を誇り、最先端の魔術に触れるにはフォートレス魔術学院はとても魅力的だったからだ。しかし学院生活は意外とつまらなかった。授業はセバスが教えてくれた範囲で卒業レベルまで達していたためつまらないし、独学で勉強してる方が効率的だったからだ。
魔術実技は出来ない事を習ってもやる気が出ない。
だから自然とサボる様になってしまった。しかし落第にならないよう試験で結果を残しているから教師も厳しく出来ないみたいだがな。授業をサボるからと言って学院に来ない訳ではない、ほぼ毎日図書室に行き独学で学んでいる。フォートレス魔術学院の図書室はもう図書館と言って過言でない、十万冊以上のありとあらゆる書籍が敷き詰められ圧巻としか言い様がない。本の虫の俺にとってここは天国みたいなもんだからな。だから俺はやることはやっている。俺マジ偉い。だからたまに昼寝するおけー?
「しかし今日は勇者の儀式なのですぞ?」
セバスは珍しく好奇心を顕にして言った
「なん……だと!それを早く言え!」
俺は直ぐ様跳ね起き、急いで儀式会場に向かった
まだまだ続く!