格差と差別 一色触発
「ご、ごぶっ……ごめんなさいっ」
「さて……、この状況まだ死なせませんわよ……?このポーション一つでお前を何度も買い直せる一級品の価値のある代物ですから。まぁ、回復させながら次は炎に焼かれてもらいましょうか。」
チシリアは静かなトーンで淡々と話しながらロレルに杖を向ける。
「ま、まてっ!チシリアっお前正気じゃないぞ!冷静になれっ!」
「あらリーダーいらっしゃったですの?私はいたって冷静ですわ。奴隷の人間が奴隷の役割もできない出来損ないと分かったので処分してるだけですわ。」
「一体それのどこが……。」
いや、そんなことを言っている場合ではない、私はロレルに近づき脈を測る。息はしていないが、微かにまだ脈がある。
ロレル!、よかった、まだ息はある!チシリアっ、早く回復魔法をっ!」
「やですわ。」
「は?」
「気が変わりましたわ。どうせ殺すんですからここでその人間が死ぬ瞬間をじっくり見させてもらいますわ。」
なんて奴だ。エルフは遠いむかし人間に神生樹の焼かれてから人間には過度な偏見や差別を持っていると聞くが、チシリアは当時を生きていたエルフなだけあって、人間に対する憎悪が行動に出ている。
「チシリア!オレからも頼むよ!オレ、そいつが作る紅茶ウマいからさ、死なれたらは困るんだよ!」
「はぁ、リーダーもミレアも人間に優し過ぎますわ。まだ若いから人間本質を何も理解していない。最年長の私から言わせてもらいますと人間は愚かで意地汚い、いわば生きてるだけで罪……。ならば、さっさと殺してあげたほうが潔いとは思いませんか?」
「チシリア、お前いい加減しろよ……。」
話が通じない。チシリアがロレルを治すことは万に一つも無さそうだ。
そう思うと無性に怒りが湧いてきた。
ここまで気持ちが昂ったのは何百年ぶりだろうか。
私は爪を剥き出しにし、臨戦体制を整える。
「あら、やりますの?前に手合わせした時はあたしが勝ちましたけども」
「うるさい、チシリアお前が治すと言うまで殺す気で行く。」
チシリアも自分と同じ長さの杖を利き手に持ち替え、両者一色触発の状況になる。
「ごぶっ、かはっ!」
「あっ、あっ!リーダー生き返った!生き返ったよ!」
静寂を砕くようにロレルが息を吹き返す音が聞こえる。
「あらっ、生き返ってしまいましたわ」
「ロレルっ!いやミレア、どうやって回復を!?」
「ダメ元でチシリアがダメになったって言ってたポーションを口移しで飲ませてみたんだけどさ、やっぱ一級品なだけあってある程度の効果は保証されててよかったよ」
それを聞いてドラコは力が抜けて地面に座り込んだ。
よ、よかった。でも、効果は完全じゃない早く止血しないと、それに早く街に帰ってちゃんとした処置をほどこさないと……。
ん……?えっ、さっきミレア、ポーションの飲ませるために口移しで……。
私もしたかった!
早くポーションがもっと早く使えることを思い付いていれば、ご、ごく自然な流れでロレルとキスを……♡♡
(ドラコとロレルがキスしあっているシーン)
グルグルグルルルル♡♡
「ひっ?!リーダー、オレなんかやっちゃいけないことしちゃった……?」
「いや、これはだな……。よくやったミレア感謝する」
「にゃ、にゃらいいんだけど……。」
その後、ドラコは包帯で丁寧にそして早く止血した後、ロレルを抱き抱える。
「あら、まさかそんなでかいお荷物を抱えてボスと戦うつもり?リーダー?」
「そんなわけないだろ、私は今回の依頼を降りる。あとは好きにしろ」
「ね、ねぇ、リーダー?オレはどうしたら……」
恐る恐るミレアがリーダーに尋ねる。
二人の喧嘩に巻き込まれ、ロレルを殺されかけて不機嫌なドラコと、ロレルを殺し損ねて不機嫌なチシリアに挟まれて居心地悪そうにチシリアを見ながら言う。
「ミレアはチシリアを手伝ってやれ、負けることはないと思うが、道中の敵はいつもより強かった。ボスも手強くなってるはずだからな」
ドラコはそう言い残すと二人の目の前を去った。




