表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

最終話:推しに告白しようとしたら、“推しの方が先に告白してきた件”&エピローグ

ついに、決めた。


今まで「推し」とか「愛でたい存在」とか、言葉を濁してきたけれど──

私はもう、はっきり自覚している。


 


リリィを、心から愛している。


 


文化祭、休日デート、修羅場(百合限定)。

さまざまな騒動を経て、私はついに告白の覚悟を決めた。


 


場所は、中庭のあの噴水の前。

原作では、王子がヒロインに告白する“正規ルート”の名場面。


──でも今日は、私がそこに立つ。


 


「クラリス様、呼び出しって……何かあったんですか?」


「ええ、少し話したいことがあるの。大事なことよ」


 


リリィは首を傾げて、小さく微笑んだ。


「……なんだか、クラリス様、緊張してます?」


「……そりゃ、まあ。だって、今から告──」


「じゃあ、私から言ってもいいですか?」


「──え?」


 


言葉を飲み込む。


リリィは噴水のきらめきの中で、まっすぐにこちらを見つめた。


 


「……私、クラリス様のことが好きです」


「──え、あの、まって、それ私のセリフ……!」


「でも、クラリス様って、いつも私より早く動いてくるから。

せめて告白くらい、先に言わせてください」


 


リリィの頬は真っ赤だった。

でもその瞳は、迷いひとつない。


 


(……負けた)


いや、勝ったのか? 両方か?

わからない。けど──


 


「……ありがとう。リリィ、私もあなたが好き。

“推し”とか、そんな言葉じゃもう足りないくらいに」


「……っ!」


 


次の瞬間、私はリリィをそっと抱きしめていた。

ふわっと、甘い香り。

細くて、でも温かい体。


 


(この温度が……私の幸せなんだ)


 


「……クラリス様って、ほんとズルいです」


「私の辞書に、“公平”という言葉は載っていないの」


「ふふ、知ってますよ」


 


──そして、乙女ゲームの“破滅ルート”は、消え去った。


代わりに、私が手に入れたのは──最高の恋人。


 


恋の矢印は、一方通行から両想いへ。

世界は相変わらず騒がしいけど、この手だけは離さない。


 


私の人生は、“悪役令嬢”から始まり、

“ヒロインとの百合ハッピーエンド”で幕を閉じる──


 


いや、閉じないわね。

だってこれは、始まりなんだから。


 


◆エピローグ

その後のふたりと、なぜか巻き込まれる他キャラたちの話


・カトリーナ嬢は未だに推しノートを更新中。しかも最近“クラリス×リリィ”を公認カップルとして描き始めている。

・王子はようやくクラリスの“恋の矢印”が自分に向いていなかったと気づき、涙ながらに後退した。

・隠しキャラ・ロゼは「百合こそ正義」という独自の価値観で、謎の“百合応援団”を発足。

・リリィとクラリスは現在、隠れて手を繋いで登校している。が、すでにほとんどのクラスメイトにはバレている。


 


そしてクラリスは、今日も思う。


(転生してよかった──この世界で、あなたに出会えて)


 


──完──



ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


本作『転生悪役令嬢は、ヒロインを攻略したいだけなのに…』は、

「なろう系の王道要素(転生・悪役令嬢・破滅回避)+百合ラブコメ」という、

ある意味で“邪道”な方向を突き詰めた作品です。


読者の「こんな悪役令嬢見たことない!」を引き出せるように、

テンプレを崩しつつ、愛と笑いとすれ違いをたっぷり込めました。


特に百合ジャンルでの“告白のすれ違い”や“恋心の自覚と混乱”は、

王道ラブコメよりも繊細なバランスが必要ですが、

だからこそ読んだあとにじんわりと残る感情を意識しました。


「この作品を読んで百合が好きになりました!」と言ってもらえたら嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ