表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第6話:そしてライバル令嬢、百合に目覚める──“推し被り”から始まる三角関係!?

文化祭から数日後。

学院は再び落ち着きを取り戻しつつあった──が、私の内心はそれどころじゃない。


 


(リリィの“好き”発言……どう考えても、あれは推しとか通り越して、恋じゃない!?)


 


でも、あの時私はまたしても逃げた。

“推し”という便利な言葉で包んで、自分の気持ちをごまかした。


ダメだこれ、こっちが“悪役”になってるパターンじゃない?(精神ダメージ)


 


そんな悶々とした昼下がり、事件は再び起こった。



 


「おや、クラリス様。ご機嫌よう」


 


振り返れば、背後に立っていたのは──


カトリーナ・ド・フローレンス嬢。


 


この乙女ゲーム世界における“第二の悪役令嬢”ポジション。

物腰は柔らかく、貴族としての品格も完璧。

でも内心、ヒロインに対してライバル心を燃やす「隠れヤンデレ」タイプ。


 


つまり──私の百合ライフの最大の敵である。


 


「……何のご用かしら、カトリーナ嬢」


「少し、お話を。リリィ嬢のことについて」


「はいストップ。リリィは私の推しです。これ以上は立ち入り禁止です」


「うふふ、そういうと思いましたわ」


 


にこやかに微笑むその顔に、ほんのりとした狂気が滲んでいるのは気のせいではない。


 


「貴女、気づいていないようですけれど……

最近のリリィ嬢、クラリス様を“見る目”が明らかに変わってきておりますわ」


 


(……知ってる。むしろそれが悩み)


 


「それに、クラリス様が“推し”として可愛がっている間に──

私はもっと……個人的な好意を伝えることにしますわね」


「…………はい?」


 


「ええ、もう決めましたの。

私、リリィ嬢を“本気で”恋人にしたいと思っておりますの。

ですから、勝負しましょう。貴女と私で──」


 


「いやです」


 


即答した。


 


「えっ?」


「無理です。私、推し活なので。恋のライバルとか、そういうテンションじゃないので。

あとあなた、ヒロイン狙いで百合宣言してるけど、それ私の領域ですから」


「……あら、ではこうしましょう。私も貴女のことが気になってきましたわ」


「は?」


 


カトリーナ嬢はくすくす笑う。


「推しが被ってしまった以上、貴女を観察するしかないでしょう?

そしたら……少しずつ、貴女も“推し対象”に入ってきたといいますか……」


 


「ちょっと待て。それってつまり──」


「ええ、“三角百合関係”のはじまりですわね?」


 


──ああもう、乙女ゲームのはずなのに、

百合ゲームどころか“百合バトルロイヤル”が始まってしまった!!


 


このままではいけない。

リリィに告白された側でありながら、ごまかし続けている私が一番ずるい。


でも、でも──


 


(もう少しだけ、この曖昧な距離のままでいたい。

だって、推しの隣って……居心地良すぎて、抜け出せない……)


 


そんな迷いを抱えながら、

私はリリィと、カトリーナとの“不可思議な三角関係”の渦に巻き込まれていくのだった──。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ