後日譚7:夜の庭園デート。リリィからの突然の耳元囁き「……クラリス様、独り占めしたいです」
ある晩。
学院の裏庭にある噴水広場にて、リリィと私はこっそり待ち合わせをしていた。
「クラリス様、待ちました?」
「いいえ、ちょうどよ」
満月の下、リリィは普段の制服とは違い、夜会用の淡いブルーのワンピース姿だった。
ふわりと風になびく銀髪、しなやかな指先。私は思わず息を呑んだ。
「……やっぱり、反則よ。リリィが美しすぎるのがいけないのよ」
「クラリス様も、とっても綺麗です。……ちょっとドキドキします」
二人だけの夜。誰も見ていない。
私は手を差し出すと、リリィがそっと指を絡めてきた。
「夜に会うのって、なんだか……秘密の恋人みたいですね」
「秘密じゃないわ。もう、私はリリィを世界中に自慢したいくらいよ」
「……じゃあ、クラリス様は、私のことを誰にも取られたくないって思いますか?」
「当然よ。誰かが手を出そうとしたら、無慈悲に排除するわ」
「……ふふ。じゃあ、私も同じです」
そう言って、リリィが私の耳元に顔を寄せた。
そして、囁くように言った。
「……クラリス様のこと、独り占めしたいです」
「っ……!!」
心臓が、爆発した。
「ずっと、一緒にいてほしいです。誰にも渡したくない……」
「……リリィ、それ、キスしてほしいって合図?」
「……はい。お願いします」
私は答えるように、彼女の腰を引き寄せた。
そして、月明かりの下で、静かに唇を重ねる。
優しくて、けれど確かに熱を帯びたキス。
ひとしきり唇を離した後、彼女はほっと息を吐き、甘えるように私に寄りかかってきた。
「……クラリス様、だいすきです」
「私もよ、リリィ。もう、この手は絶対に離さない」
夜風がそっと吹いて、ふたりの髪を揺らした。
噴水の音と、鼓動の音だけが響く静かな夜。
恋人として、特別なひとときを重ねる、私たちだけの“秘密の庭園デート”だった。




