後日譚6:嫉妬しちゃったリリィが、やたらスキンシップしてくる
学園にある温室の前。
昼休み、ひとりで花の世話をしていると、突然背後からぎゅっと抱きつかれた。
「……んっ!?」
「クラリス様……」
「リリィ!? どうしたの、こんなところで……」
「……ダメです。クラリス様、さっき他の子と話しすぎでした」
彼女は私の背中に顔を埋めながら、むすっとした声で言った。
「え? ……ああ、アリシア嬢のこと?」
「はい。あんなに距離近くて……笑いかけて……」
「それ、ただの貴族の礼儀よ。私の“恋人”は、リリィだけに決まってるじゃない」
そう言って振り返ると、リリィはわずかに潤んだ瞳で私を見ていた。
「……でも、心配になったんです。クラリス様は、誰にでも優しいから」
その言葉に、胸がぎゅっとなる。
こんなにも想ってくれているのだ、と。
「……可愛いなあ、もう……」
私はリリィの手を取り、温室の奥のベンチに座らせると、そっと抱き寄せた。
「ほら、ちゃんと見て。私の目を」
「……はい」
「私はリリィしか見てないし、これからも見るつもりないわ。だから、嫉妬する必要なんて、一ミリもないのよ」
「……ほんとに?」
「ほんとに。……証明する?」
「え?」
私はそっと彼女の耳元に口を寄せて、囁いた。
「リリィが可愛すぎて、今夜眠れそうにないって、そう言いたいくらいよ」
「~~~~~~っ!! クラリス様ぁっ……!?」
リリィの顔は、完全に茹で上がったトマトだった。
でもそのあと、まるでスイッチが入ったみたいに、彼女は私にぴったりとくっついてきた。
「……じゃあ、もっとくっついてもいいですか?」
「え、あの、リリィ? ちょ、腕、絡めすぎ──っ!」
「好きです、クラリス様……だから、もっと……こうしてたいです」
「っ……!! リリィ、反撃が甘すぎる!!」
まさかの嫉妬→甘えモード突入。
その後の午後の授業、私はずっと手を握られながら板書を取る羽目になった。
でも、嫌じゃなかった。むしろ……幸せだった。




