後日譚2:昼休み、恋人モード全開の図書室デート
昼休み。
私は今、学園の図書室の一番奥――誰も来ない隅っこの席に、リリィと二人で並んで座っていた。
机には二人分のお茶と、買ってきたスイーツ。
でも本は一ページも開かれていない。
理由は簡単。
私が、本よりも彼女の顔しか見ていないから。
「クラリス様……さっきのスコーン、美味しかったですね」
「ええ、あなたが選んでくれたのだから当然よ」
「ふふっ……あ、クラリス様、ちょっと……」
「え?」
「……ほっぺにクリームがついてますよ」
リリィは小さく笑いながら、自分のハンカチを取り出した。
私はその仕草に、胸が高鳴るのを止められない。
でも次の瞬間。
「れろっ」
「っっっっ!?!?!?」
リリィが、私の頬に自分の舌を――軽く、ちろっと当ててきた。
「ごちそうさまでした。甘くて、美味しかったです」
「えっ!? えっ……な、なに、いまの……えっっっ!!?」
「……昨日の夜、クラリス様とのこと思い出しながら、百合小説を読み返して。ちょっと……練習、しました」
「リリィィィィィィ!? 尊死する!! 今すぐ尊死するっ!!」
図書室の机に突っ伏してバンバン叩きながら叫ぶ私を、リリィは楽しそうに見つめていた。
「じゃあ、次は……クラリス様からの番、ですね」
「……っ!」
私はぐいっと身を乗り出して、彼女の顔をそっと両手で包んだ。
「……キス、してもいい?」
「……はい。ずっと、待ってました」
唇と唇が、静かに重なる。
熱くて、甘くて、息が止まりそうなキスだった。
図書室の静寂のなか、私の心臓の鼓動だけが、やけに大きく響いていた。




