表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/60

第53話:開幕、王立魔法大会

そして、運命の日が、やってきた。

王都エルドラードは、朝から、祭り一色の、熱気に包まれていた。

王立魔法大会の会場である、巨大な円形闘技場コロッセオには、国中から、観客が、詰めかけている。

貴族、平民、様々な人種。

その全てが、これから始まる、最高のエンターテイメントを、固唾を飲んで、見守っていた。


「すごい、人の数ですね……」


選手控え室で、エリナが、緊張した面持ちで、呟いた。

彼女は、アシュフォード家の紋章が入った、真新しい、銀の鎧に、身を包んでいる。

その姿は、凛々しく、そして、美しい。


「ああ。だが、心配するな。君は、君の力を、信じればいい」


僕は、彼女の肩を、ポンと叩いた。


一方、魔法部門の控え室では、アルベールが、目を閉じ、精神を集中させていた。

彼の周りには、以前のような、傲慢な空気は、もはやない。

ただ、純粋な、魔術の探求者としての、静かな闘志が、満ちていた。


やがて、ファンファーレが、高らかに鳴り響き、大会の、開会が宣言された。

国王陛下が、貴賓席から、開会の辞を述べる。

その隣には、ゼノス宰相が、蛇のような、冷たい笑みを浮かべて、控えていた。


そして、宰相の、さらに隣。

そこに、あの男はいた。


クロード。


宮廷魔術師の、豪奢なローブに身を包み、その涼しげな顔には、一切の感情が、浮かんでいない。

しかし、その瞳だけが、まっすぐに、こちらを、アシュフォード家の選手席を、見つめていた。

まるで、全てを、見透かしているかのように。


《マスター、彼が、クロードです。やはり、只者ではありません。彼の周りのマナの流れが、異常なほど、静かすぎる。まるで、彼自身が、魔法そのものであるかのような……》


あいりの声に、初めて、解析不能なものに対する、畏怖の色が、混じっていた。


大会は、まず、武闘部門から、始まった。

エリナは、初戦から、圧倒的な強さを見せつけた。

僕と、あいりが、徹底的に分析した、対戦相手の、弱点と、癖。

それを、エリナは、完璧な剣技で、的確に、突いていく。


「す、すごい! アシュフォード家の、あの女剣士は、一体、何者だ!?」

「相手の動きを、全て、読み切っているかのようだ!」


観客席から、驚きの声が上がる。

エリナは、危なげなく、トーナメントを勝ち進んでいった。


そして、ついに、準決勝。

彼女の、対戦相手として、現れたのは、やはり、あの男だった。


ゼノス派の騎士団長、バルガス。

熊のような、巨体に、身の丈ほどもある、巨大な大剣を、軽々と、担いでいる。


「お嬢ちゃん。運がなかったな。ここで、俺と当たっちまうとはよ」


バルガスは、下卑た笑みを浮かべ、エリナを、威嚇する。


しかし、エリナは、動じない。

彼女は、静かに、剣を構えると、僕の方を、ちらりと見た。

僕は、彼女に、力強く、頷いてみせる。


「試合、開始!」


審判の、号令と共に、バルガスが、雄叫びを上げて、突進してくる。

その一撃は、岩をも砕く、破壊の化身。


しかし、僕の目には、あいりの分析によって、その、0.3秒の、致命的な隙が、はっきりと、見えていた。


僕は、エリナに、合図を送る。

ただ、一つ、頷くだけ。


それだけで、十分だった。

エリナは、僕の合図を、信じた。


彼女は、バルガスの、死の一撃を、紙一重で、かわすと、その懐に、疾風のように、潜り込む。

そして、僕が、来る日も、来る日も、練習させた、あの、一点。


バルガスの、右膝に、彼女の剣が、閃光のように、突き刺さった。


ゴシャッ!


鈍い、骨の砕ける音と共に、巨体が、闘技場に、崩れ落ちた。


静まり返る、コロッセオ。

やがて、それは、割れんばかりの、大歓声へと、変わった。


無名の、美少女剣士が、最強の騎士団長を、一撃で、下したのだ。

その、衝撃的な結末に、王都中が、熱狂していた。


僕たちの、最初の勝利。

しかし、本当の戦いは、これからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ