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第38話:地下遺跡への入り口

あの日から、数日が過ぎた。

僕たちは、表向きはリリアーナ嬢の護衛や、ギルドの依頼をこなしながら、水面下で、来るべき時に備えていた。

エリナは、来るべき戦いに備え、剣の鍛錬に余念がない。

そして、僕の脳内では、あいりが、膨大な情報の海の中から、ただ一つの答えを導き出すために、フル稼働を続けていた。


そして、その日の夜。


《――マスター、特定しました》


あいりの声が、僕の脳内に、静かに、しかし、力強く響いた。


《ゼノス宰相が狙う、古代遺跡の入り口。その場所を、完全に特定しました》

「本当か、あいり!」

《はい。刺客の証言、王都の古地図、そして『設計図』のデータを組み合わせ、三角測量のような手法で位置を割り出しました。誤差は、ほぼありません》


僕の視界に、王都の立体的な地図が表示される。

そして、その中の一点が、赤く、点滅していた。


「……ここは?」


僕が指し示した場所は、王都の、貧民街の一角にある、古びた教会の跡地だった。

今はもう、誰も寄り付かない、廃墟となっている場所だ。


《この教会の地下聖堂。その祭壇の下に、隠された階段が存在します。そこが、遺跡への入り口です》

「宰相は、いつ動く?」

《彼の計画は、最終段階に入っています。おそらく、三日後の新月の夜。警備の兵士を動かし、遺跡の入り口を確保。そして、内部に突入するでしょう》


残された時間は、三日。

僕たちは、宰相よりも先に、遺跡に乗り込み、彼の計画を阻止しなければならない。


僕は、エリナに、計画を打ち明けた。

もちろん、あいりの存在や、エリナの血筋のことは伏せたまま。


「ゼノス宰相が、王都の地下に眠る、危険な魔物を復活させようとしている。僕たちは、それを阻止しなくちゃいけない」


僕の言葉を、エリナは、真剣な眼差しで聞いていた。

彼女は、僕が「天才軍師」として、何らかの情報網を持っていると信じている。だから、僕の言葉に、疑いの色はない。


「わかりました。トオル様の策に従います。私が、あなたをお守りします」


彼女の力強い言葉に、僕は、頷いた。


僕たちは、残された時間で、冒険の準備を整えた。

ポーション、食料、ロープ、そして、あいりが「遺跡内部で有効」と分析した、いくつかの特殊なアイテム。

全ては、あいりのナビゲート通りに、完璧に揃えられた。


そして、運命の夜。

僕たちは、人目を忍び、王都の貧民街にある、廃教会へと向かった。

月明かりだけが、不気味に、崩れた建物を照らし出している。


教会の中は、静まり返っていた。

埃と、カビの匂いが、鼻をつく。


《マスター、地下聖堂は、あちらです》


あいりの指示に従い、僕たちは、教会の奥へと進む。

そして、ついに、僕たちは、その場所を見つけた。


地下へと続く、石の階段。

その先には、ひんやりとした、暗い闇が、口を開けていた。


「……行こう」


僕は、ゴクリと喉を鳴らし、エリナと共に、その闇の中へと、一歩、足を踏み入れた。

この先に、一体、何が待っているのか。

僕たちの、本当の戦いが、今、始まろうとしていた。

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