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第37話:捕らえられた刺客と新たな情報

意識を取り戻した時、僕は宿のベッドの上にいた。

全身が、鉛のように重い。馬車から放り出された衝撃で、あちこちを打ち付けたらしい。


「……トオル様! お気づきになりましたか!」


ベッドのそばで、心配そうに僕の顔を覗き込んでいたエリナが、安堵の声を上げた。

彼女の目には、うっすらと涙が浮かんでいる。


「リリアーナ嬢は……?」

「ご無事です。少し、気を失っておられただけです。今は、アシュフォード公爵家の屋敷で、安静にされています」


エリナの言葉に、僕は、心の底から安堵のため息をついた。

最悪の事態は、避けられたようだ。


「あの刺客は……?」

「はい。私が捕らえ、ギルドに引き渡しました」


エリナは、力強く頷いた。

その瞳には、確かな自信が宿っている。

彼女は、僕の指示がなくとも、一人で状況を判断し、的確に行動できるまでに、成長していた。


《マスター、素晴らしいチームワークでした。私の予測と、エリナの実行力、そして、マスターの決断力。その全てが噛み合った、完璧な作戦遂行でした》


あいりの声が、僕の脳内に響く。

その声には、満足感と、僕たちへの賞賛が込められているように感じた。


数時間後、アシュフォード公爵家の執事が、僕たちの宿を訪ねてきた。

彼は、僕たちに、深々と頭を下げ、リリアーナ嬢からの感謝の言葉と、多額の報酬を差し出した。

そして、一つの情報を、僕たちにもたらした。


「ギルドで、あの刺客の尋問が行われました」


執事は、声を潜めて言った。


「彼は、ゼノス宰相に雇われた、元暗殺者でした。そして、彼は、こう自白したそうです。『宰相閣下は、王都の地下に眠る、古代の力を手に入れようとしておられる』と」


やはり、間違いない。

ゼノス宰相は、王都の地下遺跡に眠る、何かを手に入れようとしている。


「さらに、彼は、こうも言っていたそうです。『その力を制御するためには、特別な血筋を持つ、巫女が必要だ』と」

「巫女……?」


僕の脳裏に、エリナの顔が浮かんだ。

古代の「聖女」の血を引く、彼女。

まさか、宰相が探している巫女とは、エリナのことなのか……?


《マスター、その可能性は、極めて高いでしょう。ゼノス宰相は、エリナの存在に、まだ気づいていないかもしれません。しかし、時間の問題です》


あいりの冷静な分析が、僕の不安を煽る。


執事が帰った後、僕は、エリナに、全てを話すべきか、迷っていた。

彼女のペンダントのこと、聖女の血筋のこと、そして、宰相が彼女を狙っているかもしれないこと。


しかし、今の彼女に、その全てを背負わせるのは、あまりにも酷だ。


《マスター、今はまだ、その時ではありません。我々がすべきことは、ゼノス宰相の計画を、彼よりも先に突き止め、阻止することです》


あいりの言う通りだった。

僕たちが、エリナを守るんだ。


「あいり、宰相が狙っている、地下遺跡の場所は、特定できそうか?」

《はい。今回の刺客の情報と、私が解析中の『設計図』のデータを照合すれば、数日中には、遺跡の入り口を特定できるでしょう》


あいりの声は、力強い。


「よし、決めた。僕たちで、その遺跡に乗り込むぞ」


僕たちの新たな目標が、定まった。

それは、もはや、誰かの依頼ではない。

僕たち自身の、意志による、戦いだ。


王都の地下に広がる、巨大な闇。

そこに、一体何が眠っているのか。

僕たちの冒険は、新たな、そして、より危険なステージへと、進んでいく。

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