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第25話:王都への旅立ち

双頭の竜との死闘から数週間。

僕たちは、アークスの街で、再び冒険者としての活動を再開していた。

しかし、以前とは、僕たちの心境も、ギルドからの依頼内容も、大きく変わっていた。


もはや、僕たちは、ただの駆け出しの冒険者ではない。

Bランクの依頼をこなし、ギルドマスターからも一目置かれる存在となっていた。

だが、僕の心には、あの双頭の竜との戦いが、深く刻み込まれていた。

あいりの予測すら超える、未知の脅威。

そして、エリナのペンダントが持つ、謎の力。

手に入れた古びた本も、あいりが解析を進めているものの、その全貌は、まだ掴めていない。


「マスター、この街で得られる情報は、すでに飽和状態です」


ある日の夜、宿の自室で、あいりが僕に語りかけた。

僕の目の前には、あいりが解析した、この世界の地理情報が、立体的に表示されている。


《このアークスは、辺境の街としては栄えていますが、大陸全体の情報が集まる場所ではありません。より高度な知識、より強力な魔術、そして、あの双頭の竜のような未知の存在に関する情報を得るには、この大陸の中心地へ向かう必要があります》

「大陸の中心地……王都か」


僕の視界に、この世界の地図が広がる。

アークスから、はるか東に位置する、巨大な都市。

それが、この大陸を統べる、アークランド王国の王都、エルドラードだ。


《はい。エルドラードには、王立図書館、魔術師ギルドの本部、そして、様々な情報が集まる大商会が存在します。あの『設計図』の解析を進める上でも、より多くのデータが必要となるでしょう》

「エリナのペンダントのことも、何か分かるかもしれないな」


僕は、エリナのペンダントを思い出す。

あの時、彼女の命を救い、僕たちを脱出ルートへと導いた、あの不思議な光。

あれが、一体何なのか。

そして、エリナの家名「エリナ」が、没落した貴族の娘であるという背景も、何か関係があるのだろうか。


「でも、王都か……遠いな」

《陸路で移動した場合、最短でも一ヶ月はかかります。道中には、危険な魔物の生息域や、盗賊団の縄張りも存在します。しかし、マスターとエリナの現在の実力であれば、十分に踏破可能です》


あいりの声は、いつも通り、冷静で、合理的だ。

僕一人では、とても考えられないような、壮大な計画。

でも、あいりがいる。そして、エリナもいる。


「エリナは、どう思うかな……」

僕は、少しだけ不安になった。

彼女は、アークスで、ようやく冒険者として認められ、安定した生活を送れるようになったばかりだ。

また、新たな危険に身を晒すことを、彼女が望むだろうか。


その日の夕食時、僕は、エリナに王都への旅立ちを提案した。

彼女は、僕の言葉を聞くと、一瞬、驚いたような顔をした。

そして、すぐに、その瞳を輝かせた。


「王都へ、ですか! 素晴らしいです、トオル様! 私も、いつか王都に行ってみたいと思っていました!」

「でも、危険な旅になるかもしれないぞ。それに、アークスでの生活も、ようやく落ち着いてきたばかりだし……」

「危険など、恐れません! トオル様とご一緒なら、どんな困難も乗り越えられます!」


エリナは、僕の手を握り、力強く言った。

その瞳には、僕への絶対的な信頼と、未来への希望が満ち溢れている。

彼女の純粋な眼差しに、僕の不安は、あっという間に吹き飛んでしまった。


「よし、決めた。王都へ行こう!」


僕たちは、アークスでの活動を整理し、旅の準備を始めた。

ギルドマスターには、僕たちの決意を伝えると、彼は何も言わずに、ただ、深く頷いた。

そして、餞別として、王都のギルドへの紹介状と、いくつかの貴重な情報を提供してくれた。


数日後、僕たちは、アークスの街の東門に立っていた。

見慣れた街並みが、遠ざかっていく。

僕たちの前には、広大な大地と、はるか彼方に見える、王都の影。


「さあ、行こう、あいり、エリナ」


僕は、新たな冒険への期待に胸を膨らませ、一歩を踏み出した。

僕たちの旅は、まだ、始まったばかりだ。

そして、この旅が、この世界の運命を大きく変えることになるとは、この時の僕は、まだ、知る由もなかった。

◆ ◇ ◆

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