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寒がりの短編集

人を送る歌

作者: 寒がり
掲載日:2024/07/23

 我をおきて君はゆく

 ゆくは君の本意(ほい)ならじ

 本意ならざれど 残さるる

 ものをいかにおもふらむ

 

 いかでか君をとどめんと

 手足にすがるかひもなし

 あさき息はいやあさく

 我が手の中で去りてゆく

 

 かたらえずとも息をきく

 君の寝息の安らかに


 息あらずともなつかしき

 君のその身の温かさ

 

 冷たいけれど手を握る

 骸といへども君はゐつ

 

 これで別れと手をあわし

 その顔ばせをのぞきこむ

 荼毘にふすれば復た逢えじ

 別れの上にこの別れ

 我をおきて君はゆく

 

 な連れ去りそ我までも

 人のこころに君生かば

 君なる我は死ぬるべし

 かへらぬ旅に君とゆく

 君とともに彼はゆく


 我をおきて君はゆく

 我をおきて君はゆく


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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