人を送る歌
我をおきて君はゆく
ゆくは君の本意ならじ
本意ならざれど 残さるる
ものをいかにおもふらむ
いかでか君をとどめんと
手足にすがるかひもなし
あさき息はいやあさく
我が手の中で去りてゆく
かたらえずとも息をきく
君の寝息の安らかに
息あらずともなつかしき
君のその身の温かさ
冷たいけれど手を握る
骸といへども君はゐつ
これで別れと手をあわし
その顔ばせをのぞきこむ
荼毘にふすれば復た逢えじ
別れの上にこの別れ
我をおきて君はゆく
な連れ去りそ我までも
人のこころに君生かば
君なる我は死ぬるべし
かへらぬ旅に君とゆく
君とともに彼はゆく
我をおきて君はゆく
我をおきて君はゆく