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「留学の予定だって………」
わたしは、なかなか息を整えることができなかった。そんな様子のわたしを見て焦ってたのか、翔くんはわたしが落ち着くように背中を擦ってくれた。
「月ちゃん、いったん落ち着こう。深呼吸して……。
」
しかし、わたしの背中の擦る翔くんの手は震えているように感じた。
「………」
「月ちゃん、だいぶ落ち着いた………?」
「うん……。ありがとう。」
しばらくして、少し落ち着いたわたしたちは先日入ったばかりの大学の近くのカフェで向かい合って座っていた。しかし、未だにわたしは完璧には落ち着けていなかった。前に座る翔くんも同じなのか、何度か深呼吸を繰り返し手を向いていたが、表情は暗いように見えた。2人の間に気まずい雰囲気が流れる中、それを破ろうと声を出したのは翔くんだった。
「星太さ……、留学って、どこに? いつ?」
「ごめん翔くん、動揺しすぎてそこまで聞くの忘れちゃってた……。」
「そっか…………、そりゃ、そうだよな。いきなり留学とか言われても頭の整理追いつかねぇよな。」
2人の間に、再び沈黙が訪れる。わたしは星太の留学のことを教えてくれた彼に、もう少し詳しく話を聞けばよかったと後悔した。しかし、翔くんの言うようにわたしの頭の中は留学と言われた瞬間、真っ白になってしまっていたのだ。
「これからわたし、どうしたらいいのかな………。」
「っ、そうだよな。ここからどうやって星太と会うか……。」
ただ、星太に会いたくて今まで探し回ってきたが、留学と分かった途端、急に先が真っ暗になってしまった。星太がいつ、どこに留学するのか。明日かもしれないし、もっと先かもしれない。でも、もしかしたらもう会えなくなってしまうのではないか。そんなたくさんの考えがわたしの頭の中を支配していた。わたしが思い詰めていると何度もわたしの名前を呼ぶ翔くんの声に気がついた。
「月ちゃん! 月ちゃん? 大丈夫……? 呼んでもなかなか返事しないから……。」
「っ大丈夫大丈夫!ちょっと色々と考えちゃって……。」
「月ちゃん。とりあえず、今日は帰ろう。今日で星太に大幅に近づけたのはいいけど、いったん、頭を落ち着かせたほうが良い。」
焦るわたしを見て、翔くんは心配そうな顔で提案してきた。正直なことを言えば、わたしは今すぐにでも星太の留学に関する情報をかき集めて、星太に会いに行きたいというのが本音だった。しかし、翔くんから見たわたしは、心配が顔に出てしまうほど焦っているのだと思うと妥当な考えだとも思った。
「そうだね……、そうする。」
「うん。」
わたしたちは、この話をしたあとカフェを出た。翔くんが心配だからと家までわたしを送ってくれた
しかし、わたしの家までの道のりの間、わたしたちはほぼ会話をしなかった。単純に疲れていたとあると思う。しかし、隣を歩く翔くんの表情は曇っており、わたしは励ますような言葉を言うことができなかった。
「ありがとう送ってくれて。翔くんもしっかり休んでね……!」
「うん。月ちゃんもね……!」
翔くんと別れ家に入ると、急に疲れがどっと出たのか、わたしはベットに飛び込んだ。
「留学、か……。別に教えてくれてもよかったじゃん……。」
「はぁ………………。ほんとにどうしようこれから。」
一人で、ぶつぶつと文句を言っていると、しばらくしてスマホが鳴った。送り主は翔くんだった、
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『月ちゃん大丈夫そう?』
『今日はだいぶ疲れたよな』
『星太の留学の話、知ってる人とか周りで探して情報集めてみるよ』
『月ちゃんは焦らず、いったんしっかり休みな』
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翔くんからのメッセージは、焦るわたしの気持ちを少し落ち着かせてくれた。なんと返そうか考えていると、追ってもう一件メッセージが届いた。
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『いったん俺に任せてみて』
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そのメッセージはとても心強く、ありがたかった。
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『ありがと翔くん』
『いったん翔くんに任せるね』
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翔くんにメッセージ送り、わたしはスマホで予定を確認した。
「明日から三連休か……。ひさしぶりにいっぱい寝て、しっかり休もう……!」
わたしはそう意気込み、寝る準備して、ベットに入った。
三連休の間、わたしは星太探しから離れ、しっかり休んだ。しかし、離れたとは言っても頭の中では少し焦りもあり、何度か翔くんにメッセージを送ろうとしてはやめるというのを繰り返していた。そんな三連休も三日目の夜に差し掛かっていた。わたしはお風呂に入り、ご飯を食べて、寝るまでの時間をスマホを眺めながらまったりと過ごしていた。すると、三日ぶりに翔くんからのメッセージが届いた。
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『しっかり休んでとか言ってたのにLINE送ってごめん』
『この三連休、情報集めしたんだけど』
『色々大事なこと分かったから明日また教える』
『講義終わる時間また教えて!』
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わたしは翔くんのメッセージに、心臓が少し早くなった。大事なこととは何の事なのか。わたしの眠気は一瞬にして覚めてしまった。
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『情報集めありがとう!』
「明日は3限あるから、15時くらいに集まろ』
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メッセージを送るわたしの手は緊張で少し震えていた。




