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白衣を持っていた生徒が校舎のすぐそばにある食堂に入っていくのが見えた。わたしは、その様子を見て思わず立ち止まってしまった。わたしの頭の中で一つの考えがうかんできた。
「食堂に近いこの校舎の学部だったから、食堂に来るのがいつも一番乗りだった………とか? それに、ここの学部だったらわたしとほぼ会うことはない………!」
わたしは、すぐに白衣を持った生徒が出てきた校舎の中に入って、近くにいた男の人に声をかけた。
「すみません…! 宮木星太って人、ここの学部だったりしませんか?!」
食い気味に聞きすぎたのか、相手は少しびっくりした様子だった。
「えっと………、宮木くんですか……? そうです、、けど………?」
「っ!!!ほんとですか!!ありがとうございます!」
わたしは、大きな手がかりを見つけることができ、とても嬉しくなった。これは、すぐに翔くんに伝えないといけないと思いすぐにスマホをカバンから取り出した。すると、さっき質問に答えてくれた人がわたしにまた声をかけてきた。
「あの、宮木くんのこと探してるんですか…? だとしたら、宮木くんはいまは……」
相手がなにか言いかけてたその時、わたしのではないスマホの着信音がなった。
「すみません、電話が来てしまって…。失礼しますね。」
そう言って、その人は行ってしまった。なにか言いかけていたからその先を聞きたかったが電話をしながら歩いていってしまった。
そのあと、わたしは他の人にも聞いてみようと思ったが、お昼の時間ということもあり、この校舎から出てくる多くの人が食堂へと早足で歩いていくのを見て、声をかけにいくことができなかった。
「仕方ない……。今日は帰るとするか〜…。」
わたしは、そのまま大学の門の方へと歩き出した。
大学を出て、わたしはすぐ翔くんにLINEを送った。
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『翔くん!! 速報だよ!! 星太の学部がわかっ
た!!』
『理系の学部だった!!! いた人に聞いたから間違いないよ!!』
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「これでよしっ。!」
LINEを送った後、わたしはまっすぐ家に帰った。
翔くんからの返信を待ちながら、家でゆっくりしているとスマホの通知音が鳴った。画面をみると、返信を待っていた翔くんからの返信だった。
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『月ちゃん、ナイスすぎる!!!!!』
『また詳しく話も聞きたいし、スケジュール空いてる日とか、教えて!!』
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わたしは翔くんからのメッセージを見て、ちょっと頑張ってみてよかった、と嬉しくなった。
わたしは家でお風呂に入り、寝る準備ができた後、翔くんと会う日を決めるために、ベットに横になりながらスマホで自分のスケジュールを眺めていた。
「……星太にはいつ会えるんだろう……。もう、別れようって言われたあの日から一回も会ってないのかぁ。」
ふと、星太のことが頭をよぎった。星太に別れを告げられたあの日から数日たったが、星太がいない日々はいつもより楽しさも、面白さも半減しているように感じていた。わたしは、星太と付き合ってからこんなにも星太と会っていない日が続いたのは今回が初めてだったのだ。
「……会いたいなぁ……。」
わたしは一人ぼっちの部屋のなかでボソッと呟いた。やはり、一人になるとどうしても寂しくなってしまう。付き合っていた頃は、毎晩星太とメッセージのやり取りをしながら寝る準備をしていた。家に帰って一人になっても寂しいと思うことはほとんどなかった。しかし、今はその寂しさを無くしてくれる星太はいないのだ。そんなことを思い出すとまた、目から涙が溢れそうになった。
「ダメダメ!!! 泣いちゃダメ!!弱気になっちゃダメ!!」
わたしは、上を向いて涙が溢れるのを無理やり耐えた。わたしは、これ以上ネガティブな気分になってしまう前に眠ってしまおうと思い、部屋の電気を消して頭まで布団をかぶった。星太の聞き込みで疲れていたのか、わたしはすぐに寝てしまった。
目を覚ますと、すでにカーテンの隙間から日の光が差し込んでおり朝になっていることに気がついた。スマホを見ると翔くんからのメッセージ届いていた。
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『月ちゃんー!!』
『もう寝ちゃってる??笑』
『俺、明日授業お昼までだから、午後は予定空いてる!!』
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わたしは、ベットからからだを起こし翔くんにメッセージを返信した。
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『おはようー!』
『寝ちゃってた!笑』
『わたしは、3限目があるから16時くらいから空いてるよーー!!』
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翔くんに返信をしたあと、自分にもう一度、
「弱気になったらダメだ!!!」
とカツをいれて、大学に行く準備をして、家を出た。




