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ママは ・・・ 真っ赤なランドセル

作者: 花 美咲

今年、小学校に入学するから、去年のクリスマス直前に、ママと一緒に選んで、真っ赤なランドセルを買いました。

買った直後に、病弱だったママは、病気に負けて死んでしまいました。

そして、真っ赤なランドセルが、わたしのママになりました。


今年・・・


わたし、愛子(あいこ)は、小学校に入学するんだけど、去年のクリスマス前に、ママが、病気で死んじゃった。


元々、病院の入院と退院を繰り返していた... ママ



わたしとパパとママで、クリスマスプレゼントを買ってもらうのと、ランドセルを買いに行った帰りに、ママの容体が急変して病院に緊急入院、そして、そのまま、ママは、お(うち)に帰ってくることはなかった。



今年のお正月は、わたし、愛子と、パパと、おじいちゃんとおばあちゃんだけ...


炬燵に、わたしとパパとおじいちゃんとおばあちゃんだけ...


ママの笑顔がない、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんも笑顔がない...


おじいちゃんとおばあちゃんに、お年玉を貰っても嬉しくない。



ふと・・・



鏡餅の側に置いてある、クリスマス前に買った、ママと一緒に選んだ真っ赤なランドセルをチラ見する。


なんか、真っ赤なランドセルが、ママに見えてくる。


わたしとパパとおじいちゃんとおばあちゃんで、お雑煮と、おせち料理を食べた後は、近所の神社に初詣にお出掛けをしました。



去年までは、ママに賽銭箱に入れる5円玉を貰っていたが、今年は、パパから、賽銭箱に入れる5円玉を貰った。



チャリン チャリーン



わたしは、手を合わせて、神様にお願いをしました。


『 神様 神様は ママを天国に連れて行ったから 大嫌いだけど せめて 夢の中で ママに会わせて下さい 』


真剣に祈りました、むっちゃ真剣に祈りました。



その時・・・ 頭の中に・・・


【【 初夢に お母さんの夢を見せてあげる 】】


【【 だから 買ったばかりの真っ赤なランドセルを枕元に置いて寝なさい 】】


何故か? この言葉が、頭の中に浮かびました。




その晩・・・ 就寝前・・・




わたしは、パパに言いました。


『 パパ 愛子 ママと一緒に買った真っ赤なランドセルを枕元に置いて寝たいんだけど... イイかな? 』


「 えっ? ランドセルを... 」


『 イイでしょ... パパ 」


パパは、突拍子もない、突然のお願いなのに、わたしを叱ることなく、すんなりと、わたしの枕元に、真っ赤なランドセルを置いてくれました。


ドサッ


「 これでイイか!? 愛子 寝るぞ 」


『 パパ おやすみなさい... 』


カチッ


部屋が、真っ暗になった。


真っ赤なランドセルを見ながら、わたしは、目を瞑りました。 


隣には、パパが寝ている。


わたしの敷き布団の左横はパパの敷き布団で、右横は、ママの敷き布団があった。


しかし、現在いま、ママの敷き布団を敷いている場所は、単なる畳である。


空間が、ママがいないという現実を認識させる。


パパ... お休みなさい ママ... お休みなさい




・・・


・・・ ・・・


・・・ ・・・ ・・・





〘 愛子... 愛子... 愛子... 〙



えっ? ママ ママなの... 夢 これは夢... 夢の出来事なの...


ゆめのなかで、わたしは、目が覚めました。


ゆめのなかで、わたしは、死んだママと再会をしました。


ゆめのなかで、目を覚ます、右横に視線を向けると、ママの敷き布団が敷いてあり、ママが起きていて、わたしに優しい眼差しをくれました。


ママが、普段、着ていたパジャマ姿だった。


わたしは、ママだと思い、ママの胸元に飛び込みました。



バアッサアッ...  


『 ママぁー ママぁー ・・・ 』



わたしは、ママの身体にしがみつく、ママの柔らかいおっぱいの感触を感じると、ママは、わたしの頭をナデナデしてくれて、そして、言いました。


〘 愛子 パパを 困らすことをしては イケませんよ 〙


『 ママ ママ 愛子 愛子は ()()にしてるよ... 』


〘 そう... ()()にしているのね... 愛子 ランドセル ママと一緒に選んで買ったランドセルを開け・・・ 〙





『 ママ... 』


『 ママ... 』 『 ママ... 』


『 ママ... 』 『 ママ... 』 『 ママ... 』



ままぁぁ~~~~~~~~~~~~~~っ!



「 愛子... 」


「 愛子... 」 「 愛子... 」


「 愛子... 」 「 愛子... 」 「 愛子... 」



「 どうした? 悪い夢でも見たのか? 」


パパの呼ぶ声で、わたしは、目が覚めました。


慌てて、わたしは、ママと一緒に選んで買ったランドセルを開けました。


「 どうした? 何で? ランドセルを開ける? 朝ごはんが出来ているぞ? 」


だって、絶対に、ママは、ランドセルを開けろって言ったと思うから... 



あったっあぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!


わたしが、ママと一緒に選んで買った真っ赤なランドセルを開けたら、封筒が入っていました。


あいこへ... って、書いてありました。


『 ママが... ママが... ママがね 夢の中で言ったの ランドセルを開けろって 』


わたしは、興奮しながら、パパに言いました。


初詣に行って、お祈りをしたら、頭の中で、誰かに言われたの?


枕元に、ママと一緒に選んで買った、真っ赤なランドセルを枕元に置いて寝なさいとか?


夢の中で、ママに、真っ赤なランドセルを開けなさいって言われたの?


パパは、興奮して、お話しをしまくる、わたしに言いました。


「 そう 良かったね... ママの手紙を 愛子は読めるのかな... 」


わたしは、パパに言いました。


『 読めるもん 愛子 幼稚園で ひらがなを全部 覚えたもん 』


ひらがなを読めると訴えた、わたしに、パパは言いました。


「 そう ひらがなが読めるのか? ママの手紙を読んでみなさい 」


『 うん 読んでみるよ パパ... 』


えっと... えっと... えっと...


わたしは、封筒から、ママの手紙を取り出しました。




あいこへ ...


あいこは ようちえんで ひらがながよめるようになったから


ままの おてがみをよめるとおもうので


ままは あいこに おてがみをかきたいとおもいます


あいこが ままの おてがみをよむころには


ままは びょうきで しんでしまって


あいこの そばに ままは いません


ままが いなくなって かなしくなって ないて


ぱぱを こまらせていないか


ままは とっても しんぱいなので


この おてがみをかいたのです


まず あいこ


あいこというなまえは ままとぱぱが あいしあって うまれたから


あいこというなまえを つけたのです


だから あいこ なまえに ほこりをもちなさい


ほこりとは じしんをもって いっしょうけんめい


あいこのじんせいを あゆみなさいといういみです


ままのかわりに ぱぱをたすけてあげる まいにちを すごしていたら


きっと あいこのじんせいは


すばらしいじんせいになるとおもいます


ままが いないからって


だめな おんなのこに なるようなら


ままは てんごくで かなしいおもいをするので


だめな おんなのこには ならないように いきてください


さいごに あいこに いっておきます


さびしくなったら かなしくなったら


ままと いっしょに えらんで かった


まっかな らんどせるを ままだとおもいなさい


しかし まっかな らんどせるを せおって かよう 


しょうがっこう ろくねんかんのあいだまで です


ろくねんかんのあいだに おそらのむこうにある てんごくで くらしている


ままをしんぱいさせない すてきな おんなのこに なっていると


ままは おもっているから ろくねんかんのあいだに


ままを しんぱいさせない すてきな おんなのこに なってください


あいこなら できる がんばれ



あいこを いちばん あいしている ままより 




『 ・・・ ・・・ 』


なんか、なんか、へんてこりんな気持ちになりました。


言葉を言えません、へんてこりんな気持ちの、わたしに、パパは言いました。


「 愛子 ママの手紙 読めたのかい? パパも 読んで いいかい? 」


パパは、ママの手紙を読もうとして、手紙を触ろうとしましたが、わたしは、抵抗しました。


『 パパ ダメ 愛子が 小学校を卒業するまでは ダメ その代わり パパ 約束するよ 愛子 パパを心配させない そして 天国にいるママを心配させないように生きて行くよ ()()になるよ だって それが 天国にいるママの願いだから... 』


天国にいるママの願い・・・


その言葉に関して、パパは、わたしに言いました。


「 わかった わかった 愛子 その手紙は 愛子とママだけの手紙なんだな でもな これだけは言わしておくれ ママはな 愛子の小学校入学までは 生きる努力はしていたんだ たくさんお薬を飲み たくさんの点滴もした すべては 愛子が 真っ赤なランドセルを背負って 小学校の校門を渡る姿を見るため... ママが 一生懸命に生きようとしていたことだけは... わかっておくれ... 」


パパ... パパ... 泣いているの?


パパの目は、涙目になっていました。


『 パパも ママがいなくなって 寂しいんだね 』


わたしは、そう言いながらパパに飛びつくと、パパは、わたしをぎゅっと抱きしめてくれました。


『 パパ... 愛子... ()()になるよ 』


わたしが、パパに言ったら、パパは、愛子に言いました。


「 愛子は もう... ()()だよ 小学校でしっかりと勉強して 天国にいるママを 驚かしてやれ 」


『 うん パパ 愛子 勉強を頑張るよ 』


わたしが、パパに言ったら...


「 さぁ 朝ごはんを食べるぞ 愛子 おじいちゃんも おばあちゃんも お腹を空かして待っているだろうし 炬燵に行くぞ 」


『 行こう 行こう 愛子 お腹が空いたよ... 』


わたしは、パパと一緒に、おじいちゃんとおばあちゃんが待っている炬燵に向かいました。



ママ... お手紙をありがとう...



わたしね、小学校を卒業する日、卒業式に、ママがくれたお手紙をパパに見せようと思うの...


それまでは、ママと一緒に選んで買った真っ赤なランドセルを、ママだと思って、小学校で... たくさん勉強して、たくさん遊んで、たくさん、パパのお手伝いをするから...


天国にいるママを... 心配させないように頑張るから...



ママ... 天国から愛子を... ちゃんと見ててね...







【 終わり 】  










 











 





冬童話2022で、童話に初挑戦させていただいて、今回、冬童話2024で、2回目の挑戦となります。

お手柔らかに、お願い致します。(笑)

それでは最後まで、お読みいただきありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言] じーんとしました。 愛子ちゃん、頑張って!
2024/02/05 22:49 退会済み
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