第六姫
戦場では少年兵ソラが窮地に陥っていた。
「ああ、なんだか頭がぼーっとして……」
相手は羊の姿をした魔物で、
ソラはなんらかの魔法攻撃を受けていた。
「俺たちのソラに手ぇ出しやがって!
今助けてやr……ああ、なんだか眠くn……」
「そいつは“催眠シープ”だ
鳴き声を聞いたらやばいz……Zzz」
「ソラだけでなく、みんな催眠状態に……
俺には観ていることしかできない……」
「なんだか変な気分になってきた……」
場面は変わり、ワカバは確認を取っていた。
「ところでレミス、
騎士と兵士の仲が悪いという噂を耳にしたのですが、
それは本当のことなのでしょうか?」
「ええ、その通りです姫様
兵士の男どもときたら、いつも私たちのことを
いやらしい目で見てくる最低な連中なんです
姫様もお気をつけください」
「その格好のせいでしょうね
それはさておき、邪悪なる存在の脅威に晒されている今こそ
お互いに手を取り合い、協力すべきだとは思いませんか?」
「姫様、それは難しい話です
あの者らは長年虐げられてきた恨みがあるので、
我々に対する忠誠心というものがありません
自分の家族を守ることしか考えていない身勝手な連中なんです」
「今すぐ彼らに謝りなさい
連日の襲撃を食い止めているのは
紛れもなく兵士の皆さんです
その身を以て邪悪なる存在に立ち向かおうとする、
彼らの勇敢さに敬意を表するべきではありませんか?」
「その必要はありません
あの者たちに邪悪なる存在の件は伏せております
彼らは配属先でたまたま遭遇した魔物と戦っているだけで、
国家存亡の危機だという意識が欠如した連中なんです」
「知らせていないのなら当然でしょう
どうして伏せる必要があるのですか?」
「日ごとに強くなる敵に対して、
あたふたする姿を見るのは楽しいじゃないですか」
「この騎士団は解体しましょう」
場面は戻り、兵士たちの戦いは終わった。
「俺たちのソラに手ぇ出しやがって!
……ムニャムニャ」
「……あれ、終わってる?
たしか“催眠シープ”に眠らされたんだよなぁ」
「俺には観ていることしかできなかった……
ピンチだったけど、シルバが助けてくれたんだ」
「さすがシルバだなあ……って、なにこの格好!?」
ソラは催眠状態で自分から全裸になったが、
兵士たちは催眠シープの撃退に成功した。