第四姫
戦場では少年兵ソラが窮地に陥っていた。
「この体は屈しても、心までは屈しないぞ……!」
彼は人間の子供サイズの魔物に取り押さえられていた。
「俺たちのソラに手ぇ出しやがって!
助けられるなら助けてやりたい!」
「あいつは“穴塞ぎゴブリン”だ
見た目に反して力が強いから気をつけろ」
「ソラの穴という穴が塞がってゆくが、
俺には観ていることしかできない……!」
「絶対に屈すrmnk……mgmg」
場面は変わり、ワカバは戦略会議を開いていた。
「ではレミス、戦況を教えてください」
「ハッ!
我々は勝っていて、負けておりません!」
「ざっくりすぎます
まずは兵士の皆さんが
どこで防衛しているのかを把握したいのですが」
「兵士どもには王国領の正門を守らせております」
「人数はどれくらいですか?」
「国中の男が全部です」
「では、裏門は騎士の皆さんが守っているのですね?」
「いえ、誰も守っておりません
先日も申し上げたように、荒事は男の役目です」
「どうして戦力を一点集中させているのでしょうか?
わたくしにはその理由が思い当たりません」
「国王陛下から全力で守れと命じられたからです
全兵力を投入するのは当然のことであります」
「貴女は馬鹿なのですか
今すぐに兵の半分を裏門へ回しなさい」
「お言葉ですが姫様、
そんなことをすれば戦力が半減してしまいますよ?」
「貴女は馬鹿なのですね
戦力の分散と仰ってください
素人のわたくしでも思いつくことですよ」
「戦力の分散……なんという名案……!
姫様が戦の天才だったとは……!」
「この国が攻め落とされるのも時間の問題ですね」
場面は戻り、兵士たちの戦いは終わった。
「ハァ、ハァ……
俺たちのソラを……ハァ、ハァ」
「ああ、“穴塞ぎゴブリン”から……ハァ、ハァ
守り切ることができたな……ハァ、ハァ」
「俺には観ていることしかできなかった……ハァ、ハァ」
そこにはかろうじて最後の穴を守り切ったソラの姿があった。
「うっ……うぅぅ……!
どうして僕ばかりこんな目に遭うんだよぅ……!」
例によって彼の衣服はボロボロになったが、
兵士たちは穴塞ぎゴブリンの撃退に成功した。