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第十姫

裏門の戦場では王国最強の兵士シルバが窮地に陥っていた。


「くっ……なんて強さだ……!

 こいつは俺に任せて、お前たちは周りのザコを片付けてくれ!」


相手は5万匹の兵隊を引き連れた最強の魔物……邪悪なる存在だった。

対して王国の兵士は総勢1万人で、その半数は別の防衛拠点に配置されていた。


「あのシルバがあんなに苦戦するなんて……!

 俺たちのソラがここにいなくてよかったなぁ!

 あいつ、いつも一人で突っ込んで行くから……!」


「それにしても、あの魔物は一体何者なんだ……?

 俺のデータには無い、未知の存在だぞ……!」


「ザコの強さも半端じゃねえ!

 俺には観ていることしかできない……!」


邪悪なる存在には腕が16本あり、

その全てがバラバラの動きで攻撃を繰り出し、

その全てをシルバは見切り、応戦していた。


「みんな……絶望的な戦いだが、諦めるな……!

 国のためなんかに戦わなくていい……!

 大切な人の顔を思い出せ……!

 その人を守るために死ぬ気で戦うんだ……!

 でも死ぬな……!

 全員で生き残るんだ……!」


「シルバ……お前最高にカッコいいよ!」


「あの魔物を過去のデータにしてやる!」


「観ている場合じゃなさそうだな……!」




場面は変わり、正門の戦場でも兵士たちが窮地に陥っていた。


「くそっ、敵が多すぎる……!

 一体何匹いやがんだぁ!?」


「もうダメだ……!

 この国は終わりだ……!」


「救いは無いのか……!」


こちらにも5万匹の魔物が押し寄せ、

ボス格はいないものの圧倒的な物量差に人類は苦しめられていた。


そんな時、満を持して我らが主人公ワカバが戦場に降臨したのだ。


「──兵士の皆さん、諦めてはなりません!

 絶望的な戦いに思えるでしょうが、

 我々には勝利の女神……伝説の姫騎士がついております!」


「で、伝説の姫騎士だって……!?」


「それは本当か……!?」


「どこにいるんだ……!?」


ざわめき立つ兵士たち。


フルプレートメイルに身を包んだワカバの後ろから、

専用の鎧を着込んだ姫騎士がその姿を観衆に晒した。


「姫様……やっぱり恥ずかしいです!!

 どうして僕がこんな破廉恥な格好を……!?」


少年兵ソラ……もとい、姫騎士ソラは

由緒正しきビキニアーマーがよく似合っていた。

さすがに下半身にはスカートの追加が必要だったものの、

その身姿は伝説通りに凛々しく、そして美しかった。


「姫様……王女特権を行使するなんて卑怯です!」


「黙らっしゃい わたくしも通った道です

 衣装のサイズが合う人材が見つかり、本当に助かりました

 それに、国民から絶大な支持を得ているあなたが着た方が

 全体の士気が上がると見込んでの判断です」


「ええぇ……」


戸惑うソラだったが、ワカバの目論み通りに

兵士たちの尽きかけた闘志が復活していった。


「うおお!! 力が湧いてきた!!」


「姫騎士万歳!! 姫騎士万歳!!」


「いいぞ最高だソラアアアァァ!!」


「ちょっと待ってよ!!

 みんな僕が男だって知ってるよねえ!?」


「それがどうした!!

 俺たちは全然構わねえ!!」


「ええぇ……」






──そして、兵士たちは王国を守り抜いた!

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