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第一姫

「おい貴様!

 服装が乱れているぞ!

 兵士としての自覚は無いのか!」


「ハッ!

 申し訳ございません!

 以後、気をつけます!」


ビキニアーマー姿の女性が、

シャツのボタンをかけ間違えた男性を叱咤している。

女性優位の政策が敷かれるこの国では珍しくない光景だ。


ビキニアーマー。

それは由緒正しき王国騎士の正装であり、

他国の人間から見ればただの痴女にしか見えない。


ビキニアーマー。

自国の人間から見ても痴女にしか見えない。

それを誇りに思っているのは騎士団員だけだ。




場面は変わり、国王と3人の王女が

玉座の間で深刻な話をしている。


「突然の話に聞こえるかもしれんが、

 この国は今、邪悪なる存在の脅威に晒されている

 この事実が国民の耳に入れば騒ぎになると思い、

 今の今まで黙っておったのだ」


「お母様、その事実をいつからご存知だったのですか?」


「10年前だ

 そしてつい先月、とうとう隣国が

 邪悪なる存在によって滅ぼされたと聞く

 何も対策しなければ、次は我々の番になるだろう」


「お母様、この10年でどのような対策をなさったのですか?」


「何もしていない

 この話が騎士や兵士の耳に入れば騒ぎになると思ったからだ

 それはさておき、お前たちにはやってもらいたいことがある

 3人のうち誰か1人でいい

 かつて我が王国を勝利に導いた“姫騎士”の姿を模し、

 これから招集する騎士や兵士たちの士気を上げてほしいのだ!」


「お母様、あの破廉恥な格好をしろと仰るのですか?」


「破廉恥ではない

 由緒正しき王国騎士の正装であり、

 その元となった存在こそが伝説の姫騎士なのだ!」




国王から突然の話を聞かされ、

大衆の面前で裸同然の格好になれと命じられた娘たち。


「第一王女であるこのわたくしが

 破廉恥な格好をするわけには参りません

 その役目は妹の貴女たちに譲りましょう」


「お姉様、長女特権を行使するのは卑怯です

 寧ろ、こういう時こそ率先して動くのが

 良き姉の在り方というものではございませんか?」


「それならば貴女が引き受けてみては?

 良き姉の姿を妹に見せてあげてご覧なさい」


「お断りします

 ワカバ、そういうことなので

 姫騎士の役目は貴女に譲ります」


「お姉様、次女特権を行使するのは卑怯です」


ワカバには妹がいなかった。

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