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パトリシア・グレッグの窮屈な人生、或いはパトリック・ミスリルの優雅な生活  作者: すずき あい
パトリック・ミスリルの優雅な生活

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5 邂逅

戦闘あります。ご注意ください。


「ひいいぃぃぃぃっ!」

「ウィンドカッター!」「ファイヤーウォール!」


街外れの荒れ地に、悲鳴が響いた。



この辺りは砂漠まではいかないが乾燥地帯で、見渡す限り乾いた土と固い岩が転がり、申し訳程度に乾燥に強い植物が点在している程度だ。しかしその中に、痺れ薬を作る為に必要な薬草が生えている。それほど強力な物ではないが、身を守る為にはそこそこ役に立つ。


パトリックとターニャは、その薬草の採取に街の外に出て来ていた。何せ2人とも治安の良し悪しに関わらずやたらと絡まれる。魔法や力技で追い払うことも出来るのだが、当人達の実力を知られないように、ごく一般的な護身方法として使用される痺れ薬を使っていたのだが、思った以上に消費が激しかった。

店でも購入は出来るのだがたまに質の悪い物も混入している為、自分達で作ってしまった方が確実なのでこうしてよく素材を現地調達していた。



そこで、一人の女性がサンドワームに襲われていた。地中に棲む蛇系の魔獣で、目は殆ど見えていないが嗅覚が発達していて悪食。獲物を見つけると地中を泳ぐようにして足元から近付いて、周囲の土ごとその巨大な口で一気に呑み込むのだ。大きな固体になると、馬の数頭くらいは一呑みだ。


その女性が足元の枯れた木の根に足を取られて転んだ瞬間、先程まで立っていた場所からサンドワームが飛び出して来たのだ。間一髪で最初の一撃を逃れたのだが、もし躓いてなければ今頃サンドワームのおやつになっていただろう。

サンドワームはすぐに身を翻して女性に再び襲いかかろうとしたところを、丁度声を聞きつけて走って来たパトリックとターニャが魔法を放つ。

パトリックの風の攻撃魔法に乗せてターニャの火魔法が飛んで行き、サンドワームを切り刻みながら一気に燃やし尽くす。乾燥地帯に棲息する魔獣なので熱には強いが、その分よく燃える。さすがに燃やされれば生きてはいられない。



襲われた女性は腰が抜けているのか、その場に座り込んでしまっていた。側に細かくなったサンドワームが燃えながらゴロリと転がる。



「下がってください!」

「は…はひ…あっ!」


服に火が点いてはいけないと、ターニャが慌てて駆け寄って引っぱり起こす。


「母様!」


女性を引っ張った瞬間、足元の木の根を踏みつけた弾みなのかその影にいた蛇が飛び出して来た。魔獣ではないが、毒蛇だ。パトリックは咄嗟に右腕を伸ばしてターニャを庇う。


「パット!!」


ターニャの腕の前にパトリックの腕が滑り込み、彼の右腕に毒蛇が噛み付く。ターニャはそれを見た瞬間すかさずその蛇の尻尾を鷲掴みにして、地面に叩き付ける。


「ひいぃ!!」


庇われた女性がまた頓狂な悲鳴を上げた。


そんなことお構い無しにターニャは鬼のような形相で掴んだ蛇を何度か地面に叩き付けて、躊躇なく靴の踵で頭を踏み抜いた。常に踵の高い靴を好んで履いて慣れているターニャの踵は、寸分違わず一撃で蛇の頭を的確に貫通した。見事に蛇は絶命する。女性の悲鳴は、蛇よりもターニャに対してだったのかもしれない。


「大丈夫かい!?」

「…ゴメン。咄嗟で」


パトリックに駆け寄るターニャに、彼はそっと小声で告げる。右腕は魔動義肢であるので毒蛇に噛まれたところで何の問題もないが、見知らぬ女性の前でそちらを出してしまったのはマズかった。


「あ、あのう…だ、大丈夫、ですか…?」


助けられた女性が、おずおずと近付いて来る。年の頃はターニャと同世代くらいだろうか。レンズの分厚い眼鏡を掛けているせいで瞳の色まではハッキリしなかったが、切れ長の細目のようなのはうっすらと分かった。癖のない重みのありそうな黒髪を無造作に纏めて化粧っけもなく、宝飾品も見当たらない。着ている服もやけにブカブカで体型も分かりにくいが、出ている手は小さく華奢だった。見たところ貴族にも商人にも見えないが、平民にしては奇妙な印象だった。


パトリックは彼女からは見えないようにそっと右の肘の辺りに触れて、手探りで一部の回路を強制的に遮断した。万一に備えて緊急停止出来るように作ってもらっている。


「わ、私、少しですが、解毒魔法を使えます。神経毒にも効きますから…その、手当を…」

「大丈夫ですわ」


蛇の歯形の付いたところを、サッとターニャが覆い隠すようにハンカチを被せた。本物の腕と区別がつかないように精巧に作られている魔動義肢は、傷を受けると血が滲むように出来ている。しかし今回はそれを見せるわけにはいかない。


「ですが…」

「大丈夫です」


さすがに自分を助けてくれた人間が怪我をしたとあっては放置できないのだろう。彼女は更に言い募って手を伸ばして来た。その手から庇うようにターニャが体で遮るようにするが、パトリックは彼女の服の袖を軽く引いて、ターニャの影から恐る恐る顔を覗かせる。


「あの、ご心配お掛けして申し訳ありません…その、本当に大丈夫ですから…」

「で、ですが…」


女性の伸ばしかけた手に、パトリックはそっと指先を触れさせる。その瞬間違和感に気付いたのか、彼女はギシリと不自然に動きを止める。


「え…?あの、冷たい…?」

「義手です。ですからご心配なく」


全ての回路を使用している時は、体温に近い温度と質感を再現できるように拘りの細工がされている。動きも、魔力で上手く制御すれば全ての関節が自在に動かせる。しかし今は半分以上の回路を停止しているので、見た目だけは本物そっくりだが実際に触れれば冷たく作り物の質感だ。関節も、肘のと手首の部分しか動かせない。


「驚かせてしまってすみません…でも、大丈夫ですから」


パトリックは「本当は知られたくないことを明かさざるを得なかった」という空気を醸し出して、ターニャにしがみつく。ターニャも気まずそうな表情をしつつ、パトリックを抱き締める。

相手に非はないのは分かっていても、何となく相手の女性を責めるような気配を出しつつ、その場を離脱する方向で行くことにした。


「ここは危ないです。どうやら魔獣避けの香水も使っていないようですし、早めに街に戻られることをお勧めしますわ」

「香水…?」


彼女はターニャの言葉にキョトンとした反応しか返して来なかった。その反応にターニャはため息を一つついて、腰に下げたポーチから携帯用の香水瓶を取り出し、有無を言わせず彼女に一拭きした。


「ひゃあっ」

「これくらいなら街に戻るまでは効果が続きます。どうぞお気を付けて」


少し苛ついた口調のターニャは、パトリックを抱えた腕に力を入れた。そして彼を隠すようにさっさとその場を離れる。


「あ、あの!私、アワノです。アワノ・ミズータ!今度、きちんとお礼をさせてください!」


慌てて声を掛けて来た彼女に、パトリックとターニャは軽く会釈だけをすると、なるべく不自然にならない程度に早足で立ち去った。



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「何か、仕方なかったとは言え面倒そうなの助けちゃったね」

「あの場合は助ける一択でしょう。……でも、面倒なのは間違いなさそうだね」

「伝書鳥が戻ったらすぐに発とう」

「そうね」



2人は宿に着くと、ひとまずすっかり埃っぽくなってしまった体を清めてからようやく一息ついた。



「あの、アワノ・ミズータ、だっけ。ターニャの所見は?」

「まず身分が全く予測できない、ってとこが怪しいね。服や持ち物は粗末な物だったけど、使われる洗剤の香りが高級なものだった。しかもあの畳み跡は宿でクリーニングを頼んだものだと思うよ。あのレベルの服を着る身分でそんなことをするのはおかしいね」

「なるほど…でもお忍びの貴族、という割に所作が洗練されてないし、あの状況で誰も助けに来ないってことは、周囲に護衛も隠れてたわけでもないし」

「肌の色が白過ぎたね。あれは外で働く人間の色じゃない」

「うん。手も力仕事をする手じゃなかったしね。でも爪とかはそこまで手入れはしてないみたいだし、指にペンだこがあった…んー、平民か下位貴族の文官、ってとこかな」


パトリックはやっと温まって来た右手を確認するように、関節の一つ一つを動かした。ターニャは少し心配げな様子で、彼の右肩に手を添えた。

魔動義肢を装着している境目付近が少しひやりとしていたので、ターニャは自分の手の熱を分け与えるようにゆっくりとさする。義肢が熱を失うと、そこと接している部分がひどく冷えを感じることがあるので、パトリックはそれを分かっているターニャの気遣いが嬉しかった。


「教師か、どこかの機関の研究員、ってのもあるかもね。パットに噛み付いた蛇は一瞬しか見えていない筈なのに、迷わず『解毒魔法』を申し出たし」

「ああ、『神経毒にも効く』って言ってたな。あの蛇ってそうだったの?」

「ええ。でも違う系統の毒の蛇もいるから、一瞬で判断できるのはちゃんとした知識がある証拠だと思うわ。あの手の蛇の区別は頭の形で見るからね」

「ターニャが頭を潰したのを怯えてたみたいに見えたけど、実際はしっかり確認してた、ってことか」



停止した回路を復帰させるのには少々時間がかかったが、全回路が作動したのでようやく腕に空いていた2つの小さな牙の穴も塞がって行く。まだ触れれば微かに穴の跡は分かるが、自動修復機能で明日の朝には完全に跡も分からなくなっているだろう。ターニャはその穴の部分を指でするすると撫で回した。



「…もう、ロマンは禁止だからね」

「ごめんね。でも反射的に体が動いちゃった」

「それでも、今後は、禁止!」

「はい…」



咄嗟だったとは言え、我ながら最悪手だったとパトリックは反省した。どんなに一瞬でも、2人して無事に切り抜けられるような判断力と瞬発力を極めてこそのロマン、と心の中で反芻する。



「ここを発つまではあんまり外にでない方が良さそうだね」

「そうだね。また彼女と鉢合わせていちいち右手を不自由なフリをさせておくのは面倒だし」

「じゃあ娘の体調が悪いってことで、食事とかはあたしが外で買って来るよ」

「ありがとうターニャ。でも気を付けて」



伝書鳥が国からの返事を持って来るのは、最短でも後2日は掛かるだろう。



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本格的に暗くなる前に、とターニャは食糧を買い出しに出掛けて行った。その間にパトリックは着ていた服を並べて、簡単な生活魔法の浄化を掛けておく。パトリックの生活魔法は基本的な弱いものしか使えないのできちんと洗濯をした方がスッキリと綺麗になるのだが、今回ばかりは仕方ない。


(…アワノ・ミズータ、か。気にはなるけど、今は避けた方がいいだろうな)


国への報告に書くべきか迷ったが、あまりにも彼女のことが分からないので止めておくことにした。ただ何となく怪しい、だけではあちらとしても判断に困るだろう。これ以上下手に突ついて藪蛇になるのも避けたい。



----------------------------------------------------------------------------------



ふと、扉をノックする音が聞こえた。


その音にパトリックは警戒を強める。ターニャならノックと共に声を掛けて来る筈だし、何らかの理由で声を出せない状況にあるのなら異常を知らせる合図のノックがある。今扉の向こうにいる人物は、確実にターニャではない。


視線だけで部屋の中を確認する。広げた服をまだ畳んではいないが、それ以外に見られては困るような物はない。このまま返答せずにやり過ごすべきか逡巡する。しかし、時間的にそろそろターニャが買い物から戻って来る筈だ。扉の外で彼女が鉢合わせして危険に晒すより、自分が正体を把握しておいた方がいいとパトリックは判断した。


「……どなたです?」

「あ…あのぅ…アワノ・ミズータと申しますぅ…」

「え?」


扉の向こうから弱々しい返事が返って来た。確かに声の調子は先程出会ったアワノのようだったが、何故ここまで訪ねて来たのか分からず、パトリックは扉の前で困惑した。


「あの…どうしてここに?」

「私も、ここに泊まってましてぇ…宿のご主人に聞いたらこの部屋だと…それで、先程のお礼がしたくてどうしても…」


(何の為の高い宿賃だよ!)



安全の為にわざわざ高めの宿を選んでいたのに、と受付に立っていた人の良さそうな中年男を思い出して、パトリックは脳内で蹴りを入れる。

とは言え同じ宿に泊まっていると言うことはそれなりに金払いの良い人物であるし、気弱そうな女性が母娘で泊まっている部屋を訪ねるのだからと大して注意を払わなかったのだろう。互いに腹に一物抱えてさえいなければ別に問題なさそうなやり取りではある。



「ええと…お気遣いはいただかなくても大丈夫です」

「い、いえ、!取り急ぎ街で買って来たお菓子です!ちゃんとしたお礼は今は手持ちがありませんので後でいたしますので!」

「ですから…」


微妙に会話が成り立っていない。パトリックは困惑して、扉の向こうのアワノをどうしようか考えた。さすがにいきなり攻撃魔法を仕掛けるのは憚られる。パトリックは攻撃魔法は得意だが、相手を昏倒させたり混乱させたりするような精神系の魔法は一切使えない。


「今、母がいないので…扉は開けないように言われてますので」

「じゃあこのお菓子だけでも!傷んでしまうとアレですので!」


ここで長時間押し問答をしていて、ターニャと会わせたくはない。仕方なくパトリックは耳に身体強化を掛けて、扉の外にアワノ以外の人間が潜んでいないか確認する。特に他者の衣擦れや息遣いの音はない。おそらく外にはアワノ一人だろう。


「では、それだけいただきます…」

「あ、ありがとうございます!」

「あの、もうお礼はこれだけで結構ですから…」


警戒しつつも鍵を開けてほんの少しだけ扉を開ける。そこから、アワノはおずおずとした様子で紙袋を差入れて来た。本当に菓子が入っているのだろう。そこからフワリと甘い香りが漂う。


「あっ!」


パトリックが左手で受け取ろうとした瞬間、紙袋がグラリと傾いて手から零れ落ちる。思わずパトリックがそちらに視線を向けた瞬間、首に何かが絡み付くような感触がした。


「!」


瞬時に力が抜けて膝から崩れ落ち、体勢を立て直す前に勢いよく扉が押されて半ば弾き飛ばされるように尻餅をついてしまった。


「ぐっ…!」


倒れ込んだところをアワノが飛び込んで来て、とても同一人物とは思えない敏捷さでパトリックの背後に回って、後ろ手に手枷を装着してあっという間に彼の動きを封じてしまった。


「パット!?」

「動かないでください」


部屋の近くまで戻って来て様子がおかしいのをすぐさま感知したのか、ターニャが開いた扉から飛び込んで来る。が、アワノがそれよりも早くパトリックの背後に回り込んで首に手を回す。首にヒヤリとした感触があるのは、刃物でも突き付けられているのだろう。ターニャもギリリと怒りの形相で歯がみをしながら動きを止めた。


「騒がず扉を閉めていただけますか」


パトリックの耳元で指示を出すアワノの声は、いつもの間の抜けた調子ではなく、低く男とも女とも付かないような声だった。こちらの方が地声なのだろうか。


「分かった」


ターニャが抱えていた紙袋を扉の脇に置くと、バタリと後ろ手に扉を閉めた。次の瞬間、何とも言えない奇妙な感覚が走る。一瞬にして水の中に放り込まれたような、全ての感覚が遠くなるような気配。


(防音魔法…?いや、結界!?)



羽交い締めのようにされているパトリックは、何とか魔法を発動しようとしているが、全く体内の魔力の循環を感じられなかった。体に力も入らない。最初に首に巻き付けられた物は力を、後から両手に嵌められた物は魔力を封じる魔道具なのだろう。



何が目的なのかは分からないが、こうして2人を外から遮断する形で封じ込めて来たのであるから、堅気ではないことは確実だ。ターニャはパトリックを人質に取られて、その場から動けないでいる。



「少し、落ち着いて話をしましょう」


アワノがそう言うと同時に、ターニャの足元に光る魔法陣が出現する。


「ターニャ!!」


その魔法陣から逃れようとターニャが動きかけたが、魔法の発動が早く光が彼女を包むと、ガクリとその場に崩れ落ちた。


「よくもぉぉっ!」

「ふぉっ!」


パトリックは後ろ手に拘束されたまま左手で自分の右手首を掴んで、肩から毟り取る勢いで魔動義肢を外した。おかげで拘束している魔道具は外れなくても腕が自由になる。そしてそのまま膝を軸にしてグルリと回転して、まるで棍棒でも振り回すように自分の魔動義肢をアワノに叩き付けた。


パトリックにしか出来ない反撃方法に対応が遅れたのか、義肢は見事にアワノのこめかみ辺りにヒットして、彼女の眼鏡が弾け飛んでもんどりうって後ろに倒れる。


「ターニャ!」


まだ体に力は入らないが、半ば転げるようにターニャに駆け寄る。ターニャも力が入らないのか崩れ落ちたままの姿勢で床に座り込んでいたが、意識はあるようだ。パトリックが触れると、微かに安堵した表情で視線を向けて来る。互いに力が入らない状態だが、支えあうように背後の扉に手を伸ばす。だがやはり先程の奇妙な感覚はこの部屋に結界でも掛けたのか、ビクとも動かなかった。


「痛たたたた…あのですね、落ち着いて…」


ひっくり返ったアワノがモゾモゾと起き上がった。


眼鏡の外れた彼女は切れ長の黒い瞳で、その黒目が大きく白眼が極端に少ない。髪色と共に黒を持つのは極東の国の民族によく見られる。顔立ちもその民族の特徴とも言うべき彫りが浅くツルリとした印象だが、抜けるように白い肌と合わせて禍々しい美しさで、人間離れした魔性を纏わせている。見たことはないが、下半身が蛇だが上半身は極めて美しい女性と言われる魔獣ラミアーはこういう姿ではないかと思わせた。先程のブカブカの服から着替えていたのか、光沢のある更紗のような紫のワンピースを着ていた。少しサイズが大きいのだろうが体に添う布のせいか、彼女の体の曲線をくっきりと浮かび上がらせている。ターニャの太陽を思わせる快活な色香とは正反対の、まるで夜の闇を思わせる纏わりつくようなゾクリとする妖艶さがある。


「フギャ!」

「は?」


その彼女が、2人を見た瞬間にその纏っている雰囲気に全く似合わない奇声を上げ、何故か突然鼻血を噴いてひっくり返った。そのまま昏倒してしまったのか、ピクリとも動かない。



「…えっと…どうする?」

「取り敢えず、拘束しとこっか」


すっかり毒気を抜かれてしまった2人は、顔を見合わせてそう呟いたのだった。




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