尻が冷えた話
今朝は何でも今期一番の冷え込みらしい。
玄関から出た私の吐く息が、いつもよりも…うわ、めっちゃ、白い!!!
しかも風がずいぶん強いぞ…目を凝らすと…ちらちらと雪のようなものが舞っている。
空はまだ暗く、太陽の光は、ない。
街灯がらんらんと輝く中、私は公園へと向かった。
毎日必ず早朝ウォーキングに出かけている私。
めちゃめちゃ寒かろうが、小雪が舞っていようが、その日課をやめるという選択肢はない。
…まあ、ザーザー降りの雨だったらいかないけどさ。
なんていうのかね、行くのをやめたら、こう…ずるずると行かなくなっちゃいそうというか。
そうだなあ、行かないと、体重が増えてしまうんじゃないかという心配がですね。
……わりと、脅迫観念のもと、毎日のウォーキングは遂行されているわけだったりするのだが。
車通りの少ない早朝の幹線道路沿いを歩いて、少し薄暗い公園内へと足を踏み入れる。
…空の端が明るくなってきた。
日が昇るのが少し早くなってきたな。
毎日同じ時間に公園に来ているので、時の移ろいがやや身近だ。
♪~
公園内に、ラジオの音が鳴りだした。
私が毎日訪れている公園は、毎朝6:30になると、ラジオ体操が流れる。
そして近隣住民がどこからともなくやってきて、言葉を交わすでもなく、みんなでラジオ体操をするのだ。
夏場はわりと参加者が多いものの、今日のように冷え込む日などは…ほとんど人影は見えない。
…よくよく見れば、公園の池が凍っている。
寒いわけだよ、うん…。
いつもぷかぷか浮かんでいるカルガモやのんびりぼっちを満喫している鷺はどこに行ったんだろう……。
冷たい風が吹き荒ぶ中、一人でラジオ体操を行う。
いつもは息子が一緒なのだけど、今日は一人なんだよね。
息子は三日前に玄関の階段で転んでしまい、右足首を負傷してしまった為留守番をしているのだ。
ここ二年ほど毎日二人で来ていたので…些か寂しさが漂う。
いつもだったら、ラジオ体操をしているうちに体がポカポカとしてきて、第二に入るあたりで上着を脱ぐのだけれども…今日は、やはり、寒さがかなりのモノらしい。
風が冷たすぎて、とても脱ぐ気になれない。
寒いけれども縮こまっていては運動にはならないので、いつもよりいくぶん派手なアクションでラジオ体操を終えた。
ラジオ体操が終わった後は、公園のウォーキングコースをぐるっと一周回って帰宅する。
パラパラとラジオ体操に参加していた人たちが散っていくのが見える。
みんなの吐く息が白い…日が出始めてもなかなか気温は上がっていかないなあ。
そんな事を考えながら、歩いて行こうとしたのだけれども。
ふいに、お手洗いに、行きたくなった。
寒すぎて体が冷えてしまったのかも?
普段あまり公園のトイレに入ることはないのだけど、久しぶりに使わせていただくことにした。
公園のトイレは少し前に新しくなったんだよね……。
昔は電気がついてなくて怖かったけど、今は明るいし手洗い場もきれいになって…うん?
トイレが、和式じゃなくて様式になっている。
おお…便座が温かくないやつだ…これは冷たそうだぞ……。
だが、用を足さないわけにはいかないからな……。
冷たさに耐える心づもりで、いざ、おしりを……うん?!
便座の方が……あたたかい、だと……?!
真冬の極寒の風に吹き晒された私の臀部は、無風の空間で安置されているプラスチックよりも冷たくなっていたらしい。
どうやら、分厚い脂肪の表面が冷え切っていたようだ……。
マジか…もしかして私の尻、これから凍るんじゃないの……。
凍ってしまったらおいしい朝ご飯が食べられなくなるかもしれない。
急いで公園をぐるりと一周回って、帰路に就く……。
どうやら立ち止まって冷たい風を受けながらラジオ体操していたため、脂肪が分厚い部分が冷えたようだ。
歩いているうちに、みるみる体がポカポカしてきた。
家に着くころには少し汗ばんでいて、今日も無事に朝から脂肪を燃焼させることができたと喜んだ私は。
安定の、作った朝ごはんのフレンチトーストをすべて家族に食べられてしまうというパターンに、見舞われてしまったわけですけどね……。