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警察官への扉  作者: 佐助
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警察官への扉〜心たちとの交流④〜


警視庁警察官を目指す心たちの萬屋相談所は学生だけではなく、様々な職業の人達もやって来る。


今日は漁師をしている二十歳の青年がやって来た。

「こんにちは!よろしくお願いします!」

日によく焼けたガッチりした体格の若者だ。


山下航太 20歳 青森県在住

藤前工業高校電気科卒

高校卒業と同時に漁師となる。

祖父、父共に代々漁師の家系で、

マグロ延縄漁を生業とし、主に竜飛岬で漁をしている。


高校生の頃、東京へ遊びに行った時にケンカの現場に出くわした。つかみ合いのケンカで、周りの人も止めようとしていたが収まらず、手に負える状態ではなかった。

そこへ、制服姿の警視庁警察官が3人ほど駆けつけて「何やってるんだ!やめろ!」と間に入ると、嘘のようにスパッとケンカが収まったのだ。興奮した彼らをたくみに落ち着かせていた。

誰も手に負えなかったケンカを見事に収めた姿に衝撃を受けた。

「なんてかっこいいんだ!」

「警視庁警察官になりたい!」

この時から、地元の県警ではなく、東京で警察官になりたいという思いが芽生え始めたとエピソードを語ってくれた。


「3人の警察官がとてもかっこよかったんだね」

「はい。いい意味で、男が男に惚れる感じでした。やっぱり、警視庁警察官はすごいなって思いました」

「警視庁警察官採用試験は受けた事ある?」

「それが…まだ一度も受けた事がないんです」

「生まれた時から漁師になる事が決まってたようなもので、今日に至るまで祖父や両親にも話せていないんです」

話しぶりから、すでに受験済みで受からないからここに来たんだと思い込んでしまっていた。

「警察官になりたい思いを胸にしまいながら、2年間漁師を頑張ったんだね」

「はい…」彼の目から涙がこぼれた。

「警視庁警察官にどうしてもなりたいんです!」と思いの丈を吐き出して、わーっと泣き崩れた。

「漁をしてても、その思いが捨てられずにここにきました」

「辛かったね。でももう自分の気持ちを抑えるのは終わりにしよう

ここに来たのは、警視庁警察官になるためだろう?今日から前に進もうよ」

「はい。そうします」

「兄弟はいる?」

「2歳下の弟がいます。今高校3年生で、僕の高校の後輩でもあります。最近弟にだけは、警視庁警察官になりたいと打ち明けました」

「弟は自分が漁師を喜んで継ぐから、兄ちゃんは警視庁警察官になれよ と言ってくれたんです」

「それは心強いね」

「はい。めちゃくちゃうれしかったです!」

「弟は、俺はマグロで東京に進出するんだと野望を描いていて、近い将来共に東京で頑張ろうと約束しました」

「高校生で素晴らしい夢を持っているね。その夢弟さんと一緒に実現させようよ」

「はい。そうします」

「ご両親にも真っ直ぐな気持ちをぶつけてごらん。警視庁警察官になりたいんだ!引き下がれないんだって覚悟を決めて、本気で話せば思いは伝わるんじゃないのかな。

覚悟を決めて本気で進めば、物事は動いて行くものだよ」


「はい。そうします。本気で思いをぶつけてみます。上手く進むような気がしてきました」と頼もしい言葉が彼から出てきた。


「まずは来年の第一回目の受験に向けて力を蓄えて行きたいと思います。家族からも合格して良かった。警視庁警察官になれて良かったと言ってもらえるよう頑張ります!」

「大丈夫!きっと良い事になるよ」

「はい。ありがとうこざいました」彼は目をキラキラさせて帰って行った。


その夜、高台にある夜景の綺麗な喫茶店で妻と共に並んでコーヒーを味わった。

遠くには光輝く観覧車、街の灯りがきらめいている。

きっとあの夜景の向こう側で「心」達が頑張っているんだろう。


つづく。。。






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