第3話:グローバル!
「なぁ、人間界ではグローバルな活躍している人間が多いだろ?俺達もそろそろグローバルってのを意識した方が良いと思うんだよ」
「シャー。どうした?またバカな事でも考えたのか?」
「みずちっ!一つ目小僧が『グローバル』って言葉を知っていたことをほめてあげるべきだよ!」
「おいっ!俺はそこまでバカじゃねぇよ!」
「「いや、バカだろ(でしょ)?」」
「ひでぇ…俺だってグローバルくらいは知ってるさ…」
ろくろ首とみずちに真顔で返された一つ目小僧は、しゃがみこんで分かり易く落ち込んでました。
「まぁ、からかうのはココまでにしておいて、一体急にどうしたんだい?」
「からかってたのかよ!なんか昨日人間界の日本に久しぶりに行ったんだけど、南蛮人がめちゃくちゃ多くて!で、金髪のカッコイイ兄ちゃんがいてさ!俺もマネしたくなったんだ!」
「なんだ、いつものアホな事を想いついただけかい…」
「おお゛ーい!」
一つ目小僧は心外だ!とばかりにろくろ首やみずちを睨んでいますが、ろくろ首もみずちも何もなかったかのように話を進めます。
「シャー。お前、未だに南蛮人って言ってんだな」
「良いだろ別に!それよりも、どうやったらもっとグローバル感が出るかな?金髪にしたら南蛮の妖怪っぽく見える?」
「南蛮の妖怪って、あんた…」
「シャー。まぁ俺達妖怪の中にもグローバルな活躍している妖怪がいるから、その妖怪みたいにすれば良いんじゃないか?」
「それ採用!誰がグローバルな活躍してたっけ?」
「そりゃあんた、龍さんや鬼さんじゃないかい?」
「シャー。龍さんはドラゴン。鬼さんはオーガだな」
「ドラゴン…!なんか冒険したくなる様なトキメキを感じるな!」
「はいはい。で、龍さんはヘビっぽい感じだけど、海外ではもっとトカゲっぽくなってるだろ?」
「シャー。鬼さんはもっと上半身をムキムキにして、背中に顔を浮かび上がらせて、強いオスと闘うのが生き甲斐にした様な感じじゃん?見た目も表情もなんか怖そうで」
ん?オーガに若干の偏見が入ってそうですね。
「俺も同じ様にすれば良いって事かな?」
「想像してみたら良いじゃないかい」
「むー…蛇からトカゲっぽくって事は、胴体の長さに対して、手足を長くすれば比率的には良いんじゃなあかな?後はオーガ要素として、上半身を鍛えまくってムキムキにして…」
一つ目小僧が自分の姿を想像している頃、
「ねぇみずち、アンタの言うオーガって別の何かじゃあないのかい?」
「シャー。そうかい?まぁあまり変わらない様なもんだろ?」
そんな世間話をしていると、
「うわぁ!」
一つ目小僧が突然叫び声を上げました。
「どうしたんだい!?」
「いや、俺の南蛮風な姿を想像してて…」
「シャー。それで?」
「ドラゴン風になるために、俺の手足て長くして…」
「はい?なんで手足を長くするんだい?」
「そして、オーガ風になるためにムキムキの強面にしてみたら…」
「してみたら?」
「サイクロプスになった!」
「「あぁー…」」
「俺、既に南蛮でも大活躍じゃん!」
「「あぁ…はいはい。そうだね。良かったね。」」
「はっ!!!」
「「うん?」」
「俺、今なら不動明王にも勝てる気がする!ちょっくら不動明王をボコボコにしてくるぜ!」
「あ!ちょっと……あぁ、行っちまったよ…」
「シャー。アイツ、思い込みだけで不動明王に勝てるなら苦労はしないのに…」
****
「不動明王!年貢の納め時が来たぜ!ボコボコにしてやんよ!」
…
……
「…あ゛の、すびばせんでじた…」
「もう調子に乗って暴れるなよ!そもそも、なんで急に襲って来るんだ!常日頃からだな…(ガミガミ!)」
『もう帰りたい…』
おしまい
教訓
現実と向き合おう




