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噂の真相  作者: MiYA
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2階へ上がり、俺の部屋へ住職と弥竹を案内すると「すみません、何か飲み物でもお持ちしますね、直ぐに戻ります…」母さんは 、一旦、1階へ戻り、冷たい麦茶を持って部屋へ戻った。住職が「実は … 昨夜の最終列車で弥竹が、突然、ヒョッコリ戻りましてね 、私はて っきり、学びが嫌になり戻ったのだと思いまして、門前で「帰れ!」と中へは入れずにいたのです。ですが、コヤツも頑固で、門前で座り込まれましてね、そうこうしている所に、コヤツの、修行先の寺から、電話がありまして「どうしても、救わねば 、成らない人が居るのです!」と言い、出て行ってしま ったと聞かされまして … 門を開け、話しを聞こうとしたのですが、今度は 、お不動様の前に座り読経を始めましてね、私が何を聞いても、応えようとしないのです 、直也君からの、電話が鳴るまでは … 」住職は弥竹に目配せし、弥竹は頷くと話し始めた「私は、仏教を学ぶ為 、大学に通 っていますが 、その他は、お世話先の寺で生活し、修行を致しています。昨日、大学の講義を終え、寺に戻り、何時ものように夜の勤めをしていますと、チラチラと谷口君が、助けを求める姿が浮かびました。間違いであ って欲しいと思いながらも、居ても立っても要られず、戻って来たのです」住職が「 正敏さんの事が無ければ 、私も信じかねるのですが… 舞ちゃんの事も重なりましたし … 失礼だと言う事は、重々、承知していますが、谷口さん、暫く事が済む迄 、弥竹を直也君と、一緒に居させてやっては頂け無いでし ょうか ?」母さんは、キョトンとした顔をしながら「 え ぇ 、此方こそ… 宜しくお願いします…」アッサリと応えた 。住職も弥竹も、ホ ッと胸を撫で下ろしていた 。俺は、自分の事でありながら、一言も発言する場がないまま、弥竹が、暫く家で過ごす事が決まった。別に反論は無いが … どういう事なのかも、よく解っていなかった。話しが決まると、住職は「では、また明日 … 」弥竹を残し帰 って行った 。結局、家に泊まる親戚はと言うと …母さんの姉妹だけで、叔母さん3人と母さん、俺と弥竹の6人になった 。母さんを含めた4姉妹は、初めは静に故人を偲んでいたが、何処からか話しが脱線し、日常の笑い話しに変わっていた 。母さんも一緒に、涙を流しながら笑 っていたので 、俺は少し安心できた。もし 、母さんが 、おかしくなったら … なんて、思っていたのがアホらしくなる程、次女、典子叔母さんの 、女相撲大会出場の話しで盛り上がった「だから 、そんなつもり全然無かったのに 、指がまわしに引っ掛か ってね、ポ ッキリ!骨折よ !骨折!もう~出ないわ!全治2ヶ月よ~嫌にな っちゃう!これじゃ 、トミーの散歩にも行けないわよ ~アハハハッ!ダイエットもお預けよ!ア~ハッハハ!」俺も弥竹も 、怪我したのに陽気に笑 っている典子叔母さんを見て 、吹き出して笑った。4姉妹が笑い疲れて眠 ってからも、線香を絶さないよう、弥竹と2人で偲んでいた「 なぁ… 弥竹 … 俺、何か憑いてるのか?」俺は弥竹に聞いた「今は憑いていません、離れています。ですが、そうでは無いのです。谷口君 、恐がらせるつもりは無いのですが、本当に、この女性を知りませんか?」弥竹は、2階の部屋で見せてくれた、綺麗な女の絵を 、もう一度、俺に見せた「 解んないんだよな… こんなに綺麗な女、忘れる訳無いよな … 」知り合いの顔を 、一人一人思い出してみても、やはり覚えがない、待てよ… こんなに目鼻立ちがハッキリしているなら、日本人じゃ無いかも知れない … ふと、思ったけれど、思いついて直ぐに、その考えは違う事に気づいた。外国に知り合いなんか 、尚更、居ないもんな … その事は、弥竹に伝える事なく自分の中で消去した。話題を変え、それからも弥竹と大学の事や、日常の何気ない話しを続け 、明け方にウトウトと 、眠りに落ちてしま ったけれど、あの 、遊園地の夢は見なかった 。母さんの、俺を呼ぶ声で目覚め時計を見ると、葬儀の始まる1時間30分前で、俺は慌てて、テーブルの上のオニギリを腹に入れると 、顔を洗いに洗面所へと向かった 。バシ ャバシャと顔を洗う 、歯ブラシをくわえ目の前の鏡を覗く 、髪、大丈夫かな ?グニ ャ~ (ネジ)れるように鏡が曲がり、鏡に映る俺の顔も歪む「 うわ ぁぁああ!またか !」歯ブラシが 、口から飛び出し、床に落ちても屈めない 、鏡を見たくないのに目が離せない、後退ろうにも躰が動かない、どうにもならず、嫌な汗だけが額に流れ出した「ネェ、綺麗デシ ョ ?」うねる鏡の先から、女の声が響く。鏡の先に チカチカと、赤、緑、黄色 、青 、虹のように、幻想的な光が踊る。眺めるしかなく見ていると、徐々に徐々に、光の動きに魅了され、う っとりと、美しい光を眺めていた「綺麗な光だな…」突然、バ ッと光が消え暗闇が拡がる、赤いドレスの女の顔が、ヌ ゥ~っと俺に迫 った「 やっややや! 来るな ー!」女は、頬に目玉と肉片をぶら下げ、地を這うような薄気味悪い男の声で「 ネェ… 今度ハ、誰ガ死ネバ悲シイ? アーハハハッ!ヒ ィ~ヒッヒ!」甲高い高い声で笑う「 どう言う意味だ!この化け物!」逃れなければと思うが 、躰がピクリとも動かない、寧ろ 、締めつけられているように感じる「 たったすっ… 」声まで(カス)れて思うように出せない、誰か!誰か頼む!何とかしてくれ ー !心の中で精一杯に叫んだ。スッと、何かが、俺の背後に立つのを感じた。躰を締めつけていた力が解け、女は笑うのを止めた。女は、俺の背後を覗くように、目をギラつかせながら、睨みつけシャァァ―!蛇が威嚇をするように、口を大きく開けた。うわっ!心が驚き声を上げる 、女の口の中は 、ブラックホールのように、舌まで真っ黒で、全てを吸い込んでしまいそうに思えた。女は 、俺の背後を、更にチラチラと覗き込み「 ホ~ウ… 坊主ノ伜カ … 」嘲笑うように言 った。弥竹 ?スゥー 床を滑るように、空気が流れ、何かが、俺を挟んで左右2 ヶ所に動いた。首は動かないが気配で解る、俺は、必至に姿を見ようと、横目を使った。えっ?えぇー !声は出ないが、驚きで、躰中の毛穴から 汗が噴き出す、俺の右側には不動明王 … 勇ましく 、凛々しく、逞しい 、堂々として、如何にも強そうだ !そして … 俺の左側の … って !おいっ!お前、誰!ヒョロヒョロとして、茶髪にサ ーフ ァーカット、純白のロ ーブに、金色のベルト って?丘サーファー ?それとも 、新日本プロレス ?えっ?俺の心の声が聞こえたのか、ヒョロヒョロサ ーファーはギロリと俺を見ると「 祈りなさい 、私はサ ーファーではない、 況してや、何故、丘なのか … 新日本プロレスでもない…これは、覇者のベルトではないぞ … 」解った!ロックミ ュ ージシャン!俺は、精一杯集中し、もう一度、心の中で叫んだ「う~ん、悪くないが … どちらかと聞かれたら … パンクス!」白いロ ーブの男は、清まし顔で静かに微笑んだ。鏡の中の女は 、更に眼光が鋭くなり睨みながら、俺達を、見渡した「デッ?誰ガ、楽シマセテクレルノサ… 」ニタニタと笑い、ブワッと黒い霧を吐き出した。不動明王が、グルグルと大きく剣を振り回して風を立て、黒い霧を凪ぎ払う「 ヘェ~アンタガ遊ンデクレルノ ?随分、怖イ顔シテルノネェ…ア~ハ ッハハ!」女は 、両掌を不動明王に向けると「 苦シムガイイ!泣キ叫ベ!!モット!モットダ !」黒い炎を放った「憐れな者よ… 憎しみ深き者よ、我 、言葉聴こえるか ? 」白いローブの男は、立ち姿のまま、祈りの姿勢でそう言い涙を流した。おい!泣き虫かっ!泣いてる場合じゃねぇだろう!おセンチしてる場合じゃねぇよ!何か、ズレてんじ ゃね ぇの!俺は、白いローブの男に腹が立ち、心の中で怒鳴った。白いローブの男の涙が 、ポツリポツリと床に落ちる、落ちた涙は 、忽ち拡がり、迫る黒い炎の前に、目には見えない透明な壁を創った。透明な壁は、俺の、頭上迄も覆ったのか、空気が変わる 、まるで 、新緑の森の中を歩いているように、澄んだ空気が拡がる、躰が動きたい!と俺の脳にサインを送った「若者よ、動けるか?」白いローブの男が、俺に聞いた「 あぁ、動けるよ、腕も、足も、首も回る! 」俺は、躰の動きを確認しながら応えた。白いローブの男はニヤリと笑うと「不動明王よ… 剣を頭の上に翳して、そう!凛々しいです!」不動明王が頭上に翳した剣に、窓から射し込む陽の光が反射し、白いローブの男は、スポ ットライトを浴びたように照らされた「悪しき者よ、我、名のもとに 、汝を操る主人のもとへ帰れ! 今が、その時!我名は…」シュンッ!女は 、白いローブの男が名を告げる前に、忽然と消えた。白いローブの男は、不満気な顔をしていたが、不動明王も、白いロ ーブの男も、そのまま、陽の光に溶けるように消えて行った 。俺は、正気に戻り、これから葬儀がある事を思い出して、慌てて、リビングへ戻ったが、テーブルの上に母さんの文字で、先に行っているから、家の鍵、閉めてきてね 。置き手紙が置いてあった「 嘘!普通、息子を置いて行かないんじ ゃない?弥竹も居ないし… 」 玄関を飛び出し 、家の鍵を確りと閉め、葬儀を行うセレモニー会場へと急いだ。走りながら、あれっ ?何時、棺桶運んだんだろ ?俺、爆睡してたんだな … そう言えば、さっきの白いロ ーブの男、あれって … いや、まさかな、でも 、絶対、あの人だよ!そうだ、モーゼだ !ゴッツンッ !!「 あ っ、痛~!」躰中を 、電流が流れるような痛みが走る、前を見て走っていたのに、何故か、自ら電柱に激突し、デコをぶつけた「 ハハ、アハハ ! 」俺は、空を見上げ笑った「やっぱな 、見てるんだな!スゲェ!本物~!」晴れ渡る青空に漂う雲が 、十字架を象った。姿なき何かが、俺を見守っている !そう感じながら、デコを腫らし、爽快な気分で再び走り始めた。

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