表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噂の真相  作者: MiYA
3/12

歪み始めた心

駅の改札を抜け、懐かしい地元である椹町の景色に気を止める暇も無く、信号が変わるのを待つ、 駅を出て直ぐの三車線の道路 、これが椹町のメインストリート、駅前通りで、俺が、今、待っている信号を渡り2 0 0メ ートル程左に進むと、父さんの居る守谷総合病院がある。信号が変わり俺は走り出す 、ドン ッ!!「あっ… すいません…」横断歩道の中程で、黒い雨合羽のポンチョを纏 った男とすれ違い、肩をぶつけた、男がフ ードを深く被っていたので 、顔は見えなか ったが、軽く頭を下げたのは分かった 。横断歩道を渡りきり、ふと、振り返る 「 さっきの男 … 何だか変だな … 雨も降って無いのに、雨用のポンチョなんか着て… それに…鉄か?何か臭い…まぁ、関係ないけど … 」気に止めても仕方がないと 、俺は、病院まで走った 。病院に着き、1Fの総合窓口で、父さんの居場所を聞こうとしたが時間外で誰も居ない、夜間受付と書かれた窓口へ向かったが 、何故か此方も不在、 舞の携帯を鳴らす、オカケニナッタ電話番号ハ 、電波ノ届カナイ所ニ … 舞の携帯は、電源が落ちていた。あっ!そうだな、当たり前だよな、病院だから、でも、参ったな …そう思いながらキョロキョロ辺りを見回していると、ナースが此方に向かい歩いて来た 、俺は空かさず、逃すものかと近付き事情を話した。ナースは「その方でしたら3Fですね、彼方のエレベータ ーを降りると直ぐに、ナースステーションがありますから、詳しい事はそちらで聞かれると良いですよ 」優しく教えてくれた。ナースが教えてくれたお陰で、3Fに上がり手間取らず、父さんの居場所を知る事が出来た。父さんは 、緊急手術を終え、集中治療室(ICU)で治療を受けていた「直也 … 」背後から母さんの声が聞こえた「母さん … あれっ ?舞は?」母さんは「少し、休ませなきゃと思 ってね 、それと 、必要な物を取りに、一旦 、家に戻 ったのよ 」母さんは、少しだけ疲れた顔をして応えた。俺は、言葉が上手く出せなくて、ただ、気まずかった。やっと口から出た言葉「父さん…どうなの?」母さんは「 今 、手術を終えたばかりだから 、直也、疲れたでし ょ?今は、ICUに入る事も出来ないから、家で休んでいていいのよ 、舞にもそう言ったの… 舞も心細いだろうから、何か、出前でも取って、一緒に食べてあげて 」母さんは、財布から1万円を取り出し俺に渡した。嫌だとも言えず、舞の事もある、 俺は、母さんの言う通り、自宅へ向かう事にした。守谷総合病院から自宅迄は徒歩で20分、病院を出て、テクテクと歩きながら 、椹町を離れて、たった数ヶ月なのに、見知らぬ街のように 感じるなと、少し寂しく思いながら自宅へ戻った。ピンポ~ン!チ ャイムを鳴らすが 、舞は出て来ない、家の中に明かりも感じない… 自宅の鍵は持っていたので家に入り、真っ暗な玄関から「 舞 !」2階にも聞こえるように呼んだが返事がない「しょうがねぇな~!」2階に上がるのが面倒だったけれど、妹は疲れて、寝ているのかも知れないと思い、階段を上がり 、コンコンッ !舞の部屋のドアをノックするが、またもや返事はない … 俺は静かにドアを開けた。カチャッ!部屋は真 っ暗で、ベッドに舞の姿も無い「 最悪~もしかして 、行き違いか?」俺は、母さんの携帯にメ ールを送った。 舞、居ないよ、行き違いになったかも … 送信 … 少し間を置き 、母さんからの返信が届く、そう… 先に直也だけでも、出前取って食べなさいね、舞がこっちに来たら戻るように言うから 「 ま ぁ…しゃぁね ぇな… 」腹はそんなに空いていないし、舞は直ぐに戻るだろうと、俺は迂闊にも、リビングのソファーに ゴロンと躰を投げ出し横にな ってしまった。懐かしい実家の匂い… フッと、緊張の糸が解れる 、それ以上何を思う間もなく、俺は、眠りに落ちてしまった。陽気なリズムが聞こえる、そう 、あの遊園地のリズムだ。陽気なリズムとは裏腹に、俺は、心の底から 、嫌だぁ~と思っているのに、何故か、アクアツア ーの小舟へと乗り込んでいた 、乗客は俺だけ… ピピ ッピー!陰気なアクアツア ーの係員が、ホイ ッスルを鳴らすと、小舟は水上を進み始めた。本日、ゴ乗船頂キマシタ、コノ船ハ、皆様ヲ、不思議ナ世界ヘトゴ案内致シマス。ヒッヒッヒ!ツア ーガイドも居ないのに、ガイドらしき声が響「 ヒ ッヒッヒ!って何?嫌だぁ~!誰かぁ~!この夢から解放してくれ~!助けてぇ~!来る!きっと来る~!!」俺は、叫ばずには居られなかった。小舟に、俺の叫びは届かずスイッースイッー!水の上を滑るように進む、俺の予想に反し、小舟はアップダウンの凸凹を進み、水飛沫を上げたり 、ライトアップされ、輝く苔の生えた洞窟を潜 ってみたりと、至 って普通のアトラクションだと安心し始めた頃、水中からパシャン !何かが、飛び上がり、再び水中へと戻 った 「今のは… 何 ?」俺は目を凝らして水中を覗いた。水の色が濁り出し、水面は見る間に真っ赤な血の色に変わる、鼻を突く鉄臭さが辺りに充満する「もぉ~!だから嫌だ って言ってるだろうがよ っ! 」夢の中とは言えいい気分を壊され、キレた俺は、デカイ声で叫び散らした。俺の叫びが反響する「サァ~ !本日ノ、アクアツアーメインイベント ! オ楽シミ下サイ… イッ~ヒッヒッヒ!!」アナウンスが響く、逃げ出したいけれど、小舟の上で動きようがない、俺は 、腹を括り水面を見つめた。ブクッ… ブクブクブクッ!水中から、吹き上がる夥しい数の気泡。俺は、気泡の吹き出し口を見つめた 。 吹き出し口の底を、真 っ黒な影が 、ゆったりと水中を漂い、連なるように気泡も移動する「解った!バブルアトラクシ ョン!」何が起きるのか正解を当てたら 、夢が覚めるような気がして、試しに叫び 、再び、不気味な影に目を凝らす「… … ケテ…」水中の影から、声が聞こえる 、俺は 、目と同時に耳も凝らす「 … スケテ … 」「 えっ?今… 助けてって言ったような … 」バ ッシャン!!大きな水飛沫が上がり 、キラキラと虹色に輝き、魚の尾を持つ人間が跳ね上がった。光りの反射で、顔まではハッキリ見えないけれど「助…ケテ… オ…兄…チ …ャ…ン … 」聞き覚えのある涙声が聞こえた「人魚?えっ? おい っ!ち ょっと待て ! !待てよっ!今のっ声 っ!舞 !おい っ !舞 ー !! 」影は、水底に吸い込まれるように消えた。あの声は、舞の声に似ていた … 否違う!絶対に違う!ただの夢だ!俺は夢の中で、怒鳴り散らした。ドックン ッ!胸を突き刺すような痛みが走り 、俺は飛び起きた。飛び起きると、躰中に嫌な汗をビ ッショリかいていた。呆然と、目の前にある、つけてもいないTV画面を眺めた。携帯がブッブ!と鳴り、メールの着信を知らせた。メールは母さんからで、直也、舞が来ないんだけれど… 本当に家に居ない?… 母さんのメールで我に還った俺は「 舞! 」叫びながら家中を走り周り、部屋の隅から隅 、箪笥にクローゼット、冷蔵庫に冷凍スト ッカー迄、全て開けて探したけれど、舞の姿は何処にもなかった。父さんの事と重なり、俺は平常心を失い混乱し、どうしたら良いのかが全く解らなくなり、泣き叫んだ 「俺が、何したって言うんだよ!!何か悪い事したのかよ っ !言ってみろっ!コノヤロー!!」悪い事が続いてしまうような不安の中で、怒り激しく抵抗する俺の心は、この頃から、歪み始めていたのかも知れない…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ