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00 : とても短いエピローグ

 ある晴れた休日、コウはジニアを連れて外に出た。

 ジニアの服は相変わらずゴシック調のワンピースで、雨も降っていないのに傘をさしていた。

 コウもいつも通り、動く度に鎖の音がする服を身に付けていた。両手首にワイヤーを仕込んだ棘腕輪(スパイクバングル)を装着しているが、さらに上腕にもかすかに血のこびり付いた鎖が巻きつけてあった。

 快晴の空には温かい風が吹いていて、すでにやってきていた初夏を主張している。

 コウが音もなく通りを歩き、ジニアがそれから2歩遅れて続く。

 そんな風にして、二人は黙々と歩いていった。

 到着したのは街はずれにある廃墟。

 入口の扉さえ壊れているその建物は、簡単に屋上まで入る事が出来た。

「ここからはアルトの本社がよく見えるんです」

「…………本当」

 それほど高い建物ではないが、外れにあるため周囲に高すぎる建物がなく、屋上から街が一望できた。

 何より、目の前にアルトの本社ビルが他の建物から飛びぬけて立っている。

「……話って、何?」

 ジニアは首を傾げてコウの真紅の瞳を見上げた。

 その紫水晶ににこりと微笑んで、コウはジニアと共に床に直接腰を降ろした。

「そうですね、何から話しましょうか」

 目を伏せたコウの横顔をじっと見て、ジニアはぽつりと呟いた。

「不思議…………貴方と二人でいるのに、まるであの人と3人でいるみたい」

「そうですか、それは非常に嬉しいですね」

 表情が豊かになったコウを不思議に思いながらも、ジニアは違和感を覚えたりしなかった。むしろ、この方が彼本来の姿である気がする。

「これから話そうと思うのは、セイとボクとジニアとダリアの話です……聞きますか?」

 こくりと頷くジニア。

「それでは、最初にお願いがあります。話を最後まで聞いても――ボクの事を嫌がったりしませんか?」

 その問いに、ほんの少し首を傾げたジニアは小さな小さな声で返答した。

「…………たぶん、嫌がらない。私は貴方の事を知りたいと思っている。それに」

 紫水晶が光を反射して綺羅らかな光を放つ。

「私は貴方の事――嫌いじゃない」

「そう……ありがとう」

 もう一度微笑んだコウの向こうに、黒髪の少年が見えた気がした。










――了




最後までお読みいただき、ありがとうございました!








天宮華月さまがコウのイラストを描いてくださいました><


挿絵(By みてみん)


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