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荒稼ぎ

「マリア!君は何を考えてるのかな?死にたかったの?それとも何?ヤラれたかったの?中級が出なかったから良かったものの、出てたら君は格好の餌なんだ!分かるよな?次、勝手な行動したら今度はマリアを放置するからな!」


この後もずっと小言を言っていた気がするが、途中から全然頭に入ってこなかったクオンのお説教。終わると同時にベッドへ倒れ込み目が覚めればお昼を過ぎていた。

魔力を使い切ると倒れるという事を学んだ。


「やっと起きたね!どうだい?レベル10のクセに無茶した感想は?」

「おはよ……クオン、まだ怒ってる?」

「怒ってないよ。お腹空いた。早くご飯食べに行こう。」


絶対に怒ってる。けど、それだけ心配をかけてしまったのだろう。手を延ばしクオンを抱き上げ肩に乗せた。


「ごめんね、クオン。」

「もう良いって言ってるだろ。」

「もう無茶はしないわ。心配かけてごめんなさい。」


頬に擦り寄って来たので頭を撫でる。


「アリスを叩き起こして、ご飯に行くよ。僕は凄くお腹が空いたんだ!」

「はいはい、ごめんね。しかしアリスもよく寝るわね。起こすのは可哀想じゃないかしら?」

「まぁ、あれだけ上級魔法ぶっ放したんだ。疲れもするだろ。」

「じゃあ、何か買ってきて食べましょう。」

「マリアはアリスに甘い!!」


ブツブツ文句を言いながらも、肩から降りようとしないクオンもなんだかんだでアリスには甘いんじゃないかと思う。

宿を出ていつもとは違う町の活気に何事かと見渡せば、道の両側に屋台がたくさん並んでいた。


「クオン、今日はなにかお祭りでもあるの?」

「さぁ?少し歩いてみようよ。」


町の門まで続く屋台は圧巻だった。いつもとは違う変わった食べ物や武器、防具のお店。見てるだけで楽しくなる。


「今日はなにかのお祭りなんですか?」

「知らないのかい?今日は半年に一度のマーケットの日だよ。世界中から商人が集まって、安売りをしてくれるんだ!掘り出し物もたくさんあるから、冒険者なら絶対見とくべきだよ!」


話しかけた屋台のオバさんは親切に色々と教えてくれた。世界中の武器かぁ、少し興味があるな。昼食を探しがてら屋台を見て歩く。たくさんありすぎて迷ったが、持ち帰り易い物を選び宿に戻った。


「おかえりなさい。そしておはようございます。」


アリスは既に起きていて、きちんと身支度を整えていた。


「ただいま。お昼ご飯買ってきたから食べましょ。」

「わざわざすみません。魔力を使いきるってしんどいですね。」

「それは私もさっき実感したわ。これからは気をつけましょう。」

「そうですね。そういえば今日は町が騒がしいですね。なにかあるんですか?」


さっき聞いた話を伝えた途端、アリスは凄い勢いで昼食を詰め込み立ち上がった。


「ど、どうしたの?」

「マリアさん!ゆっくりしてる場合ではないです!今すぐにクエストに出発しますよ!」

「な、なに?私まだ食べ終わってない。」

「じゃあ食べながらでいいので行きますよ!」


急にやる気を出したアリスのテンションに負けて、仕方なくギルドに向かった。


「さて、今日はこのクエストをひたすら熟します!」


掲示板の前でアリスが指を刺したのは「群がる少年達」というクエストだった。


「昨日克服したばっかりなのに余裕じゃないか。」

「クオン、昨日は迷惑おかけしました!でももう大丈夫です!今日のクエストはお任せ下さい!一網打尽です!後輩狩りです!マリアさん、一刻を争うのでとっとと行きますよ!」


半ば引き摺られる様に町を出てフィールドに出ると、少年達がわらわらと近づいてくる。


「アリス、何をそんなに急いでいるの?」

「訳は終わったら話します!マリアさんとクオンは危ないので絶対に私から離れないでくださいね!」

「何する気なの?」

「最上級魔法をぶっ放します!なるべく後輩が集まって来てからにするのでもう少し我慢して下さい!」

「アリス、君はそのレベルの魔法まで使えるのかい?レベルいくつだよ?」

「85です!でも究極魔法はまだ無理ですが……。」

「もうすぐカンストじゃないか!ホント何年この世界にいるんだよ………。」


凄い話を聞いたと思う。ただひたすら子供を倒し続けてこのレベルになるって、考えただけで気が遠くなる。そうこうしてる内に美少年達はわらわらと集まってきた。


「20人は集まりましたかね?美少年がこれだけいると逆に引きますね!後輩は一人で充分です!いきますよ!絶対に離れないでください!」


なんと頼もしい事だろう。この子が男性に耐性をつけた日には魔王討伐まであっという間なんじゃないかと思う。安心すると同時に負けてられない気持ちもある。足手まといにはなりたくない。


「地獄の業火よ我が元へ!我全ての焔を統べる者なり!我が願いをもって邪の者を焼き払え!ヘルティックバーニング!!」


長い詠唱を経て放った魔法は、轟音と共に見渡す限りを焼き尽くした。正しく一網打尽だった。


「す、凄いわ!!アリス!あなた本当に凄いわ!!」

「とんでもないです。これはマリアさんが私を捨てずに仲間にしてくれたから役に立てたのです。」

「そんな事ないわ!貴女が努力したからよ!私も早く追いつかなくちゃ!」

「マリアさんはきっと素敵な勇者になります!頑張って魔王を倒しましょう!さぁ、次のクエスト行きますよ!」


アリス任せで同じクエストを5回繰り返した時には、すでに日が暮れかけていた。ギルドで報酬を貰うと同時にアリスはしゃがみ込んだ。


「大丈夫!?」

「はい。魔力がほぼなくなって疲れただけです。私のレベルでは5回撃つのが精一杯ですので……。」

「この魔法を5回撃てるって凄いと思うよ。で、この大金をどうしたかったのかな?」

「何言ってるんですか、クオン。今日はマーケットですよ!世界中の武器が集まるんですよ!格安ですよ!私は新しい杖が欲しいのです!」


なるほど……その為に倒した分だけお金になるクエストを選んだのか……。アリスのおかげで20万ライオという大金を得た。


「待ちに待った買い物タイムです!はい、マリアさん!」

「えっ!?」

「10万ずつです!マリアさんも買い物楽しんで下さい!」

「ダメよ!これはアリスが使いなさい。今回私は何もしてないわ。私にはこの防具と身の丈にあった剣で大丈夫。」

「でも……。マリアさんに恩返ししたいんです!」


アリスの気遣いは嬉しい。でもこの為に頑張ったアリスに楽しんで欲しかった。


「恩返しなんて大した事は何もしてない。私はアリスと旅がしたかっただけ。」

「マリア、折角だから貰っておけば?それでアリスの気も済むんだろ?」

「んー……どうしてもって言うなら、アリスの買い物が終わったら、またご飯一緒に食べましょ?私はそれで十分よ。」

「分かりました。じゃあ、せめて買い物付き合ってください!」

「もちろん!アリスの気に入る物があるといいわね!」

「はい!」


二人と一匹で賑わうマーケットを歩き始めた。

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