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鬼刀

 ザクザクと地面を踏み鳴らしならがら、桃太郎は昨夜の戦闘地を歩く。他の三人は拠点で傷の手当てをしているため、今は桃太郎一人だ。

 辺りには鬼の死骸が散らばっている。

 腕を斬られたもの。頭を貫かれたもの。胸部が大きくえぐれたもの。そして首を切断されたもの。

 その中でも、より一層肌の色が濃い赤黒い鬼の死骸へと桃太郎は近づいた。

 頭と胴体は離れ、切断面からはおびただしい量の血が流れ出した跡があった。その血はすでに冷えて固まっている。

 そしてその近くには、砕けた金属片がいくつもあった。桃太郎はそれを見て、腰に差している刀の柄に手をかけ抜いた。

 本来七十センチある刀身は中程からひび割れその先がない。仇鬼の首を斬る事に成功した際に砕け散ったのだ。まるで、自分の役目を果たしたかのように。

 この刀は与助が使っていたものだ。もしかしたら、仇打ちに成功したのも与助が手を貸してくれたからかもしれない。

 ──あとは蛍も、ね。

 一瞬生まれてしまった迷いを断ち切ってくれたのは彼女の声だ。それがただの幻聴ではないという確信も何もないが、桃太郎を助けたことに変わりはない。

 桃太郎は役目を終えた刀をしばらく見つめた後、ふっと表情を和らげる。そして仇鬼の近くにそれを突き刺した。労を(ねぎら)うように。

 それから桃太郎は、昨晩鬼がなんらかの儀式をしていた場所──と言っても戦闘があった場所とほとんど変わらないが──を歩いた。

 炭と化した木材や、水を飲むのに使ったのであろう桶の間を行く。

 そうしてしばらく歩いていると、桃太郎は奇妙なものを見つけた。木材を組み合わせ、壁と屋根を作り内部に空間を創造したもの。小屋だ。

 小屋そのものはおかしくない。人が作ったものよりも大きいことと作りが雑な部分を除けばいたって普通の小屋だ。問題は、


「なんでこんなとこに……?」


 桶にしても金棒にしても鬼自身の寝床にしても、今見た限りではすべて地べただ。一体何のための小屋なのか。それが気になった桃太郎は扉に手をかけた。

 中は埃っぽく、少なくとも一年は開けていないようだった。見回す。


「なんじゃこりゃ……」


 そこにあったのは人から奪ったと思しき布や茶碗や洗濯板などの品々。少しばかりの金や銀もある。

 何故、という思考はすぐに消え去った。仇鬼も腰に巻いていた布に、蛍や与助の着ていた着物を使っていたのだ。実用的な意味があるのだろう。

 そう結論付けて桃太郎は小屋を出ようとした。だが反射的に足を止める。

 雑多なガラクタに隠れてよく見えなかったあるものに気が付いたからだ。

 桃太郎はそれに近づき手を伸ばした。が、


「重っ」


 想像していた以上の重量に一瞬たたらを踏む。

 少なくとも普段握っている、いや握っていたものに比べたら確実に重い。

 だが持てないほどではない。

 今度は腕にしっかりと力を入れ持ち上げる。

 上に乗っていたガラクタを落としながらそれは桃太郎の眼前へと姿を現した。

 特に装飾のない簡素な作りだ。柄部分にはサラシが巻かれている。(つば)はなく、刀身は曇り一つなく、しかし怪しく輝いている。

 桃太郎の見たことのない、知らない刀だ。


「なんじゃこりゃ……」


 桃太郎は再び呟いた。



 ***



「なんじゃのこれは……」


 場所は変わって鬼ヶ島の拠点。

 桃太郎の持ち帰った刀を見た猿王は、先ほど桃太郎がしたのと同じような反応を示した。

 見たことのない形をした刀への興味、何故鬼ヶ島にこんなものがあったのかという疑問が合わさった声だ。

 猿王は刀を両手に持ち軽く振ってみる。次の瞬間には少し顔をしかめた。猿王自身、刀を使うわけではないが、物憑きからしてもこの刀は重いと感じたのだ。


「あ、猿王、あんまり乱暴に扱うなよ。それ俺使うんだから」


「は?」


 猿王から間抜けな声が出た。


「いや、だからそれ使うって……」


「こんな重い刀を実戦で? 動きが鈍るじゃろうが」


「そうか? 刀の重心的に結構使いやすそうだと思ったんだけど」


鬼刀(きとう)ね」


 不意に猿王の後ろから声がした。二人が振り向くと鳴女が刀を覗き込んでいる。


「鬼刀?」


 桃太郎が問う。鬼刀など、当然聞いたことがない。猿王もそのようで、桃太郎と同じく顔に疑問を浮かべている。


「えっと……最悪の鬼のことは知ってるのかしら?」


「知らないな」


「なんじゃそれは」


「知りませんね」


 新たに現れた知らない単語に桃太郎、猿王に加わって、腕に包帯を巻いた花も疑問を浮かべる。


「あなたたち、よくそんなで鬼退治に行こうなんて思たわね……」


 無知を前面に出す桃太郎たちに向かって、さすがの鳴女も呆れ顔だ。小さくため息をついてから話し出した。

 曰く、その鬼は漆黒の肌を持っていたと。

 通常、大きくても三メートルと少しが鬼の体長だが、その鬼は四メートルを越えていたそうだ。そして、鬼除けの結界の影響を受けなかったという。

 鬼を倒したことのある者が何人も挑んでは食われ挑んでは食われを繰り返す。数々の村がその鬼に潰されていく中、村と村間はかつてないほどに連携を増した。

 すなわち、放っておけば人間は全滅する、と。

 それぞれの村が、強力な剣士や術者を派遣し、隊が組まれた。その数は三十人。

 念密な打ち合わせと連携の確認、加えて鬼が寝ているところを狙っての奇襲を仕掛けたが、鬼の肌は硬く簡単には斬れない。術も大きな効果は発揮せず、隊は苦戦を強いられた。

 激闘の末、なんとか鬼を倒すことはできたものの、達人ばかりで組織されたはずの隊は、十六人が死亡。残りの四人も、腕を潰されるなど、決して浅くはない傷を負った。

 そして、戦闘が行われた場所は、地面が割れ木が砕け更地のようになっていたという。

 後にその鬼は、最悪の鬼と呼ばれるようになった……。


「最悪の鬼と闘った時に片方の角が折れたの。その角から作ったのが鬼刀というわけよ」


 鳴女はそう締めくくると一息ついた。

 花は「ほほ〜」と顎に人差し指を当てて頷くと、


「それで何でわざわざ刀にしたんですかねー」


「さあ、目的までは私も知らないけれど。でも技術が未熟な者が使うと怪我をするらしいわ。達人が使えば、かなり強力らしいけれど、そもそも扱うのが達人なら武器が鬼刀でなくても強力なのだし……」


 それはそうだ。達人は達人。どんな刀を使おうとその力は決して弱くない。

 鳴女以外の三人は「なるほど」と頷く。そこで鳴女はちらっと桃太郎を見て、すぐに視線を外すと、


「でも、その噂を信じるのであれば、桃太郎はとても強いという事になるわね」


「え、なに?」


 付け足された内容が聞き取れずに桃太郎が問うが、鳴女は「なんでもないわ」とマフラーに顔を埋めた。

 桃太郎は頭に疑問符を浮かべるが、それよりももっと気になることの方を聞くことにした。


「まあいいや。それで、なんでそんな刀が鬼ヶ島にあったんだ?」


 なにせ鬼の角から、ましてや最悪の鬼などという異名を持つ鬼の角からできた刀なのだ。

 当然どこかの村で厳重に保管ないし、強力な使用者がいて然るべきであり、その村の防御体制は他の村より上のはずだ。並みの鬼で奪取できるはずもないし、そもそも鬼除けの結界を突破できない。

 だがさすがにこの質問には鳴女も顔をしかめた。


「それは分からないけれど……。結界を無視できる鬼が何体も一気に攻め込んだんじゃないかしら」


「なるほど……」


 事実、鳴女と出会った時も鬼が三体同時に、結界を無視して進入してきた。他で同じようなことが起きていても不思議ではない。

 桃太郎がそんなことを考えていると、鳴女は「なんにしても」と話を戻した。


「桃太郎が鬼刀を使うなら文句はないわ。正直、私の持ってた短剣を使うよりよっぽど良いと思う」


「あー、確かにももたろさんには使いづらいかもですね。あの短い刀」


「そうじゃの」


 各々、武器が壊れた桃太郎が代わりに使う予定だった刀を思い浮かべて言う。


「うん、じゃあそういうことで。みんな明日の朝まで自由にしてくれ。怪我した奴は今日中に治せよ」


「そんな無茶……ってわけでもないですね。私たち治るの早いですし」


 物憑きは通常の人間のあらゆる能力を越えている。治癒力とて例外ではない。

 現在の花たちの怪我の状況──あざや軽度の捻挫なら一晩経たずとも完治してしまう。もちろん安静にしていれば、だが。

 桃太郎もそれを分かっていて言ったのだ。万全の状態でなければ、鬼を同時に何体も相手にして勝てるはずがない。

 五日──今日であと四日だが──という制限がある以上、一日という時間は貴重だが、焦って目的を達成できなければ意味がないのだ。

 もちろん、鬼ヶ島にまだ何百体、あるいは何千体も鬼がいるなら話は別だ。だが花曰く、「昨日よりも漂う鬼の匂いがだいぶ薄いです」だそうだ。その線はないだろう。

 と、そこまで考えた上での発言だったわけだ。


「それで、ももたろさんはどうするんですか?」


「ん? 俺はちょっと探索行こうかなと。明日の早朝に鬼に奇襲かけたいし」


「そう、なら私も行くわ」


「え? いや一人でも大丈夫だって。闘わないし、どこにいるのかを確認するだけだから」


「じゃあ儂も行こうかの」


「いや、だから一人で大丈夫……」


「じゃー私も行きます」


「安静にしてろっ!」


 お前らちょいちょい怪我してるだろうが。桃太郎はそう思った。



 ***



 桃太郎は不意に胸騒ぎを感じて目を覚ました。

 何故、と桃太郎は考える。

 結局四人で探索に出かけ鬼の集落を見つけた後、自分たちは反省点をあらいだした上で早朝襲撃の作戦を練った。さらに武器の手入れや点検をしているうちに辺りが暗くなったので、軽く食事を済ませてから眠りについたはずだ。その時点ではなんの異変もなかった。

 気のせいか、と桃太郎は反射的に思ったが胸騒ぎは収まらない。


「あれ、ももたろさん起きたんですか? まだ見張りの時間じゃないですよ」


 桃太郎が起き上がると声がかけられる。暗くてシルエットくらいしか見えないが、声で分かる。見張りをしていた花だ。


「いや、なんか胸騒ぎがしたというか……。異常はないか?」


「ないですよー。ももたろさんが胸騒ぎする以外は」


「そうか」


 そう言いつつも桃太郎は花の隣へと行き、茂みの向こうに視線を向けた。

 ただ闇が広がっているだけだ。特に物音もしない。本当に異常はないらしい。


「やっぱ気のせいか……」


 神経質になりすぎているのかもしれない。

 結界の外で野宿をしたことは数あれど、さすがに敵陣真っ只中で睡眠をとったことはない。そうなっていてもおかしくはなかった。


「なんか起きて損した気分だな……」


「あ、それなら一緒に見張りしましょうよ。二人きりで!」


 その提案に桃太郎は若干顔をしかめてあくびまじりに返す。


「夜眼も鼻も耳もお前のほうが良いから二人でする必要ないだろ」


「二人なら寝落ちしないで済みますよ」


「……なるほど」


 年下に論破されてしまい何とも微妙な気持ちながら、桃太郎は寝床に向かいかけていた体を花の隣へと戻した。

 すると桃太郎の肩へもたれかかる感触。


「花? まさか寝る気じゃないよな?」


「……違いますよ」


 拗ねたような声が返ってきて、桃太郎はなんとなく頬を膨らませているのではと思った。


「じゃあなに?」


「こうしてたいだけです。昼とかじゃ猿王さんに邪魔されますから」


「は?」


 まるで分かっていない桃太郎に、さすがの花もため息をつく。

 それから流れる沈黙。どちらからも話しかけない時間がしばらく続く。


「ももたろさん」


 不意に花が声を発した。桃太郎の肩で小さく身じろぎすると、少々言いにくそうに口を開く。


「ももたろさんは鬼を滅ぼしたらどうするんですか?」


「え?」


 考えたことがなかった。端的に言えばそうなってしまうだろう。

 桃太郎は鬼を滅ぼすことだけを目標にして生きてきた。それだけしか考えてこなかったのだ。

 目標を達成した後。その質問に桃太郎は数秒考え込んでしまう。

 なかなか答えない桃太郎にしびれを切らしたのか、花が心配そうに首を動かした。


「ももたろさん?」


「ああ、いや。考えたことがなかったから。……でもたぶん、村に戻るんだろうな。俺が生まれた村に」


 桃太郎にとって、それは漠然とした想像であるがおそらくそうなるのだろう。なら、帰ることができたのなら、お爺さんお婆さんに謝らなければならない。

 桃太郎が答えると、花が小さく頷くのが彼には分かった。

 再び訪れる沈黙。桃太郎は途中で、花はどうするつもりなのか聞いていなかったことに気がつき口を開きかける。だが花に先を越された。


「あ、あのですね。ももたろさんが生まれた村に帰るときは、私も付いて行っていいですか?」


 早口で発せられた声は少し上ずっている。桃太郎は疑問に思いつつも、自分の肩に寄りかかった体温が上がるのを感じた。


「あ、ああ。構わないよ」


 桃太郎がそう答えると、花は小さく頷く。


「それで、ですね」


「う、うん?」


「えと……その……」


 なんとも歯切れが悪い花。暗闇で表情は見えないが、頬を赤らめているような気がし桃太郎はした。自然、彼も緊張してしまう。

 一瞬の間。そして花が意を決したように息を吸った。


「良ければ私と……!」


 瞬間、桃太郎は激しい悪寒を感じた。それは花が原因ではない。

 彼は反射的に首を茂みの向こうへと向け乗り出すようにして目を凝らす。


「ももたろさん……?」


「しっ、静かに」


「…………?」


 花の声には驚きが混じっていたが、あいにく取り合っていられる状態ではなさそうだ。小声で、しかし張り詰めた口調で桃太郎が言うと、花は疑問符を頭に浮かべながらも桃太郎と同じ方向に視線を向けた。

 暗闇だ。先ほどまでと寸分違わぬ光景だ。音も聞こえない。

 何故桃太郎がここまで緊迫しているのか分からない。少なくとも花はそう思った。

 だが桃太郎は確かに感じていた。ここ何日かで妙に冴え渡っている勘が激しく警鐘を鳴らしていた。

 この向こうにいる、と。少しずつ、しかし確実に近づいてきている、と。

 はたして、しばらくすると花の耳がピクッと動いた。


「足音です。結構多いですね……」


「やっぱりか」


 鬼である。桃太郎の感じた胸騒ぎはあながち間違っていなかったようだ。


「どうします? やり過ごせるならやり過ごしたいですけど……」


 その問いに桃太郎は一瞬考え、


「いや、この時間帯は鬼も寝てたはずだ。移動するにしてもこんな時間にする必要はない。多分だけど、俺たちを狙ってる」


「えっ……」


「もしかしたら探索の時に見つけられたのかもな……」


 だとしたら何故その場で襲わなかったのかという疑問が沸き起こるが、今は関係あるまい。

 桃太郎は足音を殺して猿王と鳴女のところまで移動。肩を軽く揺すり起こそうとする。


「桃太郎……変態……」


「儂ならいつでも大丈夫じゃぞ〜……ほれほれ……」


「いやお前らどんな夢見てんだよ。ボケかましてる場合じゃないんだっての」


 小声でツッコミを入れ、今度は先よりも激しく揺する。すると二人はモゾモゾと起き上がった。


「……なに?」


「なんじゃあ? 夜這いか?」


「鬼のな。早く準備しろ」


 鬼という一言ですぐに二人の目が覚めるのが分かった。

 音を殺して闘う準備を始めるのを確認すると、桃太郎も傍に置いてあった鬼刀を手に取った。

 気づけば足音はだいぶ大きくなってきている。

 次第に近づいてくる複数の足音。緊張が高まっていく。そして、

 暗闇に、鬼の影が浮かび上がった。

 その影は脇目も振らず真っ直ぐに桃太郎たちのいるところへと歩いてくる。後ろに続く鬼もまた然り。


「猿王」


 桃太郎の合図とともに猿王の腕が動く。瞬時にいくつかの手印を結印。二言三言程度の呪文を唱える。

 呪術による罠。

 拠点を作った際、取り囲むように設置されていた呪符たちは猿王からの呪力を受け取ると、ただちにその術式を展開。

 一瞬の発光。そして爆発。

 幾重にも重なった破裂音が暗闇に響いた。鬼の影たちはその爆発に巻き込まれた。

 誰もが罠の成果を固唾を飲んで見つめる中、猿王は空中に呪符を投擲。すると投げられた呪符は発光し辺りを照らし出す。

 煙が晴れていく。鬼の影が浮かび上がる。

 爆散した鬼の肉塊。腕をもぎ取られた鬼。首がちぎれた鬼。そこかしこに事切れた鬼が転がっているが、


「まだいる!」


 動いた影は十体以上。下手をすれば昨日の二十体にもとどき得る。

 敵を確認した鬼たちはその瞳を怪しく光らせた。だがその時には桃太郎たちも動き始めている。


「せあぁっ!」


 手近な鬼の首へと一閃。ほとんどなんの抵抗もなく切断され鮮血が吹き出した。

 鳴女と猿王は暗器、呪符をそれぞれ投擲。一方は地味に、もう一方は破裂音とともに計三体の鬼を葬った。

 花は襲ってきた鬼の攻撃を避けその動きを無駄にしないように蹴りを一撃。絶妙な状況で放たれたそれは鬼の体勢を崩すことに成功。ズシンと地面が揺れ鬼が倒れた。そこへ桃太郎は瞬時に近づくと鬼の首を斬り落とした。

 鬼刀は凄まじかった。

 重さからは想像できないほど走りやすい。鬼の皮膚や骨すら意に介さないほどの斬れ味。そして単純に、

 ──手に馴染む。

 まるで最初から自分の一部だったかのような感覚。初めて握ったとは思えないほどの使いやすさを桃太郎は感じていた。

 ──あながち、達人が使うとって話は間違ってなかったのかもな。

 桃太郎の剣の腕は純粋に達人と同程度だ。妙に手に馴染むのもそうだからかもしれない。

 袈裟斬り、斬り上げ、水平斬り。

 良い刀は使用者の動きすらも良くする。次々に振り下ろされる鬼の金棒を避け、舞うように斬撃を繰り出していく。

 するとその中に、一層肌の色の濃い鬼を見つけた。体長も他よりも大きい。おそらくこの群れの頭目だろう。

 桃太郎は横から繰り出された金棒を避け、その鬼へと接近する。

 金棒が振り上げられる。その動きも素早い。仇鬼と同じだ。だが桃太郎は振り下ろされるよりも早く鬼の懐へと潜り込んだ。

 一閃。

 金棒を持った腕へと放った斬撃。仇鬼と同程度の強度を持つであろう皮膚を、鬼刀は容易く斬り裂き鮮血でその刃を濡らした。

 返す刀でもう片方の腕も斬る。


「ガアアアァァァァァァアッッッ!」


 一瞬で両腕を失った頭目鬼の絶叫が闇に反響する。

 桃太郎はそれを意に介さず、


「おおぉおっ!」


 頭目鬼の心臓を貫いた。

感想などなどプリーズ。超プリーズ。

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