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ただ一つ



(くそ~っ。女の子に手を上げるなんて!! モテないんだから!)

 見学の意図がバレバレだったのか?? 俊は容赦無かった。

 まぁ。それでも手加減はしてくれたようだから、マシだけど。

 呆れ、いや怯えた青年が『魔法』で直ぐに『治癒』してくれたし。

 だからと言って、忘れないんだから!!



(後で、見ていなさいよ! お茶に砂糖をたっぷりin とか、逆に塩とか!! めんつゆを薄めて『麦茶』って、代わりに出してやるんだから)

 あたしが、くだらなくも真面目な『復讐計画!?』を練っていた時だった。

「この世界『聖眞』が存続する為の『約束』です」

 青年の静かな一言が入ってきた。するりと。


 それは長いしっぽを持った猫が自分の足元を通り過ぎる時。

 一瞬。その尾をするりと、巻きつけて去っていく感覚に似ている。かもしれない。


 上手く言えないけど、そんな感じ。



「あの方は・・・・・・。本当に『人』なんてどうでも良いんです。

 それは逆に小気味良いほどに」

 青年の表情は確かに明るかった。不思議な事に。

「たぶんエセン様以外には、全く興味もなく! 基本的に他がどうなろうと良いんです。それはきっと、エイン様ですら・・・・・・」

 ヴァンヌ青年は何とも言えない微妙~な言い方をする。


 だから、思わず俊と顔を見合わせていた。

「それって?? 『人』だから? それとも『ギリガン』なのに・・・・・・」

「『ギリガン』は人の子として生まれてきますが、厳密には『人』では、ありません」

「「はあ?」」

「確かに両親は人です。多少、魔力に差があろうとも。

 その、人の『子』として『ギリガン』は生まれてきます。

 しかし、ギリガンは・・・・・・。その『真性』は厳密には生まれる前から『人』では無く。

 ただ『ギリガン』なのです」

(だから、その理屈が解らない。それってどういうことなの?)




「『ギリガン』

 愛し合う夫婦を両親に持ち『人』の元に生まれ来るが『人』では無く――。


 世界の存続の為に生まれる『存在』

 その出現率は千年間に多くて一人か二人。



 その兆候はハッキリとしており、またそれ故に狙われやすい。

 特に、その『誕生前』が、最も危険であり。

 その為、両親と離れたり、死に別れることが多いということのようだ。

 記録に残っているほど。


 その存在に惹かれ『竜』もまた集い来る。

 その存在を守るためなのか? 他に目的があるのか。


 数少ない資料をどれほどかき集めようと。

 解っていることは少なく。確かめようもない。

 ただ一つ。


 誰もが『ギリガン』の存在する意味を把握している。


 この世界の常識として――。



『ダレイエセン』

 エインの直接の先祖。

 現存するもう一人のギリガン。

 

 彼はギリガン故の『禁忌』を、犯した。と言われている・・・・・・んだけど?

 

    『禁忌』

 

 ねぇ・・・・・・。

 

(『ギリガン』に、禁忌ってあるの???)

 今まで、これだけ「特別視」されてて、何か世界の存続の為の「約束」とか言われてるのに!!

 どうもソコのところが解らない。



 まぁ。あたしの考えなんて意味のないただの思い付きだし。うん。ヴァンヌ青年の話に戻ろう。


 

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