お手伝いの前に
『後悔』や『反省』は後からやってくる。
それでも、何もせずに守られているだけが出来る事じゃないはずだ。
行動してみないと答えは出ない。
その結果がどうであれ――自分でも後悔なく、納得できるように。
それは春日がエインとして封印を解き、降り立った日のこと。
大きなため息が聞こえた。
「解りました」
観念したように小父さまはエインに頭を下げてみせた。
「ただ、封印が解けたとはいえ、万全とはいえません。自重されますように」
ここでも小父さまは念を押すことを忘れなかった。
エインはただ笑っていた。
「で、手伝うって、いったい何をすればいいの?」
はっきり言って異議はない。
それどころか、あたしも俊も『借りは返す!』と、意気込んでいるくらいだ。
(巻き込まれて、訳わかんないまで還れるか)
せめてこう、何かもう少し事情が分からないと。何かこう、嫌な感じだ。
(落ち着かないというか、何というか、ね?)
「では、場所を移ろうか」
エインは未だ第三の結界内に浮かんでいた。
そこに小父さまの忠告。
「ギリガン様。御止は致しませんが、そこから出られるのでしたら見つかる覚悟が必要です」
今度こそバカどもも全力で来るだろう。例え相手が『ギリガン』でも。
「解っている。理解しているさ」
心配性だなディルは・・・・・・。
そうしてエインは地に降りた。
このバカな事態を終わらせる為に、あたしたちを地球に帰す為に。
『ギリガン』として、己が世界に帰還した。
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《良いのかえ、会わずとも良いのかえ》
応えは返らなかった。
《ほんに難儀なものじゃ。そなたらは・・・・・・》
言って、華焔はその場を後にした。
残った存在はただ、空を見上げた。
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とりあえず、あたしは着替える事にした。
だってこの服では暴れられない!
ふわふわのスカートは走り回るのには適さない。
(ものすごく可愛いから汚したり、破いたりするのは嫌だし。未練はあったけど。着替えるほうがマシ! なはず!?)
そこでカリンに頼んで動きやすい衣装を用意してもらったという訳。
「はっ、とうっ! やっ」
足で空を蹴り上げていると、やはり着替えた俊とエインがやってきた。
「おやおや元気な脚だ。短いくせに無理しちゃっ」
科白は唐突に切られた。
「ゴフっ」
――無論、俊があたしに殴られたからだ。懲りないヤツ。
そんな兄妹のやりとりに驚いた様子を見せず(流石に? 単に慣れたのか)エインが言う。
「本当は今まで来ていた服の方が、安全なのかもしれないんだけど」
「?」
服に身分の別が顕れるのだそうだ。
大きな『差』では無いにしろ、やはりココにも職業や生業で『身分制度』っぽいものがあるそうだ。
あくまで『っぽい』モノくらいの事らしいが。
まぁ、日本にも無いとは言えないからなぁ~。
脳裏に『金』 『白金』 『黒』 のカードが浮かぶ。
(あたしが持っているのは学生証と、会員券くらいだけど)
「ココはうるさくは無い。が、場所によっては・・・・・・。着替えて貰うしかないか?」
エインが首を傾げつつ言った。
「ギリガン。いえ、エイン様」
杖を手にした小父さまがヴァンヌ青年を従え、あたしたちの元にやって来た。
「ディル?」
「コレもお供させて下さい。連絡用くらいにはなるでしょう」
「・・・・・・」
事務的に言い放つ小父さまにあたしは目が点になった。
しかし青年は静かに傍らに立っている。
「ヴァンヌ。よろしく頼むよ」
エインは握手を求めるように片手を出すと、その一言で終わらせた。




