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クラスメート

予約投稿に失敗(汗;)


「・・・・・・では無理か?」

「無理でしょうね。今は貴方様の力を使うことも出来ませんので・・・・・・」

「そうか。仕方がない、な。それは・・・・・・」

 そんな言葉が溜息とともに吐き出された――気がする。


「開」


  ――カチャッ。

 軽い音とともに、さっきまで壁だったものが重々しい立派な扉に変わり、ゆっくりと内側に開いていく。


 ええっ! なに~っ。

 あたしたち兄妹は目を丸くしてその光景を見ていたと思う。

 だって、さっきまでは確かに壁、だったもん。絶対に!

 まさにイリュージョン!!!



 その扉から、二人の人物が姿を現した。

 一人は薄茶色の髪をした四十代前半くらいに見える上品そうな小父さまで、まさに『小父さま』呼ぶのが相応しく見えた。

 どこの国の民族衣装だろうか、変わった格好をしている。

(いや、スゴイ似合ってはいるんだけど。ね)

 そして、もう一人。


「あれっ。春日、春日だろ? どうしたんだ。お前まで」

 へっ? ええっ! 俊の知っている人?? とか思ったら、

「やあっ、二人とも気が付いたんだ。よかった!」

 俊と同じ制服を着た少年がそこに立っていた。

 そのブレザー姿の少年は確かにあたしのクラスメイト ―春日武蔵― だった。

 間違いなく。



 一学期が終わっても、クラスメイトの顔と名前をみな覚えてしまった訳じゃない。

 自慢じゃないけどあたしは、人の顔や名前を覚えるのが昔っから苦手だ。

 いくらクラスが一緒でも、顔と名前が一致するのは両手の指ほどで。

(中学校も一緒だったんならまだしも!)

 反対に俊は、そういうのが得意なんだけど。だからといって自分のクラス以外も、もう覚えているんだ?

(ああ。そっか、体育の授業って、一組と三組が合同だったはず)

 それに、あたしが覚えているほど印象の強い存在だし、俊なら覚えていて当然かな。

 ふむふむ。



『春日武蔵』

 焦げ茶色の髪、淡い褐色の肌、薄茶色の瞳。右目の下の黒子が印象的だ。

 日本人離れした端正な、彫の深い顔立ち。

 それもそのはず、彼はクォーターだと誰かが言っていた。って、言うか噂を耳にした。

(・・・・・・ということは、あの小父さまはその外国人の肉親かな?)



「ずいぶん時間が経っても目覚めないから、心配していたんだ」

 少年らしい弾んだ声。

「ウェルディルに心配は無いとは、言われていたんだが。君たちがこちらの世界に来たらどうなるかなんて、誰も知らないんだし。

 巻き込んだのは俺の所為だから」

 本当に、ごめん。


 春日が頭を下げる。口調も、そこでちょっと変化したみたいだった。

 本当にすまなそうに聞こえた。


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