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私とあなた

何も知らないことをいいことに、君は短冊に。

作者: 尖角

皆さんは何を願いますか?







「愛してる・・・」



それは、僕が何度も繰り返し夢で言ったセリフ。


寝て、君に伝え、  起きて、君を見つめる。。。


そんなのが僕の毎日。  他人から見たらつまらないだろう。



だけど、僕はそんな“一目ぼれ”の状態でも満足していた。










+++++ +++++ +++++










少し、時は流れ、高校入学。


――もう、君と僕と顔を合わせる機会がほとんどなくなる。


そう思っていた。   いや、実際それが現実となったわけだが。




僕と君とは、お互いの家が隣同士で、 いわゆる幼馴染という関係。



だから、小学校も中学校も一緒の学校で、僕らは常に一緒に通っていた。


それだからか、周りの友達からはよく「カップル」だとからかわれ、


僕は顔を赤くしながら、「違うよ」「そんなんじゃないよ」って否定していた。






だけど、それもできなくなった高校生活。


恥ずかしかったけど、僕は嘘でもカップルって呼ばれ、嬉しく思っていた。


だけど、それもできなくなってしまった高校生活。 僕は寂しいよ。






だから、僕は君をLINEで呼び出す。


「七夕祭りに一緒に行かない?」って。



待ってみても、いまだ未読の状態。


僕の心臓ははちきれてしまいそう。


『まだ君は学校なのかな?』『忙しいのかな?』


『もしかして、送るの久々だから、何か困ってるのかな?』



いや、それ以前に『事故に遭ったのかな?』ってアホなことまで考える。



――何を考えているんだ僕は。  自分でも、馬鹿馬鹿しく思えてくる。


だけど、止まらない思考回路。 僕はただ、不安という渦に呑まれていく。








そんな風に、不安になって布団にもぐる。


これじゃ駄目だってわかってるのに、


僕はただ泣きそうなまま君の返信を待つことしかできない。



少しして、僕は窓の外を見つめた。


その先にあるのは君の家。  僕の部屋からのぞける君部屋。


昔はよく、互いの部屋から手を振って意思疎通とかしてたっけ。



もう、遠い過去のように思えるけれど、僕の気持ちはあの頃のまま。






そんなことを考えてたら、スマホがブルブルと震えた。



急いでスマホを手に取って確認。  君からの返信だった。



「返信遅くなった;ごめん><   いいよ、行こっか」











それを見て、僕は少し驚いた。


『まさか、君に予定が入っていなかったとは!』って。




何故かっていうと、七夕祭りは地元の祭りで、ほとんどの人が行くから。



だから、心の淵で『何処かの誰かと行くんじゃないかな?』って思ってた。





だけど、君は「いいよ」って返信をしてくれた。  こんな僕に「いいよ」って。








だから、もう 僕は天にも舞い上がる思いで返信をした。




「じゃあ、当日17時に家まで呼びに行くね」 って。





















+++++ +++++ +++++





















僕は緊張を落ち着かせるために、ゆっくりと深呼吸をする。


そして、それから震える指で、君の家のインターホンを押す。




少しして「お待たせ」っと玄関から出てくる君。



相変わらず可愛くって、 僕には高嶺の花の幼馴染だと思った。




だけど、僕は今日、 勇気を出して君に告白することを決めた。




成功するか。 それとも、失敗するかはわからないけれど決めたんだ。






君は浴衣姿。  ピンクを基調とした、君にお似合いの浴衣。


それに対して、僕は私服。 別にお洒落でも何でもない、地味な私服。




そんな対照的ともいえる僕と君だけど、僕は勇気を出して、君に手を差し出す。





「ほら、一緒に行こう??」






君は、僕の差し出した手を少し顔を赤くしながら握り返す。


そして、ぎこちないけれど一歩一歩と二人、祭り会場に向かった。











+++++ +++++ +++++











祭り会場に到着して君は言った。



「まず、何する?」




だから、僕は訊き返した。



「君は何がしたい?」  って。





すると、少し首をかしげてから君は言った。




「神社の短冊に願い事 書きに行こうよ!!」と。





















+++++ +++++ +++++




















ペンを持って、何を願うか考える。


やっぱし、告白の成功? いや、勉強ができますようにかな?



いやいや、 やっぱ家族全員が幸せに暮らせますようにとか?


うーん。 でも、お金持ちになれますようにとかもなぁ……。






そして、僕は迷って、一つの願い事を書いた。








それから横を見てみると、君も短冊に願い事を書き終えたみたいだったから、


竹に短冊を飾りに行こうと君に言って、願い事を心の中で呟きながら竹に飾る。
















「何を願ったの?」



君はそう言って、僕の短冊を覗く。




『僕の周りの人が幸せになれますように・・・』





君は、それを見て「あなたらしいね」って笑った。



そして、僕も君に訊いた。


「君は何を願ったの?」 って。



すると、君は言った。




「うーん。  迷ったんだけどね??」


「とりあえず、私とあなたがずっと仲良しでいられますようにって」































「私さ、  あんたのことが好きだから!!」




君は、まるで沸騰したかのように、顔を真っ赤にして言った。






「僕もだよ……」


僕は俯きながら小さな声で言った。



――あまりにも嬉しくって。  でも、先に言われたのが悔しくって。



そのどっちもが混ざりあって、君を直視することができなかったから。
















だけど、それじゃいけないと思って、 深呼吸をして言った。










「僕と付き合ってください」 「ずっと好きでした!!」って。




































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