何も知らないことをいいことに、君は短冊に。
皆さんは何を願いますか?
「愛してる・・・」
それは、僕が何度も繰り返し夢で言ったセリフ。
寝て、君に伝え、 起きて、君を見つめる。。。
そんなのが僕の毎日。 他人から見たらつまらないだろう。
だけど、僕はそんな“一目ぼれ”の状態でも満足していた。
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少し、時は流れ、高校入学。
――もう、君と僕と顔を合わせる機会がほとんどなくなる。
そう思っていた。 いや、実際それが現実となったわけだが。
僕と君とは、お互いの家が隣同士で、 いわゆる幼馴染という関係。
だから、小学校も中学校も一緒の学校で、僕らは常に一緒に通っていた。
それだからか、周りの友達からはよく「カップル」だとからかわれ、
僕は顔を赤くしながら、「違うよ」「そんなんじゃないよ」って否定していた。
だけど、それもできなくなった高校生活。
恥ずかしかったけど、僕は嘘でもカップルって呼ばれ、嬉しく思っていた。
だけど、それもできなくなってしまった高校生活。 僕は寂しいよ。
だから、僕は君をLINEで呼び出す。
「七夕祭りに一緒に行かない?」って。
待ってみても、いまだ未読の状態。
僕の心臓ははちきれてしまいそう。
『まだ君は学校なのかな?』『忙しいのかな?』
『もしかして、送るの久々だから、何か困ってるのかな?』
いや、それ以前に『事故に遭ったのかな?』ってアホなことまで考える。
――何を考えているんだ僕は。 自分でも、馬鹿馬鹿しく思えてくる。
だけど、止まらない思考回路。 僕はただ、不安という渦に呑まれていく。
そんな風に、不安になって布団にもぐる。
これじゃ駄目だってわかってるのに、
僕はただ泣きそうなまま君の返信を待つことしかできない。
少しして、僕は窓の外を見つめた。
その先にあるのは君の家。 僕の部屋からのぞける君部屋。
昔はよく、互いの部屋から手を振って意思疎通とかしてたっけ。
もう、遠い過去のように思えるけれど、僕の気持ちはあの頃のまま。
そんなことを考えてたら、スマホがブルブルと震えた。
急いでスマホを手に取って確認。 君からの返信だった。
「返信遅くなった;ごめん>< いいよ、行こっか」
それを見て、僕は少し驚いた。
『まさか、君に予定が入っていなかったとは!』って。
何故かっていうと、七夕祭りは地元の祭りで、ほとんどの人が行くから。
だから、心の淵で『何処かの誰かと行くんじゃないかな?』って思ってた。
だけど、君は「いいよ」って返信をしてくれた。 こんな僕に「いいよ」って。
だから、もう 僕は天にも舞い上がる思いで返信をした。
「じゃあ、当日17時に家まで呼びに行くね」 って。
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僕は緊張を落ち着かせるために、ゆっくりと深呼吸をする。
そして、それから震える指で、君の家のインターホンを押す。
少しして「お待たせ」っと玄関から出てくる君。
相変わらず可愛くって、 僕には高嶺の花の幼馴染だと思った。
だけど、僕は今日、 勇気を出して君に告白することを決めた。
成功するか。 それとも、失敗するかはわからないけれど決めたんだ。
君は浴衣姿。 ピンクを基調とした、君にお似合いの浴衣。
それに対して、僕は私服。 別にお洒落でも何でもない、地味な私服。
そんな対照的ともいえる僕と君だけど、僕は勇気を出して、君に手を差し出す。
「ほら、一緒に行こう??」
君は、僕の差し出した手を少し顔を赤くしながら握り返す。
そして、ぎこちないけれど一歩一歩と二人、祭り会場に向かった。
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祭り会場に到着して君は言った。
「まず、何する?」
だから、僕は訊き返した。
「君は何がしたい?」 って。
すると、少し首をかしげてから君は言った。
「神社の短冊に願い事 書きに行こうよ!!」と。
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ペンを持って、何を願うか考える。
やっぱし、告白の成功? いや、勉強ができますようにかな?
いやいや、 やっぱ家族全員が幸せに暮らせますようにとか?
うーん。 でも、お金持ちになれますようにとかもなぁ……。
そして、僕は迷って、一つの願い事を書いた。
それから横を見てみると、君も短冊に願い事を書き終えたみたいだったから、
竹に短冊を飾りに行こうと君に言って、願い事を心の中で呟きながら竹に飾る。
「何を願ったの?」
君はそう言って、僕の短冊を覗く。
『僕の周りの人が幸せになれますように・・・』
君は、それを見て「あなたらしいね」って笑った。
そして、僕も君に訊いた。
「君は何を願ったの?」 って。
すると、君は言った。
「うーん。 迷ったんだけどね??」
「とりあえず、私とあなたがずっと仲良しでいられますようにって」
「私さ、 あんたのことが好きだから!!」
君は、まるで沸騰したかのように、顔を真っ赤にして言った。
「僕もだよ……」
僕は俯きながら小さな声で言った。
――あまりにも嬉しくって。 でも、先に言われたのが悔しくって。
そのどっちもが混ざりあって、君を直視することができなかったから。
だけど、それじゃいけないと思って、 深呼吸をして言った。
「僕と付き合ってください」 「ずっと好きでした!!」って。