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第四劇団

 初日にいきなり窃盗犯と一悶着あったものの、それ以降、大きな事件は全く起こらず、パトロール生活は続いていた。ただし、慎一郎はパトロール中の歩行でヘロヘロになる程、体力がないため、幾度も休憩を挟み、指定通りの順路をこなくことが出来ずにいた。

 そして非番の日。

「本日は非番の日ですが、一度、警察署に行きましょう。」

 パルナが唐突に話を始めると、マンガを読んでいた慎一郎の体がビクッとして背筋を伸ばす。

「けっ、警察っ!?」

相撲崎市(すもうざきし)の警察署の一角に、私達が所属する第四劇団が併設されています。」

「そ、そうなんだ……」

「はい。」

「午後も結構……回っているけど……行くの?」

「早いほうが良いかと……」

「ルナは引き籠りの体力のなさ、知らないでしょ……毎日のパトロールすら、マトモにこなせないんだよ……? 仕事ない時に休んでおかないと、明日以降がもたないよ……」

 ……。

「私が過ぎたことを言ってしまいました。申し訳ありません。」

「い、いや、いいんだけどさ……」

「申し訳ありません……」

 しゅん……

「わわ、分かった……行こう! 簡単に挨拶して、簡単に終わらせよう!」

「は、はい、マスター。」

「はは……」

 慎一郎が無理やり笑顔を引き出す。

 慎一郎達が所属しているという第四劇団は、相撲崎市の警察署に併設されている。警察署は相撲崎市中心部、相撲崎駅近くにあり、慎一郎の自宅からは最寄のバス停から相撲崎駅前行きのパスに乗って向かうことになる。そのバスの中で慎一郎が幾つか確認をする。

「そういえば、ピーちゃん……というか守護霊は、いつでも呼び出せるできるの?」

「登録した守護霊は、いつでも呼出可能です。聖剣を通じて私のガーディアンショートカットの呼出機能を使ってください。」

「な、なるほど……」

「長時間の具現化、守護霊の基礎霊力によりますが、守護霊は消耗しますので、消耗した状態で呼び出すのは止めたほうが良いです。」

「呼ぶと守護霊が消耗する!?」

「はい。」

「具現化していない状態であれば、徐々に回復しています。今の所、初日に具現化した守護霊の霊力は正常な値ですので問題ありません。」

「そか……良かった……ピーちゃんの能力は悪い人を捕まえるには向いてるね。」

「はい。重力波反応がありましたので、重力を操る力があるようです。」

「重力で押さえつける感じなのか。」

「はい。」

「意外というか、結構、気を付けないと危ない力だよね?」

「私もそう思います。」

「使うべき時に使う……難しいなぁ……」

「私はマスターの指示に従います。」

「僕の指示で大丈夫? 前回は結構、ルナが自由にやってた気もするけど……」

「そ、それは初回だからです……あ、後は、ほ、本当に従います、本当に……」

 ほのかに赤面するパルナに微笑む慎一郎。

「分かった、頼むよ。」

「はい、申し訳ありません、マスター。」


 相撲崎駅行きのバスが終点に到着する。慎一郎とパルナ、その他数名の乗客がバスから降車する。降車すると、慎一郎が深呼吸をする。

「ふー……はー……」

 ルナが慎一郎の顔色をうかがいながら尋ねる。

「マスター、大丈夫ですか?」

「あ、う、うん、大丈夫……多分。」

「申し訳ありません。やはり私が無理なお願いを……」

「いや、行くって決めたのは僕だから、気にしないでいいよ。」

「はい……」

「と、言っても……警察……か……」

「はい。」

「別に悪いことしてないけど、後ろめたい気持ちになるよね、警察署って。」

「? 何故でしょうか?」

「なんでだろう……良く分からないけど……」

「マスターの心は難しいです。」

「まぁ、自分でも良く分からないからね……」

 そんな話をしながら、警察署の入口に向かう二人。入口に着くと、中から一人、男性が出てくる。パルナがいち早くその男性の正体に気づき、慎一郎に告げる。

「マスター、あの方。」

「あれ? あの人……」

「この間の副団長ですね。」

「そそそ、そう……なのかな?」

「えぇ。」

「どどど、どうしよう……?」

 動揺する慎一郎。

「挨拶しましょう、マスター。」

「そ、そう……だよね……あ、当たり前……」

 慎一郎たちと男性との距離が近づく。慎一郎が震えながらも声をかける。

「あああ、あっ、あのっ!!」

「ん? なんだ?」

 低い声色で返事をする男性。前回は夜だったので気づかなかったが、やや強面で無精髭を生やしている。体格は慎一郎より二周りは大きい、首も太く肩幅の広い男性だ。その様相だけで慎一郎は緊張してしまう。

「え、あ……えーと……」

「どうした? 警察に何か用か?」

……。

 妙に間が空いていることを察したパルナがフォローを入れる。

「先週より第四劇団に配属された約者様です。」

「です……」

 パルナの隙のない説明に、慎一郎は最後の言葉だけ繰り返す。

「! あぁ、そうかそうか! 君はあれだな、この間のな!」

「は、はは、はい……」

「あっはっは! 顔も配属されたことも、すっかり忘れてた! すまんすまん!」

「あ、あ、あはは……」

 男性の顔が緩むと、慎一郎が苦笑する。

「まぁ、折角だから、うちらのスペースでも寄っていってくれ。」

「あ、は、はい……」

「本日はご挨拶と共に、今後のミッションの方針等、お伺いに参りました。」

 と、フォローするパルナ。

「おぉ、そうだな。みんなに紹介しないとな。」

「今後はどのようにすれば……」

「あー、その辺は、今の所、今のままで問題ない。何かあれば、別途、伝える。」

「了解致しました。」

 慎一郎がしどろもどろしている間に、上司にあたると思われる男性とパルナが様々な会話のやり取りをしながら階段、廊下、右折、左折……と通路を進んでいく。ある廊下の突き当たりらしき場所に、のれんのような物が垂れ下がっている。

「のれん?」

「あぁ、ここから先が、うちら第四劇団のスペースだ。」

 のれんには『特 防 警』と書かれている。この先が第四劇団の領域と言う男性。のれんをくぐると、十メートル程、突き当りに喫煙室と書かれた扉が見える。右側には二つの扉。

「あぁ、俺はヤニ吸ってくるから、勝手に入っててくれ。芹香(せりか)達しかいないと思う。奥のほうな。手前は倉庫だから。そいじゃな。」

 そう言って、タバコを吸う仕草をしながら、喫煙ルームに入っていく。

「は、はぁ。」

 ……。

「どうしよう?」 

「そろそろマスターが……」

「だ、だよね……」

 少し躊躇いながら、ドアを叩く慎一郎。


 ……コンコン。


「どうぞ。」

 部屋から静かな声が返事を確認すると、慎一郎がゆっくりとドアを開ける。


 ……カチャリ。


「ししし、しちゅ、し、失礼……します……」

 パルナも後ろから付いてくる。

「ん……?」

 奥にいる女性が慎一郎に気付く。

「あ、あ、あ……あの……あの、その……」

 頭が真っ白になり、上手く話せない慎一郎。自己紹介の自の字も言う間もなく、執務室内の女性が先に話し出す。

「うん? うーん……あー、分かった! 最近、入った新人君ねー! よろしく!」

 と、左前方から明るく元気な声で話しかけてくる女性。先ほどの声の主は……入口の右側で、机を横向きで使用している方だったのだろうか。慎一郎が入口側の人のほうを向くと、相手も一瞥し、挨拶をしてくる。

「中野慎一郎さんですね、今後ともよろしくお願い致します。」

「あ、は、はい……よよ、よろし……」

 慎一郎が返事をし終わる前に、机の書類に目を戻す女性。

「……。」

 慎一郎が辺りを見回す。窓のない部屋。通常、五、六名が使う会議室が執務室に改造され、業務用のデスクが中央に四つ並んでいる。それぞれにイスが付いているが、壁と机との距離は五十センチほど、座るのも窮屈なくらい細い。更に、入って左角にある冷蔵庫があり、左側の椅子に行く通路がない。右側の通路はあるものの、奥にソファが置いてある。そして、肝心な机は無数の書類やバインダー、ノートPC、パチンコで交換するようなお菓子、空き缶のコーヒーが山のように連なっている。とても執務室とは思えない混沌とした部屋だ。

「じゃ、こっちのイスにでも座ってー。」

 と、言ってきたのは最初に声を掛けてくれた明るい声の女性だ。

「え……ど、どうやって……」

「あぁ、そこ、冷蔵庫邪魔でしょ? 机の角の足かけて、こっち側に跨いでおいで。」

「は、はぁ……」

「あっちにいるミナモは書類が立て込んでてねー、今は機嫌が悪いけど、普段は愛想良くて可愛らしくて完璧な女の子なのよ。今だけは勘弁してね。」

「ここまで書類を溜めたのは姉さんのせいですよ。」

 先ほどの入口側にいる冷静な女性、ミナモと呼ばれた彼女が冷静に突っ込みを入れる。

「うぅ! だ、だから私も、頑張って書いてるわよー!」

「分かっています。なので手を動かしてください。」

「わ、分かったわよー。」

 そう言って、ものすごい勢いで書類に何かを書き殴っては書類を捲る女性。忙しくしていて、気まずく感じた慎一郎がとりあえず謝る。

「すすす、す、すみません……」

「あ、ごめんねー、ちょっと待っててね。冷蔵庫にジュースあるから、適当に飲んでてー。」

「は、はい……」

 パルナが丁度、冷蔵庫の前にいる。

「マスターは何を飲みますか?」

「な、何があるの?」

「お茶と……他はお酒です。」

「お、お茶で……」

「はい。」

 しばらくの間、慎一郎とパルナが待っていると、入口のドアが開く音。

 がちゃ……

「芹香ー、宜しくやってるかー?」

 先程、喫煙ルームに行っていた男性が部屋に入ってくる。男性が入ってくると、強いタバコの臭いを感じる。

恵一(けいいち)! 居たなら居たって言いなさいよっ!」

 部屋に入るや否や、恵一と呼ばれた先ほどの男性に対して、芹香が怒鳴り始める。

「うわっ! なんだよ、機嫌悪そうだな……」

「恵一様、用件なら書類完成後に伺います。」

 ミナモも容赦なく却下させようと呟くが、恵一もばつが悪くも、なんとか説得を始める。

「あ、あのよー、今日は折角、新人の坊主も来てくれたことだし、ちょっとはお互いの自己紹介と、この第四劇団に来てくれたことを歓迎しようぜ。仕事の予定で、すぐに歓迎会は出来んが、そのくらいの時間は取れるだろ?」

「んー、そうねー、そういうことなら先でもいいわ。」

「そう……ですね……了解しました。」

 芹香とミナモが折れ、手を止める。

「それと……ほら、タガネも起きろ。」

 恵一が執務室の奥のほうに向かいながら、誰かに声をかける。

「にゃ……? 御飯……?」

「ほら、しゃきっとしろ!」

 ソファの横の地面、タオルケットが中途半端にソファと地面にかかっており、恐らく眠っている間に落ちたかのような状態、一人、パルナと似たような小柄な少女が起き上がってきた。

「けーいち、お腹すいたー。」

「分かった分かった、もうちょっとしたら夕飯だから、もうちょい待て。」

「あいー。」

「これで、今日のメンツは揃ってるな……さて。」

「え、と……」

 慎一郎が口ごもる。それを察した恵一が慎一郎の肩をポンと叩く。

「そう緊張しなくていいぞ。あぁ、じゃぁまずは俺から自己紹介するか。ここ、第四劇団の副団長一号、成瀬(なるせ)恵一(けいいち)だ。よろしくな!」

 慎一郎を前に強く発する、その勢いに圧倒され上手いことが出ないままの慎一郎。

「は、はい……」

「え!? ちょっと恵一! 一号は私でしょっ!?」

 芹香が素早く反応する。

「いや、お前は二号だ。」

「私より後に副団長になったじゃない?」

「俺、降格申請だから! 団長からの降格申請だから!」

「なんかやらかしたんでしょ? そんなのが一号名乗るのはおかしいわ!」

「違う違うっ! 自主的に降りたんだよ!」

 無駄のようなやり取りを見て、ミナモが呟く。

「メオト漫才はそれくらいにして、次、行ってください。」

「違うわいっ!」

「違うわよっ!」

 本当にメオト漫才かの如く、ハモる恵一と芹香の声。

「あ、あはは……」

 その気まずい、いやむしろ砕けた雰囲気? を、ただただ苦笑いするだけの慎一郎。

「タガネ、お前、自己紹介。」

 恵一がそう言って、タガネを指差す。

「あふ……タガネはー……けーいちの鞘束ぅ。いじょー。」

 ……。

 机をまたいで恵一がタガネのほうへ行き、タガネの頭をポンと叩く。

「……っつーこった。ま、俺の相棒、タガネ・ヒメジマ。簡単に説明すると、主に弾道計算などの物理演算を得意としてるカリキュレーターって分類だ。で……」

「いじょー。」

「お前、勝手に話を止めるな。」

「おなかすいたー。」

「これ終わるまで待てって。あ、あぁ、それでな、タガネはあらゆる情報を考慮して、遠距離射撃を得意とする。俺が出張ってタガネが後方支援する感じだな。」

「だなー。」

 あまり話すのが得意じゃないのか、恵一の追いかけるように言葉を付け加えるタガネ。

「じゃ、次、私! 私は水上(みなかみ)芹香(せりか)、よろしくねー。そっちのタバコ臭い恵一と同じく、神奈川県特防警第四劇団で副団長やってるわ。約者よ。あっちが私の妹のミナモ。」

「ミナモ・ミナカミです。姉の鞘束としてサポートをしています。鞘束としての分類……分類は……エ、エンジェル……でして……こ、これは、私が勝手に決めたものではなく、そういう分類にされただけです……姉の力を増幅させることが主な能力です。慎一郎さん、ルナさん、よろしくお願い致します。」

 芹香は先程と相変わらず元気な印象である一方、ミナモは先程とは異なり、かなり礼儀正しく挨拶をする。鞘束の分類を説明するのが少々恥ずかしいようだ。

「……ってことで、坊主! 最後、びしっと自己紹介頼むぜー!」

 恵一が発破をかける。


 ……。


「よ、よろ、しっく……お願い、します……え、えーと……あの……え……」

 慎一郎が声を詰まらせると、芹香がフォローを入れる。

「そんなに緊張しなくてもいいのよー。ここはラフにやってるから、ね?」

「姉さんはラフ過ぎますが……」

「いいのいいの。」


 ……。


「えと、あの……中野……慎一郎です……それと……こちらが僕のパートナー……ですかね……? ルナって言います。」

「慎一郎様の鞘束を務めますパルナ・シノノメです。分類はネクロマンサーです。よろしくお願い致します。」

「ネクロマンサー……?」

 芹香の呟きに恵一が答える。

「ほう、聞きなれない分類だな……珍しい。」

「え……そ、そうなんですか……?」

 不安気味に確認する慎一郎。

「書類選考の時点で既に知っていたがなっ!」

「えっ!?」

「まぁ、珍しいのは変わらん。県内には同じ分類の鞘束は居ないと思うぞ。そもそも、うちの劇団には色んなのが居るから、気にすることはない。」

「慎ちゃんにルナちゃんね、これからもよろしく~。」

 芹香が胸元で小さく手を振りながら歓迎してくれる。

「しんちー、ルナルナー、タガネ、覚えたぞー。」

 奥にいるタガネも、目が覚めたのか、万遍の笑みを浮かべてこちら大手を振っている。

「お、タガネも仲間が増えて嬉しそうだな。」

「だなー。」

「それに、初日から窃盗犯を捕獲したし、上々だろ?」

「ええー、すごいじゃない!?」

 芹香が多少、大袈裟とも見えなくないような感じで慎一郎達を褒める。

「え、そ、そんな……偶然で……あ、ありがとうございます。」

「今いるメンバーは一通り紹介したな。後は、他にも幾つか説明しておくことがあるから、廊下で立ち話をするかー。芹香とミナモの仕事が終わらんと、俺もな、とばっちり食らうのは御免だ。」

「恵一は死ね! んで、慎ちゃん、ルナちゃん、ごめんね! またねー!」

「は、はい……」

 芹香に頭を下げつつ、恵一に付いて執務室の外に出る。

「ふぅ……芹香は書類作成と確認が課題だな……あぁ、ちなみに、他のメンバーは任務に出てたり、他の劇団、警察、自衛隊に出向したりしいて、あまり戻ってこない。」

 補足を入れる恵一。

「そ、そうなんですか……」

「あぁあぁ、忘れていたが、隊長な、第四劇団の団長。本当は隊長が常に居るのが普通なんだが、事情があってな、今は全国、飛び回っている。基本、ミッションは隊長が請け負ってきて、スケジュール調整や人選は俺と芹香でやる、そんな感じになっている。」

「わ、分かりました……」

「さっきも言ったが、基本、今まで通りパトロールを続けてくれ。別途、何かあれば連絡する。で、その逆もしかり、だ。」

「逆……?」

「自分の手に負えない状況に遭遇したら、すぐに俺達に報告を入れること。それは絶対だ。いいな?」

「は、はい……」

「了解致しました。」

「それと……すぐに気にする必要はないが、異形(いぎょう)について説明しておく。」

「い、異形……ですか?」

「たまに発生するんだよ。変な生き物みたいのが。大体はぐちゃーっとしてドロドロしてるんだが。まぁ、そこは嬢ちゃんに聞けば分かる。な?」

 ルナに話を振る恵一。

「はい、把握しております。」


 一通りの説明を受ける慎一郎とパルナ。

 そして帰り道。

「聞こえるー?」

「うわっ!?」

 耳の後ろから声が聞こえる。慣れない慎一郎がドキッとして周囲を見回す。

「マスター、水上芹香副隊長からの通信です。」

「そそそ、そか……あ、あはは……」

「ちゃんと端末付けてるのね、偉い偉い。」

「は、はい……」

「ちょーっと、その先、異形反応あるから、ちょーっと、気を付けて。」

「い、異形!? たまに発生するって……」

「そうそう、恵一から聞いた?」

「え、えぇ。」

「聞いた初日に出会うなんて、かなーり運がいいわね。あ、悪いのかもねー。」

「どどど、ど、どうすれば……」

「大体、大丈夫だけどねー、たまにヤバいの落ちてくるから、警戒は必要なのよー。そうね、ルナちゃんなら、対処手順分かっているはずよね? 大丈夫かしら?」

「データ送ります。」

 とパルナ……は隣にはいなく、通信端末からの音声だ。見渡すと数十メートル先に行っているのが分かる。慌てて追いかける慎一郎。

「はい、ありがと、ルナちゃん……んで、データ見てー、問題なければー……」

「え?」

「ぶっ潰すっ!!」

 頭上で声がする。慎一郎が見上げると、異形に向けて急降下してくる……人? 近づくにつれ、それが芹香だと分かる。


 ずどおおおおぉぉぉぉん!!!!


 けたたましい音と爆風と共に、異形が跡形もなく消滅する。

「で、終了。」

「なななな……」

「二人共、怪我はない?」

「こちらは問題ありません。」

「うんうん、それなら良し。」

 そう言って、芹香が笑顔で慎一郎達を眺める。

「すす、す……すごい……」

「んー? そおお? 慎ちゃんも、三日くらいすれば出来るようになるわよ?」

「い、いやいやいや……」

「あぁ、恵一、片方消滅よ、相反の異形のほう、対処頼んだわよー。」

「あいよ。」

 耳元のデバイスから恵一の声が返ってくる。

(思ったより、みんないい人そうだ。場所が警察だから、ちょっと恐かったけど……ミッションにしろ、異形にしろ、自分が本当にやっていけるのか? 芹香さん……あんなのマンガとかアニメとかでしか見たことないような攻撃をしてるし……到底、マネ出来るわけないし、僕にどうしっていうだろう……?)

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