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劇団員のパトロール

 二十二時、慎一郎の初仕事が始まる。

「では、マスター、パトロールに参りましょう。」

 と言って、縞模様のショーツを脱ぎだすパルナ。

「えっ!? ちょっ!! なんで脱ぐのっ!?」

「でないと、様々な機能を使う時に手間がかかってしまいます。」

 続けて、ワンピースも脱ごうとする。

「い、いや、意味が分からないよっ!? でもね、夜間、そんな格好で歩いていたら、十八禁のゲームみたいになっちゃうよっ!?」

「じゅうはちきん? それは、なんでしょうか?」

「あ、いや、あの、そ、それはいいとして! パ、パパ、パトロールだからさ、必要な時にしよう! そうだ! そうしよう! それしかない! そうじゃないと僕が通報される!」


 ……。


 必死に訴える慎一郎に、パルナが折れる。

「了解しました……マスターがそこまで仰るのなら……」

「良し! じゃぁ、出掛けよう! レッツ、パトロール!」

「はい、マスター。」

 そんな掛け声とと共に、外に飛び出す慎一郎とパルナ、時刻は二十二時。

(なんでこんなハイテンションで外に出ないといけないんだろう……?)

 特防警の地域パトロールの道順は予め決められている。そのため、道順通りに周り、不審物や不審人物への職務質問、未成年の補導、犯罪などを目撃しない限り、時間内に道順通り歩くという仕事だ。

 だが、慎一郎の体力では、時間内に道順通りに歩くことができなそうだ。

「はぁ……はぁ……ちょ……ちょっと」

「マスター?」

「ど、どこかで一回……休憩しない?」

「このペースだと、パトロールルートを完遂出来ません。」

 既にぐったりしている慎一郎に、容赦のない言葉が投げかけられる。

「ううぅ……脚がパンパンで……」

 慎一郎が地面にしゃがみ込むと、パルナは慎一郎の脚の状態を確認する。

「分かりました……少し休憩しましょう。」

「ご、ごめん……」

「初日ですから、無理なく行ったほうが良いと判断しました。」

「た、助かるよ……ところで、ルナは疲れないの? 重装備っぽいブーツが重たそうだし……」

「私はこのブースターブーツで歩行を補助しておりますので、特に問題ありません。」

「なっ、汚い!」

 慎一郎のセリフを聞くや否や、少ししゅんとした顔を見せるパルナ。

「マスター……私、汚い……ですか?」

「う……うあ……いや……あの……べ、別に……ね……」

 答え詰まる慎一郎。


(気まずい……)


「きゃああああぁぁぁぁ!!!!」


 暗闇の先で、悲鳴……若い女性の悲鳴。刹那、数十メートル先の小さな交差点から眩い光が迫ってくる。バイクの前照灯が慎一郎達を照らす。

「状況把握。バイクによる引ったくり事件が発生、強盗犯を確保します。」

「え? えっ!? 引ったくり!? 本当にっ!?」

「はい。こちらに向かってくるバイクが窃盗犯です。」

「えええ、あ……どどど、ど、どうしよう!?」

「確保してください、マスター。」

「え!?」

 二人乗りをした原動機付自転車……原付が軽い排気音と共に、こちらに向かってくる。眩い光が勢いよく間合いを詰めてくる、交差点を曲がってから、かなり加速をしているようだ。

「つ、つ、通報、した、ほう、が……!?」

 パルナが小道の中央、原付の前に飛び出しす。共に小声で何かを唱えるパルナ。

「……マナバリア。」

「ル……うわああぁぁ!!??」


 ガシャアアアアァァァァン!!!!


 叫ぶ慎一郎の声と同時に大きな破壊音が発生する。窃盗犯がパルナを避けようとハンドルを切ったものの、パルナと原付が接触し、パルナが後ずさる。窃盗犯達が乗った原付は電柱に直進、窃盗犯の原付が全壊する。こんな惨状を見たこともない慎一郎だったが、慌ててパルナのほうに行く。

「ルナっ! しっかり! 大丈夫か!?」

「私は大丈夫です。通常モードで出力が出ませんでしたが……なんとか止めました。」

「どどど、どうしよう!? け、警察!?」

「マスターには私という鞘と聖剣があります。マスターが聖剣を手にすれば、マスターも私も、治安を守る力を発揮できます。」

「そそそ、そうなの!?」

「はい。治安を維持出来る力を、マスターは持っています。」

「どどど、どうやって!?」

「聖剣は私の股の間にあります、速やかに引き抜いてください。」


 ……。


「は?」

「股の間です。」

「へ?」

 バサッ!

「うわー!」

 恥ずかしげなく、スカートを捲り上げるパルナ。

「マスター、きちんと見て、私の股の間にある聖剣を抜いてください。」

 スカートを口に咥え、縞模様のショーツを下ろそうとする。

「うわっ、ままま、待って! 待って!」

「ひょ、ひわれまひても……」

 咥えたスカートを落とさないように、ふにゃふにゃ喋るパルナ。

「マスター、しっかりしてください。」

「ちょちょちょ、これ以上は……」

「早く、今のうちに。」

「うわっ!?」

 パルナがためらいなく、ショーツを膝上まで下ろすと、慎一郎が慌てて目を逸らす。夜の街灯が、ほのかに照らす中、慎一郎の頭の回路がショートしたのか、静止している。

「マスター、マスター! これはマスターでないと出来ないことです。マスターと私の力を使うには、鞘である私の聖剣をマスターが抜刀しないといけません。」

「……。」

「お願いします、マスター、しっかりしてください! 今なら、私達の力で窃盗犯を捕まえることが出来ます。私達二人にしか出来ないことです。お願いします!」

 気が遠のいていた慎一郎がパルナの声で意識を取り戻す。

「! ……分かった……ごめん、触る!」

 慎一郎がルナの目の前でしゃがみ、目を伏せながら股に手をあてる。

「はい、マスター。」

「えーと……」

「ん……」

「聖剣……剣だよね……あ、あるの?」

「もっと後ろです……」

「え? え? え?」

 何も考えられず、とにかく手で探し当てようとする慎一郎。

「あ、もう少し奥です。」

「えーと……ん?」

 慎一郎がルナの股に何かの感触を掴んだ。

「そ、それです。」

「え、と……これを……?」

「それを指で掴み、地面の方向に引き抜いてください。」

「だ、大丈夫?」

「マスター、大丈夫です。」

「わわ……わ、分かった。」

 ……。

「えいっ!」

「んっ!」


 ず……じゅるぅ!


 ……。


 慎一郎がルナの股から引き抜いた刃……聖剣……アクターズウェポン。

「なんか……出た。」

 慎一郎が目を丸くしている。その間にパルナが目を瞑り呟く。

「アクターズウェポン、抜刀確認。マニピュラブルドレスの能力、完全解放確認。システム……オールグリーン。」

「ル、ルナ?」

「……! マスター、それがマスターの聖剣、アクターズウェポンです。」

「な、何これ? おな……おな……お腹の中……から?」

「それがマスターと、地域の治安を守るための武器です。」

「え……ごめ……い、意味が……」

「鞘である私に収められた聖剣は、マスターの力でのみ抜刀することが出来ます。」

「え、ええと……こ、股間から……出す……の?」

「はい。」

「あの……い、いけないおもちゃじゃなくて?」

「聖剣です。マスター、その力で犯罪を減らすのが、私達の役割です。」

「え?」

「では、任務を継続します。いけないおもちゃとは何か? は後程、お教えください。」

「え、え、え?」

「私は逃げたもう一人を追います。マスターはこちらの窃盗犯の確保を。」

 そう告げると、ルナの脚部のブースターブーツ……の排気部分からバックファイアを発すると、スケートを滑るようにスイ~っと滑るように奥の路地へ消えていく。

「あの、ルナ……って行っちゃったし……はっ!?」

 ルナの様子を見ていて気付かなかった慎一郎。窃盗犯の一人、容姿は大柄で強面で剛腕と思える姿、強面の鋭い瞳は、慎一郎を睨みつける。

「てめぇ……」

「え、え……ええー!!?」

「て、てめーら……」

「うわっ!? ぼぼぼ、僕は窃盗犯を目の前にして何やってたんだ!?」

「ふっ、ふざけんじゃねーぞ!?」

「ひ……」

「何、人前でイイイ、イチャイチャイチャイチャ……イチャついてんだよっ!? おめーらはよっ!? 死なすぞっ!? ごらああぁぁ!!」

「で、ですよねーっ!? あはははは……」

 慎一郎が怯えながらも、変な返答をしつつ、左手で聖剣を構える。パルナの聖剣は剣というより、ナイフに近い。刃渡り二十センチ程だが、刃から紫色の淡い光を発している。

「こ、これで窃盗犯を捕まえる……? ど、どうやって……?」


 チャキ……


 窃盗犯がバタフライナイフのような物を取り出すと、慎一郎が慌てて仰け反る。

「う、うわ!? ちょ……」

「てめー!! ぶっ殺してやるっ!!」


 一方、逃げだしたもう一人の窃盗犯を追いかけるパルナ。後部座席にいた犯人の横に静かに止まる。

「はぁ……あ、危ねー……な、何だったんだよ……ったく、アニキ運転しくって……ん?」

「マナバリア……プッシュ。」


 どがんっ!!


 展開したマナバリアを窃盗犯に近づけ、ブロック塀に押し付けると、痛々しい音と共にブロック塀が崩れる。

「窃盗犯2、回収します。」

 そう言って、窃盗犯2のシャツを持ち、ゴミを扱うかのように引き摺りながら現場に戻る。

 再び……バイクとルナのマナバリアが接触した現場は、パルナが慎一郎の所に戻っても、事態は特に進んでいない。

 運転席の窃盗犯がナイフで慎一郎を脅している。

「ぶっ殺してやる!」

「ひいいい!!?? すみません!! こ、来ないで!?」

「ブンブンブン!」

 慎一郎が明後日の方向に聖剣を振る。

「ちっ!」

「はぁはぁはぁ……」

「てめーら、ムカつくんだよっ!? 死ねやごらああぁぁ!!」

「ちょちょちょ……まままま……」

「おらっ、ぶっ殺してやる!」

「ひいいい!!?? ちょっ、まっ、うわーっ!?」

 ブンブン!

 慎一郎が再び明後日の方向に聖剣を振る。

「ちっ! んだこらあ!!」

「はぁはぁはぁ……」

 慎一郎と窃盗犯のやり取りを見ていたパルナの顔がやや曇る。何も進まない、威嚇の繰り返し……パルナが状況を変えようと、ススっと、窃盗犯と慎一郎の間に割って入る。

「マスター、もう一人の窃盗犯、そちらに置いてあります。」

「え? あ、あ、あ……わ、分かった……」

「おめーらっ!!」

「……って、ルナ、危ない!」

「おらてめーらー!!」

「ルナーっ!!」

 慎一郎がルナの前に飛び出し、窃盗犯のナイフを受けようとする。

「マスター!?」


 くわわああああぁぁぁぁーーーー!!!!


 突然、強い光と頭を突き抜けるような甲高い鳴き声に、慎一郎も窃盗犯も互いに怯んでしまう。光が収まると、宙に『あひるのオモチャ』のような物体が現れている。

「!?」

「は、はわわ……」

「っ!」

「これは……」

「マスター……これはマスターの守護霊です。」

「はえ? あああ、あ、あぁ、あぁ、あれね! あれ! は、はははは……」

 逃げ腰になりながら返事をする慎一郎。

「マスター……」

 窃盗犯の目の前に浮かぶ、あひるのオモチャのような物体。

「かぷ。」

 嘴で右腕を噛むと、窃盗犯は手に持っていたナイフを落とす。

「いたたたたた!!?? な、なんだこれ!? いてっ! 噛むなっ! なんだこの野郎!?」

「くわっ、ぐわー!!!!」

 更に、強盗の背中に乗る、あひるのオモチャのような物体。


 ……きゅぴいいいいぃぃぃぃん!!!!


 耳を貫くような高周波の音が辺りに響くと、空間に違和感を覚える各人。


 ズ……ズズズズ……


「!! 重力……あの守護霊からものすごい重力が発生しています。」

 いち早く、ルナが重量反応を検知する。ほぼ同時に、窃盗犯はその重力下で自身の重さに気付く。

「うおー! なんだこれ……重い……ぐお……ぁ……」

 守護霊が発する重力に侵された窃盗犯が地面に押し付けられる。

「マスター、チャンスです。」

「あ、あわ、は、はは、はい……?」

「窃盗犯を捕らえましょう。」

「あ、脚が……動かない……」

「マスター、しっかりしてください。」


 丁度、警察が数名現われる。


「大丈夫ですか?」

「現在、捕獲中です。マスター、重力波、解除してください。」

「え? ぼ、僕が?」

「はい。」

「と、止まって!」

 慎一郎が一声かけると、直後、あひるのオモチャが発していた重力波が収まり、同時に警察官達が窃盗犯を取り押さえる。


 どたどたばたばた……


「う、うええ……何これ……本当になんとか二十四時状態だ……」

「マスター。」

「は、はい。」

「この間に守護霊を登録しましょう。」

「え、え、え?」


 ふよふよふよ……


 宙に浮いている、あひるのオモチャのような物体。真っ白な羽、山吹色の艶のある嘴、若干デフォルメされている感じもするが、ペキンアヒルのように見える。守護霊の存在が本当ならば、慎一郎は、ある幼い頃の記憶が一つ、結び付いた。

「あの……さ……ピーちゃん……だよね?」

「いよう、兄弟。」

「うわっ! しゃ、喋れるのっ!?」

「ぼちぼちなー、こっちの生活も慣れてきたし。」

「は、ははは……」

 ……。

 ……。

「ピーちゃん。」

「どうした、兄弟?」

「俺……あ、いや、僕の守護霊になっていてくれたんだ。」

「まぁなー。こんなヘッポコな弟、ほっとけねーよなー。困ったヤツだなー。」

「う、うるさいなー。」

「とりあえず、なんとかなったようだしな。」

「あ、あぁ……」

 ……。

「そっちのお嬢ちゃんにも感謝しないとなー。」

「ルナのこと?」

「こうやって話せるのも、お嬢ちゃんのお陰だからなー。」

「そうか……そうなんだ……」

 慎一郎の顔が歪む。

「マスター、早く、登録を。」

「あ、あぁ、ごめん……分かった……」

「ん? 兄弟? なんだ?」

「あの、さ……また……手伝ってくれるか?」

「勿論だ、兄弟だろ、俺達。」

「あぁ。ありがとう、ピーちゃん。」

「おうよ。」

「登録します。」

 ルナがそう言うと、ルナの右腕に装着された操作盤に吸い込まれる守護霊のピーちゃん。

 ……。

「マスター……?」

「ピーちゃんは……さ……僕が生まれた時から一緒にいた、家族なんだ……」

「マスター……」

「今はないけど、以前は庭に池があって……ね……昔はたくさん遊んでくれた。僕が庭に行くと、いつも寄って来て遊んでくれた……うう……ピーちゃん……なんて情けないんだ……僕は……いつまでも死を乗り越えることができない。」

 涙が頬をつたう。

「……。」

「僕の側にいる存在は、皆、家族なんだ……家族を失うのは……耐えられない……もう見たくないんだ……」

 その間に強盗の騒動は収まり、窃盗犯二人は警察署へ連行された。

 慎一郎が落ち着きを取り戻す間、パルナはずっと慎一郎の側にいた。何も声もかけず、ただ、そのまま、寄り添うように慎一郎が自身の力で落ち着くまで、ずっと。

「ご、ごめん……ルナ、迷惑かけた……」

「問題ありません。窃盗犯も捕まりました。」

「ルナ、怪我は……?」

「大した怪我はありません。」

「最初に原付と衝突したのに?」

「マナバリアで防いだので、大方、問題ありません。」

「そ、そうか……」

 窃盗犯達はパトカーで連行されたが、しばらくの間、現場に残った警察官達が何やらざわついている。

「マスター、もう大丈夫ですか?」

「あ、う、うん……ごめんね……迷惑かけて。」

「いえ……マスター、地元の警察官がまだいらっしゃいます。」

「う、うん。」

「今後も任務でお世話になるはずです。挨拶しておきましょう。」

「あ、ああ、挨拶……ね……そうか……」

 そう言ってパルナが慎一郎の手を取り、警察官の側に寄ると、警察官が話しかけてくる。

「君、お手柄だったねー。後で署に来て感謝状を……ん?」

「あの……あの……えーと……」


 ……。


 言葉が出ずにいる慎一郎、少々不自然な間を経て警察官が話を続ける。

「君の隣のお嬢さんは……?」

「お世話になります、本日より研究所から配属された特殊防災警備劇団員です。こちらが私の約者様、中野慎一郎様です。私は鞘束のパルナ・シノノメです。」

「おぉ、そうかー。君達がねー。」

 納得顔の警察官にパルナが一言添える。

「今後とも、よろしくお願い致します。」

「そこにいる副団長から話は聞いているよ、こちらこそよろしく。」

「副団長が来ていらっしゃるのですか?」

「ほら、そっち。」

 警察官がそう言いながら、慎一郎達の反対側を指差す。街灯と街灯の間あたりの暗がり、私服の男性が何やら携帯電話のような端末で通話をしているようだ。

「マスター、丁度良いですから、一緒にご挨拶に行きましょう。」

「え、え……?」

 パルナの独断で、私服の男性に近づく。

「あぁ、そうだ……変更、よろしく。あぁ、そいじゃ。」


 プツ。

 

 丁度、通話を終えた私服の男性は、携帯端末をズボンの左ポケットに入れる。先ほどの窃盗犯を更に一回り大きくした大男。そして、非常に体が鍛えられている感じがうかがえる。

 ……。

「お世話になります、本日より……」

「よっ、お疲れさん。問題ない、聞いてる。」

 パルナの話を遮るように私服の大男は話を続ける。

「あぁ、今はいい。疲れているだろう? その辺の自己紹介やらは、そのうちやろうや。非番の時に署に来ればいい、そこで一通り説明ないといけないこともあるしな。な? そこの新人もなっ!」

「! はははは、はい……」

「お疲れさん、じゃぁな、残りのパトロール、気を付けてな。」

「お疲れ様です。」

「は、はい……」

 力なく返事をする慎一郎。

「ふ、ふわぁ……びっくりした……」

「マスター、大丈夫ですか……?」

「全然、大丈夫じゃ……」


 ブブブブ……


 情報端末からの知らせが入る。


『緊急時対応により、パトロールルートが変更されたのを確認すること。』


カード型の端末で確認する慎一郎。

「これは……」

「マスター?」

 地図に表示されているルート表示は、先程とは異なり、道のりは真っ直ぐ慎一郎の自宅に向けて伸びている。

「もう帰っていいってことなのかな……」

「だと思われます。」

 帰り道。

「ルナは……こんな僕がマスターでいいの?」

「私はいつでもマスターと共に在ります。それは変わりません。」

「そ、そっか……」

「ところで、じゅうはちきん、いけないおもちゃ、それぞれ、何を表す言葉なのでしょうか?」

「えっ!?」


(ルナは僕を認めてくれたのだろうか。もう……ルナも僕の家族なんだ……ずっと逃げたかった、でも、ルナは逃げずにいる。ルナだって、いきなり事情も分からない所に送られてきて、不安なはずなのに……自分は何も汲み取れてないじゃないか。ルナの苦労を……)


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