やみ
掲載日:2026/04/03
闇が大地を切り裂くように、
病みが私を縛り付ける。
その鎖は見えず、しかし重く、冷たく、
私の骨の髄まで染み入る。
夜の底で息を潜め、記憶の断片がざわめく。
かつての光は遠く、
触れようとすればするほど、
指の間をすり抜ける水のようだ。
私は歩く。いや、歩いているつもりだ。
足元には何もない。
ただ、湿った土の匂いと、
どこかで朽ちる木の音がする。
心臓は不規則に鼓動し、
まるで私の存在を嘲笑うかのように、
強く、激しく、脈打つ。
誰かが私を呼んでいる。
声は風に混じり、言葉になる前に散る。
それでも私は耳を澄ます。
なぜなら、その声が、たとえ幻であっても、
私をこの病みの淵から
引き上げる唯一の糸であるかもしれないから。
だが、目の前に広がるのは闇。
空を見上げても、星はない。
ただ、鈍色の雲が低く垂れ込め、
私の影すら奪い去る。
それでも、どこかで光を探してしまうのだ。
愚かにも、病んだ心は、
なお希望という名の毒を飲み続ける。
そして私は思う。
この闇が、私自身なのではないかと。
大地を切り裂くその闇は、
私の内側から生まれたものではないのかと。
病みは私を縛るが、
その縄は、
私が自ら作り出したものなのかもしれない。




