第6話 ち、ちょっと待って!小野寺さん!
俺は絶望で震えていた。
自分のヨダレで汚れてしまった柏木さんのパンツ。
気づいたら涙で枕を濡らしていた。
神聖なパンツを俺は穢してしまったのだ。
この世界の男なら女の子のパンツを無理やり咥えさせられたらトラウマものだろうが、俺にとってはご褒美だった。
しかし、それは一時的な快楽に過ぎない。
俺はもう二度と純粋な柏木さんの(パンツの)匂いを楽しむことが出来なくなった。
だから、俺は決心した。
もうパンツについてつぶやくのはやめよう。
この気持ちを二度と味わわないためにも、俺はパンツから離れなければならない。
『自分であそこを触ってるところを見せてくれる女の子いるといいな』
趣旨を変えて、俺は自分の内なる性癖をつぶやいたのだった。
小野寺さんは、まるで何もなかったかのように、いつも通りの落ち着いた様子で柏木さんと談笑していた。
「それでね、そのカフェのケーキがすごく美味しくて」
「いいな、今度一緒に行こうか」
柔らかく微笑みながら言葉を交わすその姿は、どこからどう見ても普通の女の子だ。
声のトーンも、仕草も、なにもかもが穏やかで控えめで。
あの屋上の出来事が、まるで嘘だったみたい。
しかし次の瞬間、小野寺さんは視線をこっちに向けた。
にんまりとした笑顔。
それを一瞬だけ浮かべてから彼女はまた柏木さんのほうに向く。
背中にじわっと冷たい汗がにじむ。
今の一瞬だけで、屋上の出来事が全部フラッシュバックした。
絶対、覚えてるよな……。
いや、覚えてるどころか、楽しんでる。
あの笑い方はそういう顔だった。
何事もなかったかのように振る舞って、俺だけに分かる合図を送ってくる。
性格が悪いとか、そういうレベルじゃない。
なんかもう、根っこの部分が普通の女の子と違う気がする。
そして、放課後。
柏木さんがもしかして俺をまたあの空き教室に呼び出すのかもと思って、しばらく教室に留まった。
しかし、気づいたら俺以外の生徒はみんないなくなっている。
ほっとした。
今日はもう酷い目に遭わずに済むと、俺は胸を撫で下ろす。
「ねぇ、綾人くん♡」
後ろから声がして急いで振り返る。
そして絶望した。
そこには手を後ろに回して前かがみで俺の顔を覗き込んでいる小野寺さんの姿があった。
距離が、近い。
さっきまで教室に誰もいなかったはずなのに、いつの間にか俺の背後に立っていたらしい。
気配なんて、まったく感じなかった。
「ど、ど、どうしてここに……!?」
「ふふ、驚いた?」
小野寺さんはくすっと笑う。
その笑い方は静かで、柔らかくて。
なのに、妙に背筋が冷える。
顔が近い。
前かがみの姿勢のせいで、自然と視線が下に落ちそうになる。
見たらダメだ。
そうと分かってるのに、視界の端に入ってくる小野寺さんの谷間。
「ねぇ、昨日つぶやいてたよね?」
「……っ」
逃げ場がない。
声は小さいのに、耳元で直接囁かれてるみたいに鮮明に聞こえる。
「見せてくれる女の子いるといいなって」
「ち、違っ……あれはその……」
「いいよ、言い訳しなくて」
すっと。
小野寺さんの指が、俺の胸元に触れた。
ほんの軽く、なぞるみたいに。
それだけなのに、体がびくっと反応してしまう。
「そういうの、好きなんだよね?」
視線が合う。
伏し目がちなはずの瞳が、まっすぐ俺を捉えていた。
「大丈夫だよ」
にこっと、いつもの優しそうな笑顔。
でも。
その奥にある何かが、明らかにおかしい。
「ちゃんと見せてあげるから」
「なっ……」
ぞわっとした。
言い方が、軽すぎる。
まるでちょっとした親切みたいな口調で、とんでもないことを言っている。
「ほら、こっち」
そう言って、小野寺さんは俺の手首を掴んだ。
細い指なのに、妙に力が強い。
振りほどける気がしない。
「だめだって……!」
「だめじゃないよ」
即答だった。
迷いが一切ない。
「だって、綾人くんが望んだことでしょ?」
「それは……そうだけど……!」
「じゃあ、いいよね?」
ぐい、と。
逃げようとした俺の体を引き寄せる。
顔が、さらに近づく。
息がかかりそうな距離。
「ちゃんと、責任取ってね♡」
小野寺さんの指は彼女の股間を這う。
「んぁっ……」
艶かしい吐息。
いつの間にかもう片方の手は胸のほうを揉み出す。
視線が外せなかった。
こくりと、喉を鳴らす。
パンツ越しに楽器を演奏するかのように動く小野寺さんの指。
真ん中からシミが拡大していく。
豊満でたわわな小野寺さんの胸が、彼女の手に押しつぶされてぐにょとなった。
服越しでも分かる突起。
至近距離だからか、小野寺さんの声が脳裏に直接響く。
吐息も自然に顔に当たる。
「ひゃ……ぁん……」
俺の目は小野寺さんの股間に釘付けだった。
欲望の限り手を動かす小野寺さん。
その動きはさらに激しくなる。
いつしか小野寺さんは目を閉じて口をぱくりと開けっぱなしにしていた。
唾液がとめどなく漏れ出る。
それが小野寺さんの谷間に落ちて服を汚していく。
人のいない教室。
しかし、いつ誰が来てもおかしくはない。
なのに、小野寺さんは止まらない。
止まる気配がない。
だからこのとき――
俺は柏木さんから届いていたDMに気づかなかったのだった。
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