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満月

 満月が、雲に隠れるように。



 月が、地球に隠れるように。



 海の底が、太陽を知らないように。



 海の色が、偽物であるように。






 当たり前になったものが目に見えなくなるというのは、本当によくあることで。自戒を止め、感謝を忘れ、人の心を失っていく。


 誰にも叱られることなく、そうして誰もが去っていってようやく気がつく。けれどその頃には、何もかもが手遅れになっている。


 


 大切さも、痛みも、失ってから知るには遅すぎる。

 そんな話のこと。

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