概要
文届く
蒼生大和
目安箱
~草薙、心の俳句~
蒼生大和――
拠点には草薙の部屋がある。
そこには無言で佇むひとつの“木箱”がある。
──目安箱。
正式な文書の前に、兵や民の声を受け止める仕組み。
その箱には日々、短い手紙や報告、時には詩のような独り言までが投函されている。
「……今日も何か入っているな」
風鈴の音が鳴る中、草薙は箱の中から数通の便りを取り出した。
草薙は湯をひと口。
書の横に、便りを並べた。
目安箱は、命令を受ける箱ではない。
ましてや、願いを叶える魔法の道具でもない。
ただそこに、人々の日々の気づきや、ささやかな話が綴られる。
何か特別なことが書かれているわけではない。
だがこの拠点生きている”ということを改めて実感できる。
風が窓をかすめ、木の葉がそよいだ。
草薙は少し目を閉じる。
今日も蒼生大和は生きている。
~目安箱~
目安箱は軍政・民政両用で、兵士・スタッフ・住民問わず使える。
投稿は匿名可。実名の方が信頼されるが、義務ではない。
内容は「提案」「報告」「雑感」「詩・絵・俳句」「物資の申請」「日誌的なもの」など自由。
ラブレターや感謝の手紙が入ることもある
箱の管理は草薙が直接見ることもあるが、多忙なときは配下のくノ一や副官や書記官がまとめて報告、対応。