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三宝夢行録  作者: 徐三宝
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第二章:神秘なる間域(かんいき)

目の前に現れた「選択肢」。

生き残るために、彼女が選んだものとは──。

第二章:神秘なる間域かんいき


暗闇、眩い光、そして、果てしない落下。


徐三宝シュ・サンバオは、まるで終わりのないトンネルに放り込まれたかのようだった。

手足は動かず、耳元にはただ風の唸り声が響き、意識は砕けたガラスの破片のように散り散りに漂っていた。


彼の目の前には、裂けた街路、逆さまにぶら下がる高層ビル、そして闇の中から覗き込む無数の目——

それらが一斉に瞬きもせず閉じていく光景が映った。

さらに、空中に浮かぶ都市、空を這う金色の蔦、赤い砂に覆われた大地……。

すべてが夢のようでありながら、恐ろしいほどリアルだった。


三宝が完全に意識を失いかけたそのとき、

柔らかな光が彼を包み込んだ。


破片のような光景はすべて消え去り、

彼はごつごつとした固い地面に叩きつけられた。


「ここは……どこだ?」

咳き込みながら顔を上げると、目の前にはきらめく光の輪が広がっていた。


そこは、まるで水晶でできた巨大な洞窟だった。

四方の壁は無数の透明なクリスタルで築かれ、まるで巨大な琥珀の塊のよう。

内部には、街の風景や未知の森、戦場、廃墟など、様々なシーンが封じ込められ、ゆっくりと流れ続けていた。

それは、世界の断片を記録しているかのようだった。


三宝がよろよろと立ち上がろうとしたその時、

優しげな声が耳元に響いた。


「目が覚めたようだね。」


無数の光粒が集まり、目の前にぼんやりとした人型を形作った。

顔は見えないが、それはこの空間そのものの一部のように感じられた。


「今話しかけたのは……君か? 一体ここはどこなんだ? 君は誰だ?」

三宝は矢継ぎ早に問いかけた。


人型の存在は、彼の問いにすぐには答えず、静かに語り始めた。


「ここは【間域かんいき】だ、凡人よ。

君がいた世界とは異なる次元の存在、より高次元に属する領域だ。

無数の世界をつなぐ隙間のような場所だと思ってくれていい。

そして君は、私に選ばれた者。私はこの次元のあるじだ。」


「……」

三宝は混乱して、すぐには飲み込めなかった。


「つまり……俺はもう、元の世界にはいないってことか? 死んだってこと?」


「君は確かに、元の世界では死んだ。

だが完全に消えたわけではない。

私は君をこちらへ導いたのだ。」


「……」

衝撃で思考が停止しかけた三宝だったが、

ふと、大切な存在を思い出して悲しみに呑まれた。


「じゃあ、俺の三花宝サンホワバオはどうなるんだよ!

あいつ、一人で生きていけるわけないじゃないか!」


人型の存在は、感情を見せることなく淡々と続けた。


「君はこれから新たな世界へ旅立つ。

そこで新しい肉体を得て、一から人生を歩むことになるだろう。

ただし、ここで特別に——自ら選んだ三つの能力を授ける。

それを持って、新たな世界で生き抜くがいい。」


「……じゃあ、三花宝は……。一緒に連れていけないのか!?」


必死に食い下がる三宝に、存在は一瞬間を置いてから答えた。


「安心しなさい。君は、未来で必ず再び彼女と出会う。」


その言葉は突然で、だが不思議な重みを持っていた。


三宝はしばらく黙った後、絞り出すように答えた。


「……わかった。」


その瞬間、空中に光のパネルが現れた。

無数のスキルが並び、まるでゲームのスキル選択画面のように情報が流れていた。


【選択可能スキル一覧 解放】

【異界の旅人は三つまでスキルを選択できます】

【選択前に体験可能、確定後は変更不可】


「さあ、選ぶがいい。」


そう言い残して、人型の存在はふっと姿を消した。


三宝は、内心複雑な思いを抱えながら、そっと最初のスキルをタップした。


【火炎操作】


瞬間、彼の掌に真紅の炎が灯った。

すさまじい熱を発し、火蛇のように宙を舞う。


「うわ、これめっちゃカッコいい!」

三宝は思わず火蛇をくるくると回してはしゃいだ。


「でも、もっとすごいのも見てみたいな。」


次に彼が選んだのは【未来予知】だった。

光の中に一言、現れた。


——「君は彼らに再会するだろう。」


「……彼ら?」

三宝が眉をひそめると、光がまさに同じ言葉を繰り返した。


「すごいけど……短っ! 持続時間短すぎだろ!」


続けて【絶対魅力】を試すと、周囲の水晶壁がわずかに震え、共鳴するような音を立てた。


「なにこれ、こわっ。」

三宝は鳥肌を立てて、即座に却下した。


こうして、いくつものスキルを試した末に、

彼は三つのスキルを選び抜いた。


まず【超高速回復】。

「死なない限り、すぐ回復できる。どんな世界でもまず生き延びるのが大事だよな。」


次に【超速学習】。

「学びさえすれば、誰にも負けないスピードで成長できる!」


そして最後に、彼は長い間迷った末に選んだ。


【動物親和】


——それは、三花宝のことを思い出したからだった。

夜を共に過ごし、孤独を癒してくれた、あの小さな命。


「きっと、これがあれば……また会えるはずだ!」


光幕が揺れ、最終確認が表示された。


【選択完了:超高速回復・超速学習・動物親和】


【世界転送プログラム起動】


水晶洞窟が激しく震え、景色がぼやけ始めた。


「君の異世界の旅が、いま始まる。

——そして、私たちの縁はこれで終わりではない。」


あの存在の声が、最後に耳に響く。


地面が崩れ、光流が巻き上がり、

三宝の体は眩い光の門に吸い込まれていった。


彼は抗わず、ただ深く息を吸い込み、

目を閉じた。


「今度こそ——最高の人生を、掴んでやる!」

異世界あるあるの能力選択ですが、ちょっと個性的にしてみました。

中国からこの物語を届けています、読んでくれてありがとう!

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