609【病に冒されたオレ】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
今話は、短めです。
ときどき、変装の魔導具を外して、魔石を交換する。もう日課になっているので、なんのことはない。
だが、その日は違った。
焚き火の炎の明かりに照らされた、変装を解いたマナミをふと見た瞬間、オレの目が釘付けになった。彼女本来の姿に。
彼女の金髪、彼女の目がこちらを向く。右目が青、左目が緑のオッドアイ。伏せられるまぶた。まつげが長い。また、こちらを見た。その唇が動く。
「サブさん?」
その声で、オレは我に返った。
急いで、手元の魔導具に視線を戻す。
「な、なんでもない」
なんだろう、心臓がバクバク言ってる。顔が熱い。
心の中で大人のオレが呟く。おいおい、これって、恋の病の症状!?
「どうかしたんですか? 顔が赤いですよ? まさか、熱があるんじゃ」
彼女が立ち上がって、オレのそばに来て、額に手を当てる。ひんやりと気持ちいい。
彼女の唇に、目が行く。口紅やリップを塗ってもいないのに、ふっくらしていて艷やか。柔らかそうだ。キスしたくなる。
その衝動に、我に返る。
「焚き火に当たり過ぎたかな。大丈夫、病気じゃないよ」と笑って誤魔化す。
病気じゃない、たぶん。
「そうですか? でも、無理しないでくださいね。こんなところで、看病はしたくないですから」
「そうだね。明日は、町に寄ろうか」
「そうしましょう」と離れていく。
彼女の残り香が、鼻をくすぐる。思わず、ゆっくりと吸い込んでいた。
それに気付いて、息を勢いよく吐いた。
その夜は、眠れなかった。
高校生に惚れるなんて、あり得ない! 男の欲求不満が、そう思わせているだけだ! 自制しろ! 自制しろ!
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




