513【対策その二】
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2話連続投稿します(2話目)
今話は、長めです。
話し終わりとともに、解散してテントに戻り、眠った。スライムの討伐方法は、思い付かないまま。
翌日。
早朝に目覚め、テントを出ると、すでに兵士見習いたちが動いていた。
「早いな」
「朝はたくさん仕事がありますから」
見ていると、馬の世話、朝食の準備など。手分けしてやっている。これは普段の積み重ねが、身に備わったものだろう。
そうでなければ、こうした遠征に連れてこられないだろうし。
朝食をみんなとともに摂り、オレは冒険者ギルドへと向かった。
街なかは、朝の準備をほぼ終えて、商売を開始しようとしていた。
冒険者ギルドの中は、冒険者でごった返していた。
外に出たくても、出ていけないことから、その文句を言いに来た者。事情を聞くために来た者。スライム討伐の仕事を当てにしている者もいた。
受付嬢のところに行くと、オレを認識して、すぐに立ち上がり、執務室へと案内してくれた。
「おはよう、サブ」
「おはようございます、サブさん」
ギルマスと副ギルマスが揃って朝の挨拶をしてくれる。
「おはようございます。あれから変化は?」
「町は閉鎖したから、文句を言われてる。まぁ、事情を説明したら、渋々、帰っていったがな」
「下の冒険者たちも同じです。討伐依頼を期待している者もいます」
「わかります」
「それでどうだ? 討伐できる算段は」
「一匹捕まえてこようかと思っています」
「捕まえる?」
「エサで釣ります。武器防具が残されていたことから、金属類は消化できないみたいです」
「おそらくそうだろうなぁ。だが、捕まえてどうする?」
「討伐のヒントが欲しいので、いくつか試します」
「そうか。人手は?」
「自分だけ」
「それは許可できません」と副ギルマス。「サブさんがやられたら困ります」
「オレもマーガレットの意見に賛成だ。せめて、数人を同行させて欲しい。おまえがいなくなったら、領主様に示しがつかん」
まぁ、そう言われたら、返す言葉がない。
「わかった。信頼できる上級パーティーを頼みたい。オレの護衛として」
その場所は、例の領域の端に位置する場所。
そこに訪れたオレと護衛役のパーティー《光の刃》。C級冒険者パーティーだ。B級冒険者三人とC級冒険者ひとり、それにD級冒険者がひとりだ。本来ならば、B級冒険者パーティーになれるのだが、最後のひとりがまだ入り立てなので、C級に留まっている。
「止まれ。ここから先は、スライムが襲ってくる」とオレが制止を掛けた。
目の前には、昨日打ち込んだ杭とロープ。
「スライムをどうやって捕まえるんだ?」とリーダーのギャレス。前衛の剣士で、男前だ。惚れてはいない。
「罠を仕掛けて、エサでおびき寄せる」
「罠?」
オレは何も答えずに準備する。
「君たちはそこにいてくれ。エサを仕掛けるまでは大丈夫なはずだ。念のために結界を張っておくから、心配ない」
「結界?」
罠を持って、結界の魔導具を起動。
それから杭の内側へと入っていく。とはいえ、三歩ほどだ。そこに金属製の箱を置く。五十センチ四方といったところか。とは言っても、フタなどはない。
「エサを出します。警戒を」
《光の刃》全員がおのれの武器を構える。
それを確認して、オレはアイテムボックスから、ゴブリン一匹を出して、箱に押し込んだ。すでに死んでいるとはいえ、アイテムボックス内で時間経過がないので、まだ体温がある。
その途端、探知が反応。こちらへとスライムたちが移動している。
オレはそこから離れて、《光の刃》のもとへ。
「エサに釣られて集まってきます。ちょっと多いかな。十五匹ほどです」
「わかるのか?」
「探知スキルです」
「斥候役とは知らなかった」
「うちのパーティーは、全員が探知スキルを持っています。レベルは低いですがね」
そうこうするうちに、スライムが飛び降りてきた。まるでスーパーボールのように弾んで、ゴブリンの死骸のところに近寄ってくる。
すべてのスライムが集まったところで、出られないように、ヘッジちゃんバリアを投げ入れる。すぐに結界が広がった。
「もう大丈夫です」
「何を入れた?」
「結界を張る魔導具です。あれは中から出られなくするもので、魔獣を閉じ込めて、こちらの安全を確保するために使います」
「ほぉ」
「さて、ここからはどの魔法に弱いのかを調べます」
「魔法か。ジェシカ!」と後方を見るリーダー。
「いえ、魔法使いの必要はありません。魔導具を使います」
ひとつ試したら、別のを試す。それを繰り返す。
雷魔法、火魔法、水魔法、土魔法。これらの魔導具は、ゆうべ用意したもの。ちょこちょこと魔法陣を書き換えた簡易版だ。
「やはり通常攻撃ではダメですね。一番効いたのは、やはり火魔法ですか」
「だが、燃やし切らずに終わると、小さくなるだけで、あまり効いてる感じはしないな」
「ええ」
オレはその結界に近付き、スライムの上から粉をバラバラと撒いてみた。
少し反応するが、ちょっと嫌がる程度だ。
「塩もダメですね。効くかと思ったんですけど」ナメクジみたいに。「やっぱりこれか」と魔導具を取り出す。
スイッチを入れて、スライムたちの中に投じる。それから離れた。
「今のは?」
「なんと説明したらわかるかな? まぁ、見てて」
説明が面倒だった。
いや、相手が日本人ならば、簡単に説明できるんだけど。基礎知識が違い過ぎるからなぁ。適切な例も思い浮かばないし。
そんなことを思っていると、スライムが小さくなりはじめた。
「うぅん、効果は火魔法と同じくらいか」
「そうだな」
「簡単に言うと、無理矢理に干しているんだ。干し肉を作るのと同じことをしているわけ。無理矢理だけど」
そう、乾燥させてるのだ。スライムが水分を溜め込んでいるならば、と考えて。
だが、思ったとおりにはいかない。スライムがポリマー的なものならば、そう簡単に乾燥なんかをしないか。トイレのニオイ消しだって、なかなか減らないもんな。
うーん、と唸りながら、あれこれ考える。
「やはり、一匹ずつ、核を壊すか、まとめて火魔法か」
「しかし、このようすからすると、延々と燃やし続けなければ、ダメだろう。核を壊すのはできそうだが」
「そうだね」
オレは、鉄剣を出して、スライムを刺し、核を壊してみた。
刺されたスライムは、萎んで、地面に染み込んでいく。
鉄剣を使ったのは、この町にミスリル剣があるとは思えないからだ、あっても一本か二本。それだと広範囲にやれない。だから、鉄剣を試すわけだ。
「よし。方針は決まった。帰ろう」
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